クエスト65【巨大ゴーレム事件2】
ここは魔王の侵略に怯えるオイヘンブージ王国。
ドォォ――――ン。
その王城にて、国王ブージ三世は頭を抱え苦悩していた。
ドォォ――――ン。
「国王様、どうなされましたか!」
そこに勇ましい足取りで、全身甲冑の騎士が姿を現す。
「いや、どう考えてもこの地鳴りじゃろ」
ドォォ――――ン。
先日から、王都周辺は巨大ゴーレムの進行による地鳴りが鳴り響いていた。
「あれから一定間隔でこうも地響きが鳴るとのう、どうにも安眠出来んわい」
「私はもう慣れましたけど」
「それは図太過ぎじゃ、ゴーレムの目的が分からん限り安心できんわい」
「観測班の報告によれば、一直線にこちらの方へ進行しているようです」
「やはり目的はここかのう?」
その時、部屋の扉が開かれ、沢山の資料を手に、低身長種族の女性が入って来た。
「足跡の軌跡から推測すると、微妙に進行方向は王国から外れています」
「おおう、大臣かの」
「今の進路を維持すると、ギリギリ外壁を掠めるくらいでしょう、ただし相手が急に進路を変える可能性は十分にあり得ます」
「ヘイワーズ大臣! それで倒す算段は付いたんですか!?」
騎士団長が問いかける。
「現在、対応については魔術師組合、研究者、地質学者、古代文明研究者、商業組合などで協議していますがまだ結論までは出ていません」
「会議の内容はどうなんじゃ?」
「魔術師教会は古代の精霊なので、祭壇を立てて供物を備えたら満足して帰っていくのではと」
「何ぞ好物でも分かればのう」
「地質学者は、貴重な古代の地層のサンプルなので生け捕りを希望しています」
「あれを網で捕らえられるのなら是非とも持って帰って欲しいがの」
「古代文明研究科は、中に鉄の文明による機構が組み込まれている可能性もあると言っています」
「いや動く原理とかはこの際どうでもいいんじゃ」
「商業組合は希少な鉱物も交じってそうだから、端から細かく削っていこうと」
「なんかそれが一番現実的な気がしないでもないのう……結局アレは魔王軍の新兵器なのかのう?」
「あの歩き方は戦闘に特化したゴーレムに違いありません!」
騎士団長も興奮した様子で問いかける。
「さて、あそこまで大きいゴーレムと言うのは記録に乏しいので、アレの目的が戦闘かどうかまでは判断が付きません」
「魔王軍の軍勢はどうじゃ?」
「むしろ地響きに驚いて周囲の動物達が逃げ出している状態です、むしろ隠れ潜む方が目立つでしょうね」
「で、どうやって戦うんですか?」
「報告聞いておったか騎士団長よ、まだ敵かどうかも分からんのじゃぞ」
「戦う必要が無いのならそれでいいのですが、向こうが戦う素びりを見せた時に、こっちは戦うつもりが無かったのにと言っても相手は聞いてくれません!」
「むぅ確かに」
「冒険者に依頼して、外殻を採取してもらいました。結果として構成は複数の鉱物が混じった岩ですね。正直爆弾や砲弾でどれほど効果があるかは未知数です」
「誘導とか出来そうにないかのう?」
「何分生態も未知数ですからね、目の前に石炭を置いたら食いついてくれるという訳でもなさそうですし」
「まさに自然災害じゃのう」
「もし本格的に王国に猛威を振るう場合、成す術が無いという点では同じです」
「公民の様子はどうじゃ?」
「最初の方は軽いパニックが起きましたが、何分ゴーレムの歩みが遅いので……今は落ち着いて、近くまで見学に行く人も出ていますね」
「平和なもんじゃな」
そうあまりにも巨大なゴーレムだったが、その一歩一歩は非常に遅く、一日かけて数メートルという状態だった。
「来るなら来るでもちっと早くしてくれんかのう」
「観測班によると、この速度のままならば王都到着までは半年ほど掛かる見込みです」
「いや長いって!」
「下手したら王都ごと引っ越した方が早いまでありますね」
「嫌じゃ! 建て直したばかりの城は見捨てられん!」
「まぁ幸い時間はまだありそうなので、じっくりと対策を練りましょう」
しばらくして、
ドォォ――――ン。
とまた地鳴りが再開する。
「休憩が終わったようですね」
そう、ゴーレムの歩みは遅いばかりか、ちょくちょく休憩を挟むのである。
「何とかならんのか! こうもゆっくり攻めて来られると、こっちの気力が消耗してしあうぞ!」
「もしかしたらそういった作戦なのかもしれません!」
「まぁ、こちらも向こうに合わせて、朝動き出し、昼に休憩して、夜はゆっくり休むべきですね。ともあれ、何か自体が変化するまで気長に待つしかありません」
「ゴーレムも結構規則正しく歩いておるなぁ」
その時、扉が開いて伝令の兵士が姿を現した。
「報告です、ゴーレムの動きが完全に停止しました!」
「何じゃと!?」
[続く]




