運命のオムライス
乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったミノンは、破滅フラグを折る為に王城の夜会へ。
緊張のあまり、ウェイターが運んで来た謎の玉子料理を見て、つい
「わあ、オムライスみたい」
と呟いてしまいました。あっ、やばい!この世界にそんな言葉は無いんだった!
その瞬間、乙女ゲームのラスボス公爵アルフレッドの持つグラスがガタッと震えます。
「今、何と言った……? オム……ライス……だと?」
(待て、今こいつオムライスって言ったか!? 玉子を割ったらトロッとする、あの至高の料理のことか!?)
後日、アルフレッドから直々に呼び出し(実質的な尋問)を受けるミノン。殺される!と怯えながら部屋に入ると、そこには真っ黒で苦い香りのする泥水……もとい、「魔力の安定剤」が。
「これを飲め。……苦いぞ」
と突き出すアルフレッド。
一口飲んだミノンは、そのあまりの懐かしさに
「……ブラックコーヒーですね、これ。あ、お砂糖とミルクありますか?」
と反射的に答えてしまいます。
アルフレッドは椅子から立ち上がり、あなたの肩を掴んで詰め寄ります。
「貴様……なぜこれを知っている。これは我が一族が、千年前の古文書から再現した伝説の秘薬『コ・ヒ・イ』だぞ!」
(確定だ! こいつ、スタバか!? セブンのコーヒーか!? 日本人か!?)
お互いに「もしや?」と思いつつも、「もし違ったら、変なやつだと思われて即処刑される」という恐怖から、探り合いが始まります。
ミノンが、
(カマをかけてみるか……)
「公爵様、お疲れのようですし、『3分待つのだぞ』と言いたくなるような麺料理でもいかがですか?」
と言うと、アルフレッドが
(……っ! クハダか! カップヌードルか!?)
「……フン、3分で何ができるというのだ。……いや、3分あれば、世界は変えられるかもしれんな」
と返しました。
ついに耐えきれなくなったアルフレッドが、結界を張った密室で小声で囁きます。
「……おい。……『ファミチキ』って知ってるか?」
その一言で、二人は固く握手を交わします。
「やっぱり日本人だったんですね!」
という安心感と、
「この公爵、実はコンビニ飯が恋しいだけの寂しい人だったんだ」
というギャップに、ミノンの心は一気に彼へと傾いていきます。




