第66話 「ゴブリンの襲撃㉛――ヴォルズム領⑥―」
ここに登場するのは、久し振りですね。エルンスト・フォン・フォーゲル伯爵です。
ルウィージェス様から色々と魔法陣を頂き、就寝前などに、魔法式ごとに分解して、色々と試しているのですが、初級の魔法陣に使われている魔法式は、既存の知識で対応できる物が多いのですが、初級でも限りなく中級に近いものや、中級以上の魔法陣となると、既存の魔法式は殆ど見られず、全く別物となっています。
以前発見した螺旋式は、どうやら基本形のようで、どの魔法式にも組み込まれています。
それ以外に、細い線が途中で合流して、一つの太めの線となるものもあります。
既存の魔法式では、太い線から複数の細い線に分かれる型が多いのに対し、ルウィージェス様から頂いた魔法陣には、その型は一つとして使われていません。
逆に、合流型の魔法式は、既存のものには存在しません。
そして、合流した先には必ず螺旋式があり、発動時の勢いは、この部分の螺旋式に依存しています。
太い線から複数の細い線に魔力を流そうとすれば、かなりの魔力を込める必要があるのに対し、始めに螺旋式で勢いを付けた複数の魔力が合流し、その先で更に螺旋式で勢いを付ければ、大量の魔力は必要としません。
ルウィージェス様の魔法式は、基本的に、魔力の流れを如何にして殺さないかに集約されていると言って良いでしょう。
つまり、初めから魔法式の中を流れる魔力の使い方が全く異なるのです。
カリン様が以前、基本的に私たちが使っている魔法陣は神法陣を元に作られていると教えて下さいました。
神族の方々が使う神法陣は、各々の特性に合わせて編集して使う事が基本となっているそうです。
ですが、我々が使う魔法陣は、属性を持つ者なら誰しもが使っても、安全に発動するようになっている、と。
であれば、ここまで異なる事はなかった筈です。何か、理由があった筈です。
アデル伯爵が残した記録によれば、昔は平民でも、初級魔法程度なら、普通に使えていたそうです。
過去に、誰も魔力制御法について研究した者がいないのは確かです。宮廷魔術師団の資料にも、フォーゲル伯爵家の資料にも、そのような記録は残っていません。
なので、古い魔素蓄積が進むにつれ、魔法が使える者が少なくなっていったでしょう。それは理解出来ます。
カリン様は、神法陣は編集ありきで作られているが、魔法陣はそのまま使う事を前提として作られている、とおっしゃりました。
そうなると、魔法陣に使われている魔法式をいじるしかありません。
初めて創造神様とルウィージェス様にお会いした時の、創造神様の言葉が鍵ではないか、と思うのです。
あの時、創造神様は「魔素溜まりの問題の解決には百年単位の時間を要します。その為、現時点で出来る対策としては、今回ルウィージェスが発見した魔法陣の改編がカギとなるでしょう」とおっしゃいました。
恐らく、ルウィージェス様の魔法陣は、現在の古い魔素障害下でも使えるようにした魔法陣なのです。
初級魔法陣は、非常に簡素ですから、大きく改編する事が出来なかったと推察します。だから、既存の知識で対応が出来たのかと思われます。
しかし、初級でも限りなく中級に近いものや中級以上の魔法陣で使われている魔法式は、恐らく、ルウィージェス様が考えられた魔法式なのでしょう。
だから、既存の魔法式とは全く異なる魔法式が使われているのだと思われます。
ルウィージェス様は確かに魔導王様です。ですが、まだ17歳です。
一体、どれだけ魔法陣を勉強されたのでしょう。
ルウィージェス様は魔力を可視化して魔法陣を作る方法をご存じでしたが、それでも、あれだけの大改編に辿り着くまでには、相当数の魔法式を試された筈です。
古い魔素障害下でも使える魔法式の開発に費やした時間は相当だったと思われますが、それによって新しく作った魔法陣を、何の躊躇もなく我々に教えてくれ、魔法陣そのものを下さるのです。
創造神様が常々、この古い魔素問題は神族である自分たちが解決すべき問題です、とおっしゃって下さいますが、それでも、ただただ、あたまが下がる思いです。
ルウィージェス様から頂いた多種多様な魔法陣を研究した結果、単属性単魔法の魔法陣は速読できるようになりましたし、自分でも、限りなく初級に近い中級魔法も作れるようになりました。
今後は、ルウィージェス様方式で、混合魔法や同じ属性の多重魔法を自分で作れるようになること、それが、当面の私自身の目標です。
その為にも、一刻も早く、いえ、一日も早く、あのゴブリンを掃討しなければなりません。
しかし、あの数のゴブリン、本当に、どうしたら良いのでしょう。
気が滅入ります。
ランとアリカントの存在が、今の私の心の癒しです。
未知の病原菌や抵抗性と言った、専門家が話すような内容でクラウスに説明するルウィージェス。
クラウスも、食べ物が腐るのは、腐敗させる目に見えない小さな生物がいるからで、その見えない程の小さな生物を、専門家は微生物と呼んでいるのは知っている。
病気も、人にうつる病気と、うつらない病気があって、うつる病気も目に見えない程の小さな生物が原因だと、昔エルンストから聞いたことがある。その病気の原因となる見えない生物を、病原菌と呼んでいる、というのも聞いている。
だから、腹を下した者の手当てをした後は、しっかりと綺麗な水で手だけでなく、腕までしっかり洗うか、全身に【生活魔法:清潔】を必ずかけろ、と団長に就任して間もないころに、エルンストから口酸っぱく言われた。
思わずルウィージェスをまじまじと見るクラウス。
一見8歳程度に見えるが、実年齢は17歳だと聞いている。創造神より神格の高い上級神で、次期の世界創造神候補だとも、本人から聞いている。恐らく、相当なレベルの高等教育を受けているだろう。それは分かる。
だが、まだ17歳だ。しかも、16歳になって間もなく、この惑星に来ている。
なぜ、そこまで詳しいのだろうか?そんな短期間で、そこまで学べるものなのだろうか?
「ルウィージェス様は、何故それほど詳しいのですか?」
クラウスが、瞬間的に「しまった」という顔をした。思わず聞いてしまい、慌てている。
慌てるクラウスを見て、別に遠慮する事でもないのにと、思わず苦笑してしまう。
「ぼくがこの惑星に来た最大の目的が、古い魔素問題を解決させる為の新しい生態の構築だからね。ぼくに『生命の種』を渡したのは世界創造神のおじい様だけど、既に創造神をしている一番上の兄さまからも、勿論この惑星の創造神をしている姉さまからも、色々と話を聞かされたし、『生命の種』に保管されている生態は、もの凄く勉強させられた。それにね、」
ルウィージェスはクスっと微笑んだ。
「この惑星は魔法に特化していて、物理技術が未熟だからね。微生物とか病原菌とか、目に見えない生命体に関する知恵を授けているのは、姉さまなんだよ。」
思わずクラウスは息を飲んだ。
「今回はたまたま古い魔素問題が突出しているから分かりにくいかもしれないけれど、基本的に、地上は弱肉強食。弱いものは強いものに抵抗する為に、常に新しい知恵を付け、進化し続けている。強いものだって、抵抗力を付けていく餌に対応していかなければならないから、当然、こっちも知恵を付け進化し続ける。」
ふと、クラウスは領の正門の所で自分が考えた事を思い出す。
「病気には、うつる病気とうつらない病気があるのは、多分エルンスト団長から聞いたことがあると思う。」
クラウスは頷いた。
「うつる病気ってね、感染したからって、必ずしも発症するわけではないんだよ。」
それはクラウスにとって意外だった。
「遠征でさ、腹壊すのって、研修生に多くない?」
その言葉にクラウスは腕を組み、右指で顎をなぞる。思い返せば、若い団員に多い。かく言う自分も、遠征訓練で腹の調子を悪くしたのは、初期の頃の数回だけだ。
「動物も魔物も、ヒト族も、感染する度に、その病原菌について学んでいるんだよ。体がね、その病原菌について学んで、抵抗力をつけるんだよ。だから、その病原菌に感染した事がない人、即ち、その地域で遠征をした事がない若い団員に感染する人が多くて、複数回その場所に遠征した事がある人は、感染しても症状が軽かったり、全く症状が出なかったりするわけ。その病原菌を体が完璧に覚えていれば、感染すらしなくなる。そうやって、病原菌に対して自然に抵抗力を付けていく。それも一つの進化だよね。」
クラウスは一言も発せられない。
「だけど、時々、村とか街とか、多くの人が集団で病気になる事もあるでしょう?」
「はい。」
「そういう時って、その症状にあう薬が全くない時もあれば、症状に効く薬を見つけるまでに時間がかかるよね?」
「はい。」
「それは未知の感染症だからだよ。過去の例がないから、誰もその病原菌に関する知識がない。だから、対処法も分からないし、抵抗力も持っていないから、村や街全体に短期間で感染症が広がる。未知の症状だから、薬がないし、どの薬が効くのかが分からない。」
クラウスは、過去に大流行した病について学んだ授業を思い出す。
「だけど、対処法が見つかり、一度どの薬が効くか分かったら、大流行する事って、少ないよね?」
確かに、過去に何度か死病と呼ばれた病が大流行し、それが原因で滅んだ国もある。だが、一旦終息すると、その後、数百年という単位で、大流行していない。
「死の病が大流行する度に、姉さまたちが原因となった病原菌を特定して、その知識を医療に従事する者たちに授けているんだよ。そうでないと、いつまで経っても死の病、終息しないからね。」
クラウスはじっとルウィージェスを見ている。
「その都度、『生命の種』は更新されていって、特に、創造神とか、地上の者たちを管理する神々には、詳細が伝わるんだって。3番目の兄さまが創造神になる事が決まった時に、姉さまたちが話してた。」
最後の言葉でクラウスは理解した。
自分たちにとっては未知の知識だが、神々にとっては常識の範疇なのだ、と。
ルウィージェスにとって、微生物や病原菌に関する事柄は、日常会話の内なのだと。
勉強だけで得た知識ではないのだと。
「勿論、何度感染しても、病原菌の力が強すぎて、学べないのもあるよ。ヒト族がどんなにがんばってもドラゴンを一撃で倒せないのと同じで、強過ぎるものに対して弱者は無力。それは仕方がない。」
その例えは軍人のクラウスにはとても分かりやすかった。どうがんばっても倒せないものは倒せない。
身近にいい例がいる。
どうがんばってもエルンストの魔法の威力には対抗できない。子どもの頃から分かっていた。でも、剣なら勝負できる。向こうの方が5年年上だが、力の差は僅差だった。魔法に関しては自分は弱者だが、剣に関しては分がある。だから、剣の訓練に邁進した。絶対に負けないと、負けてたまるかと。剣は譲らないと頑張った。
要は、そう言う事だ。力が拮抗しているか、力の差が余り大きくなければ、それに対抗する手段を得ようとする。確かに、その通り。
「今回、一番ぼくたちが懸念しているのは、そういう未知の進化なんだよ。今回のゴブリンの進化は、『生命の種』未記載。だから、ゴブリンだけでなく、それに付随するものたちの進化も、過去に触れた事がないぼくたちにとっては脅威。」
ルウィージェスは一旦言葉を切り、クラウスの目を見て言った。
「今回の進化については、姉さまが世界創造神から特別な許可を貰ったって言ってたよ。」
「特別な、許可?」
「クラウス団長とエルンスト団長には、ぼくの判断で、神界の知識を与えても良いって。」
思わず息を飲むクラウス。
その反応を見てなのか、ルウィージェスが小さく笑った。
「今の情報が、そうなんだけどね。」
「へぇ?!」
既にその情報を得ていたと知ったクラウスの背に、嫌な汗が一気に噴き出し流れ出す。
「だって、ぼく、まだ子どもだよ?知っている事、限られているし、出来る事だって、少ないし!」
突如、目の前の子が、年齢相応に見えた。
「それでは、降臨する為に学んだ生命体の生態以外に関しては、ルウィージェス様もご存じない事があると?」
「勿論だよ!」
ルウィージェスは破顔した。
「ぼく、まだ17歳だよ?ぼくに絵本を読んだり文字を教えたりしてくれたのは主に2番目と3番目の姉さまなんだけど、それだって、5歳くらいからだよ?まともに文字の勉強を始めたのは。まともに勉強初めて、まだ12年だよ?知らない事だらけだよ!」
クラウスの肩から、一気に力が抜けた。
世界創造神の祖父を持ち、惑星の創造神になる資格を持つ者が周りにいるくらい、ルウィージェスの家系はレベルが高い。規模は違うが、自分たちで言えば、王族に相当すると考えられる。
恐らく、日常会話が惑星単位の規模なのだろう。しかも、今回は惑星の生態を変える任務を負って降臨してきている。
だから、生態に関する情報は抜きんでている。
王族が受ける教育は特殊だ。侯爵家、伯爵家出身の自分たちが受けてきた教育も為政者としてのものが主軸だが、それともまた違う。貴族のものは、あくまでも家臣としての立場の教育だ。
だが、平民からしたら、全てが未知の話。
神界の住人と地上の住人の違いを、規模を縮めて、王族と平民の違いと考えれば分かりやすい。
環境から得うる情報は膨大だ。その情報の蓄積は、勉強して得る知識を遥かに凌ぐ。
自分だってそうだ。勉強して得た知識を遥かに超える知識を、一族の歴史から学んでいるし、普段の日常会話の中に溢れている。
だが、神界の話は一切ない。知らない世界の話であり、入手不可能な情報。知る余地もない。知らなくて当然。
平民が王族の生活も王子、王女らが受ける教育内容も、一切知らないと同じように。
思わずクラウスから笑いが漏れる。
「そうですよね、その通りだ。」
何も不思議な事はなかった。
クラウスから、一切の硬さが消えた。
「俺とエルンスト殿には、というのは、ニックスとランから守護の加護を受けたからですか?」
「ん~、きっかけはそうなんだけど、ニックスとランはぼくの眷属でしょう?その眷属から加護を受けたから、クラウス団長とエルンスト団長は、ぼくの眷属でもあるんだよ。既に加護を持っているから、眷属化はしていないけどね。」
「あ~、両方受けると、亜神になってしまうのでしたっけ?」
「そう。だけど、正式な立場はぼくの眷属だから、もう姉さまは二人には指示が出せないんだよ。権限がない。」
「え、そうなのですか?」
「うん。だけど、ぼくはクラウス団長たちよりもずっと年下の子どもだからね。経験値がなさすぎる。だから、姉さまたちは、クラウス団長とエルンスト団長に情報を渡して、二人が持つ知識と経験からぼくを補助して欲しいと思っているんだよ。もっと言えば、二人とも、建国時の経験値も持っているしね。記憶はなくても、技術として持っている。」
思いもしなかった事を言われ、思わずたじろぐクラウス。
――――上級神の補助を、…俺らが…する??
その様子を見て、ルウィージェスはもう一押しが必要と判断した。
「もっともっと言えばさ、ランもニックスも、生後1年だからね。」
上級神と亜神たち、神の称号を持つ者たちが共に自分たちより年下、という事実。
盛大に噴き出したクラウス。
「頑張ります。」
笑い上戸のクラウスは、もう、笑いが止められなくなった。
その様子を少し離れた場所から見ていたのは、領騎士団長ら。
あまりにも深刻な表情と緊張した雰囲気から、声を掛けられずにいたのだが、クラウスが笑い出し、雰囲気が緩んだことで、漸く声を掛ける事が出来るようになった。
「クラウス団長、今、宜しいでしょうか?」
「あ~、すまん。すっかり話し込んでしまったな。」
領騎士団長エッケハルト・フォン・プロプストが連れてきたのは、攻撃魔法が使える18名と、攻撃魔法は使えないが、魔力が豊富な騎士8名だった。
クラウスは、ライラン領都を襲撃した新型ゴブリンと、先程判明した、新たな新型ゴブリンについて説明をすると、既に領騎士団長エッケンハルトから聞いていたのだろう、大きくざわつく事はなかったが、それでも、一気に緊張感が高まった。
「そういう訳で、ライラン領都を襲撃したゴブリンは、高い膂力を持ってはいるが、剣で切る事は出来る。だが、従来とほぼ同じ大きさの新型ゴブリンの方は、魔法攻撃で倒すしか方法がない。」
皆が頷いた。ここまでは理解出来ているようだ。
「だが、あの数だ。剣で切れる新型ゴブリンとは言え、接近戦で戦うのは不可能。」
クラウスが指さす方向には、外側の結界の向こう側に見える、大量の興奮したゴブリン。破れない結界に諦める素振りすら見せず、攻撃的な姿勢を崩していない。
「そこで、だ。領騎士団員の皆には、魔力で膂力を上げる方法と、攻撃魔法の威力を上げる方法を学んでもらいたい。」
領騎士団員は、クラウスの言葉に騎士としての礼を取った。
「ここと、宮廷魔術師団の団長らが担当した場所は、もうすぐ終わる。だが、貴殿らと同じく、接近戦を主力とするリリーエムラ公爵家の騎士団側のゴブリンが、まだ多く残っている。そのゴブリンを明日、皆の実戦としようと思っている。」
領騎士団長のエッケンハルトが一歩前に出た。
「閣下、恐縮ですが、今一度、指導して頂ける内容を説明して頂けないだろうか。自分で説明を試みたのだが、まだしっかりとは理解出来ていなかったようで、部下たちに旨く説明出来なかった。」
「承知した。」
クラウスは頷くと休憩中のディエモを呼び、エルンスト側の様子の確認と、領騎士団員への特訓について、説明するよう命じた。
だが、走り出したディエモが、直ぐに止まった。その視線の先には、こちらに向かって走ってくるエルンスト、リリーエムラ公爵家の領騎士団に所属する、エルンストの親戚のアルルン・フォン・ジマーマンと、宮廷魔術師団の副団長ザビーネの姿があった。
ディエモはクラウスの方を向き、リリーエムラ公爵家の領騎士団に説明に向かうと伝え、走って行った。
エルンストはディエモが走って行く方向を見て、アダルベルト班の者が誰一人として来ていない事に気付く。
アダルベルト班に付いて結界を張っているのは、神族のカリン。それで、先程の雷がルウィージェスによるものだと理解し、苦笑しながらルウィージェスを見た。
その苦笑の意味に気付いたルウィージェスも、上目遣いで頷いて答える。「驚かしてゴメン」と言いたげな表情で。
だが、アルルンとザビーネは気付いていない。
「クラウス団長、先程、雷が落ちたような、激しい音が聞こえてきたのだが、」
軽く上がる息を整えながら、ザビーネがクラウスに問う。
「あぁ、悪い、音、そっちまで聞こえたよな。」
その言葉で、漸く二人はルウィージェスの魔法だったと理解し、ルウィージェスを見た。
「ごめん、驚かした。」
二人は、雷の音がルウィージェスの魔法によるものと理解したが、理由までは理解出来ないでいた。
「ルウィージェス様、何故、雷を?というか、雷って、魔法で出せたのですね。」
そうザビーネが言うと、アルルンも、不思議そうな顔をしている。
『電撃付き結界魔石』にも雷魔法が付与されているのだが、雷として目に見える形になっていない為か、二人の中では、繋がっていなかった。
「私も、魔石に付与された雷魔法が気になっていました。雷は、何属性なのですか?」
流石に、エルンストはあれが雷魔法だと気付いていた。
だが、エルンストのその質問に、ルウィージェスが意外そうな顔をした。
「あれ、エルンスト団長も雷魔法の属性、知らなかったんだ。あれ、水魔法だよ。」
それにはクラウスも含めて驚く。
「あ~、そうか。」
雷が水魔法であると知らぬ理由に思い当たり、頷く。
「雷って、雲から落ちて来るでしょう?」
皆が頷く。領騎士団員も横で聞きながら頷いている。
「雲は、水蒸気の塊。つまり、水魔法だよね?」
それにざわついたのは、エルンストとザビーネ以外の者たち。
「ルウィージェス様、確かに、雲は水蒸気の塊ですが、いくら水蒸気を濃くしても、霧になるだけで、雷にはなりませんよね?」
「エルンスト団長、入道雲って知ってるよね?」
「はい、王国でも南部の方では、夏に時たまに発生しますね。」
「入道雲って、実際に見た事、ある?」
「いえ、私は見たことがありません。」
「あ、だからか。」
ルウィージェスは、結界で大きな箱を作り、その下には水を張り、上には太陽を模した、大きな光の塊を出し浮かべた。
「雷が起こる理由は複数あるんだけど、魔法で再現できるのは、温度差によって起こる雷なんだ。」
そう言いながら、太陽を模した光をどんどん強めていく。
「夏は日差しが強くて、水の蒸発が進むでしょう?」
箱の中では、水が蒸発していく様子が再現された。蒸発に伴い、後ろの景色が歪む。
「水蒸気は小さすぎて見えないけれど、大量に集まれば小さな水滴同士がくっついて一粒一粒が大きな水滴となって目に見えるようになる。水は冷えると氷になるでしょう?それと同じで、温かい地上では水は水蒸気となって軽くなって上に上がる。その過程で水蒸気同士がくっついて少し大きめの水滴となる。上空は寒いから、水滴は冷やされて小さな氷の粒になる。それが集まったのが雲。」
箱の上の部分に雲が再現された。
「これだけでは、ただ雲が浮いているだけなんだけど、ここに冷気を送ると、小さな氷の粒は更に大きくなって、重くなって、それ以上は上に上がらなくなる。だけど、下からは小さな氷の粒が上がり続ける。」
雲の流れが上下にうねり出す。
「下から来る小さな氷の粒と、大きくなり重くなって下に落ちていく氷の粒同士がぶつかり合う。」
すると、雲の中で光が見え始めた。
「このまま見ててね。」
雲のうねりが大きくなるにつれて、雲の中の光が増えてくる。
その内、光が飛び出す度にゴロゴロという、雷の象徴とも言える音が聞こえてきた。
雲の中で光が走り出す。と、その時、轟音と共に雷が落ちた。
「これが、雷のメカニズム。」
ルウィージェスは、結界ごと消し去った。
「雷が放出させる熱量は、土や水や木とか、生物だって瞬時に消滅させるくらいだからね。危ないから消した。」
エルンスト以外は一言も出せず、結界の箱が消えた後も、動けずにいた。
「冷気以外は、確かに、水魔法、ですね。」
エルンストは、ルウィージェスが出した魔法陣を見ていたから分かった。
「うん。魔法で出す場合は、風魔法と逆流火魔法もしくは氷魔法も使っての混合魔法だけどね。」
魔石に魔法陣を付与するだけでなく、雷そのものが魔法で再現できる事は驚きであったが、それ以上にエルンストにとって重要な事は、水魔法、風魔法と火魔法しか使っていない、という点だ。これらは全てエルンストが持つ属性だ。
ルウィージェスは紙に魔法陣を写し、エルンストとクラウスに渡した。クラウスも、この三属性を持っている。
「やってみる?」
エルンストに聞いた。
「是非に。」
即答だった。
『魔法陣読解』で魔力の流れを再現させる。
ヴォルズム領騎士団員も、空中に現れた魔法陣を見るが、複雑過ぎて、全く理解出来ない。
「これは、我々には中級相当、ですね?」
「うん。」
中級魔法だと知ったフラウとサラマンダーも、興味津々に見ている。精霊二人の力を借りれば、自分にも出来る魔法だと知ったクラウスも、真剣に魔法陣を見る。
「これって、流す魔力の速度で、威力も変えられる魔法ですね?」
「そう。規模も変えられるよ。」
「これは、面白い魔法陣ですね。」
普段見る魔法陣とは型が異なっている。
「そうだね、攻撃魔法ではないからね。」
「確かに。」
職業軍人という職業柄、日常的に見る魔法陣は、回復魔法系か攻撃魔法系に偏っている。
複数回『魔法陣読解』を展開させ、魔力の流れを見ていたエルンストが気付く。
「ルウィージェス様、雷を使ってゴブリンを破壊したと思うのですが、私は一度しか雷の音を聞きませんでした。どうやって、一度でこれだけの範囲に雷を流したのですか?」
エルンストが、氷の破片一つ残っていない地面に視線を向けながら問う。
「雷を落とす前に、【水魔法:驟雨】で、地面に水溜まりを作ったんだよ。それに、ゴブリンは凍らせたからね。雷、よく通る。」
「なるほど!」
【驟雨】の魔法陣もエルンストとクラウスに渡す。
「これも、面白い魔法陣ですね。これだけの雨量が出せるなら、本当に数秒だけでも、地面に水、溜められますね。」
「うん、魔力消費量が多めで、長く発動させ続ける魔法ではないから、使いどころが限られる魔法だけどね。」
「軍人としては、色々と使う場面が想像出来ます。」
その言葉にクラウスも頷いた。実際に【驟雨】の雨量を見ているクラウスも、使い方次第では、非常に戦況を優位に運べると思っていた。
ザビーネも、魔法陣は読める。だが、凍結ゴブリンを破壊する為に、これ程の魔法を使った理由は理解出来なかった。
「それはね、」
ルウィージェスは、先程クラウスにした説明を繰り返した。
「未知の感染病ですか。それなら、確かに感染した土ごと消し去るのが確実ですね。でも、雷でそこまで出来るのですか?」
「範囲が狭ければさっきの雷でも十分に出来るよ。この広さを雷魔法だけでやるのは、危険すぎてちょっと無理。雷魔法って、本当に危ない魔法だから、別な魔法で土ごと消したんだ。」
そう言いながら『魔法陣読解』で見せたのは【水魔法:プラズマ化】。
「これは、ルウィージェス様にとっても上級魔法になるのでは?」
珍しくエルンストが興奮を隠さない。
「うん、上級魔法。」
その言葉に、クラウスが喰い付いた。
「それじゃ、俺たちにとっては、」
「帝級魔法です。」
帝級魔法は、「存在は確認されているが、施行不可能な魔法」と定義されている。つまり、実際に目で見る機会なぞない魔法。それを実際に目にしたクラウスは、騎士ながら興奮する。
「俺、帝級魔法を見たのか!」
ルウィージェスは、エルンストに魔法陣を写した紙を渡した。
「今のエルンスト団長なら、一度だけなら施行可能だと思うよ。ただ、その後は多分酷い睡魔に襲われる事になると思う。」
今のエルンストなら読める魔法陣。だが、発動させてみようとは思えない程、魔法線の密度が高い。宮廷魔術師団が保管し、管理している「魔法辞典」に記録されているどの魔法陣よりも複雑で、魔法陣そのものも大きい。
「時間的に余裕がある時に、試してみたいと思います。」
エルンストの目が輝いていた。
魔法陣に夢中なエルンストの代わりに質問したのはザビーネ。
ザビーネは知っている。エルンストの魔法陣に対する熱量を。
「我々が担当した反対側も、全てのゴブリンを凍結させ、後は全てを破壊するのみとなっております。しかし、未知の感染症対策もしておいた方が良いとなると、ルウィージェス様に最後をして頂くしかないのですが。」
「うん、ぼくがするよ。」
「ありがとうございます。」
ザビーネがルウィージェスに礼を言うと、
「エルンスト団長、【驟雨】と【雷】してみる?」
「はい、是非に。」
付き合いの長いザビーネは、表面上に変化は見られないが、密かに超絶興奮状態のエルンストに、ちょっと引いていた。
話し合いの結果、エルンストとルウィージェスが、宮廷魔術師団員が担当した範囲の残りを片付けに行く。終わり次第、ヴォルズム領騎士団員に、付与魔法や身体強化法の指導に当たる。
ザビーネはリリーエムラ公爵家の領騎士団員たちに付き、魔法制御等の手伝いをする。結界はカリンが神術で張り、適宜調節する。
王国騎士団員は、リリーエムラ公爵家の領騎士団員や、ヴォルズム領騎士団員に、付与魔法や身体強化法の指導に当たる。
クラウスは、付与魔法が出来る団員に、更なる魔力速度を上げる方法を伝える事にする事となった。
リリーエムラ公爵家の領騎士団員も、ヴォルズム領騎士団員と同様に、身体強化方法を学ぶ事となり、ルウィージェスがカリンに念話でその旨を伝え、アルルン・フォン・ジマーマンもウィルヘルムたちにその旨を伝えに移動した。
ウィルヘルム班で結界を張り続けた魔術師たちに休息を取らせる必要があるし、普段、あまり魔法を使わない騎士が魔力制御法の訓練を行うと、慣れない魔力量低下から、強い疲労感に襲われる。
先に、宿舎と風呂を建てておく事にする。
場所は、ライラン領都から団員を呼ぶために【ゲート】を展開したヴォルズム領騎士団の訓練場。
ここは、元伯爵領だったライラン領都の演習場よりずっと狭い。ライラン領都の様に、馬を自由にさせておくスペースがない。
そこで、リリーエムラ公爵家の領騎士団はライラン領都に残してある宿舎と風呂を使う事にし、【ゲート】を固定した。種類を問わず、ルウィージェスの魔力で作った魔石を持っていれば、通れる仕様にしておく。
馬は、ライラン領都の宿舎に残す。ライラン領都の宿舎の周りは、ルウィージェスの妖精魔法で、緑豊かな場所となっている。馬たちも、新しい環境に漸く慣れてきている。そのままにしておく方が、ストレスが少なくて済む。
但し、王国騎士団と宮廷魔術師団の荷馬車だけは移動させておく。緊急時に、荷馬車ごと移動させるのは時間がかかるが、馬だけなら、そう時間はかからない。
ヴォルズム領都の宿舎に止まるのは、騎士団125人、魔術師団180人とルウィージェスとカリンの、総勢307名。今回も一般騎士用の部屋を1として計算すると、
クラウス、エルンスト、ザビーネ、ルウィージェス+カリンで各3部屋分 12部屋分
副官のベルント 2部屋分
一般団員 301名分 で、315部屋分
それに、小会議室と大会議室を85部屋分で作れば十分。
必要なのは、400部屋分。
今回はエルンストに建てて貰おうと思っている。男爵位を持つザビーネの部屋はエルンストたちと同じで構わないが、流石に、一代限りのみの騎士爵位しか持たない副官のベルントも同じにするわけにはいかないので、仕方がない。
同じにしたら、生真面目なベルントの方が萎縮してしまい、落ち着かないだろう。
400部屋分の規模なら、ギリギリ、エルンストでも出来る。
「エルンスト団長、リリーエムラの領騎士団員はライラン領都に残してきた宿舎を使うから、こっちは400部屋分くらいで済むじゃない?」
そう言いながら、『宿舎魔石改魔石』を取り出した。
「この魔石を400部屋分に縮小させるから、エルンスト団長、やってみる?」
「え、私でも出来るのですか?」
「うん、ライラン領都の宿舎は大き過ぎるけれど、400部屋分なら出来るよ。ちょっと疲労感を感じるかもしれないけれど。」
「えぇ、是非やらせて下さい。」
ルウィージェスは、部屋数を400個分に設定し直す。
「間取りは、ライラン領都の全く同じで、変更点とかは全て反映させてある。」
ルウィージェスは、『宿舎魔石改魔石』を4つ作成し、エルンストに渡した。
「固定は、アリカントにお願いしよう。」
先ほどまでゴブリン破壊に奮闘していたアリカントも、新しい魔法が覚えられる事で、嬉しそうだ。
アリカントに【土魔法:固定】の魔法陣を教えると直ぐに覚え、嘴の先に小さな魔法陣を出したり消したりして、練習し始めた。
同じ敷地内に、男女別の風呂も建てる。
攻撃魔法を持たない宮廷魔術師団の団員も手伝い、宿舎と風呂の範囲を決める。
空間魔法を使っているとはいえ、しっかりと四隅が直角の長方形にした方が、消費魔力は少なくて済む。ルウィージェスが建てる場合は、少々歪んでいようが全く支障はないが、今回はエルンストが建てる。少しでも、魔力消費量を減らせる方法を取る必要がある。
ルウィージェスが上空に飛び、上から紐で描かれた長方形の形を確認しながら、微調整する。
「うん、きれいな長方形になった!」
角に立つ団員には予め『宿舎魔石改魔石』を渡してある。ずれないように、細心の注意を払いながら魔石を埋める。
「アリカント、魔石を埋めた所に【固定】を掛けて!」
アリカントが魔石を埋めた4か所を固定していく。
「それじゃ、エルンスト団長、土の上から魔石に魔力を流して、4か所が繋がる事を確認して!」
エルンストは、自分が魔石を埋めた場所に手を当て、魔力を流す。
5秒程時間がかかったが、埋めた4つの魔石全てに魔力が流れた感覚が伝わって来た。
「ルウィージェス様、繋がりました!」
「ライラン領都に建てた宿舎を思い出しながら、建物をイメージして、一気に魔力を流して!」
エルンストは、魔石に魔力を流した状態で、一度深呼吸をして余計な力を抜き、呼吸を整えた。
ライラン領都に建てた宿舎を思い出す。外観は、特記すべき特徴はなかった。世界樹の空間は後付けだったから、そこは考えなくていい。
「行きます。」
息を大きく吐いた。魔石に魔力を流している右手に魔力を集める。そして、一気に流した。
魔石を埋めた場所から光が迸った。
縦に走る光は柱。横や斜めに走る光は補強用の梁と壁。そして中で渦巻く光は内部構造や備品になる。
1分後、目の前に、ライラン領都で見た宿舎と同じ物が建った。
「出来た…。」
エルンストは感動していた。
「団長、やりましたね!!」
魔術師団員がエルンストの所に集まり、拍手を送る。
上空から降りてきたルウィージェスは、自身の魔力を溜めた魔石をエルンストに渡した。
「ゆっくり立ってみて、立ち上がろうとしても、下に落ちるような感覚があったら、座ったまま、この魔石から魔力を補って、少し座ってて。」
「承知しました。」
普段は感覚で残魔力量を確認するエルンストだが、今回は、久し振りに自分のステータスを開き、視覚的に残魔力量を確認した。
「あぁ、流石に結構減りましたね。ここまで減らしたのは初めてかもしれません。」
魔石を使ったとは言え、残る魔力残量は、4割を切っていた。
その時、新しい加護が付いている事に気付く。
「ルウィージェス様、『神獣からの祝福』というのがあるのですが、これは?」
今それに気付いた、しゃがみ込んだままのエルンストに驚くルウィージェス。
「エルンスト団長って、クラウス団長もだけど、あまり自分のステータス、確認しないんだね。」
「はは、そうですね。この年になると、そう大きく変わる事って、あまりないですからね。」
そういうものなのか、と納得するルウィージェス。クラスメイトたちは、結構こまめに確認しているので、それが普通なのかと思っていた。
「その『神獣からの祝福』というのは、雪狐親子からのだよ。」
周りには宮廷魔術師団の団員もいる為、改めて加護について説明する事にする。
「そう言えば、守護の加護は一人にしか与えない、と以前、言われていましたね。」
「うん。しかも、ランとニックスたちは同等の立場だから、加護を重ねるという事はしないんだ。エルンスト団長は、鳥のランから加護を受けたから、同じ鳥のヴェズルフェルニルから加護を受けた。こういうのは結構ある。王都では、四つ足神獣に出会う機会がないから、クラウス団長は未だにニックスからしか加護を受けていないけれど、四つ足神獣に出会う事があったら、新たに加護を受ける可能性は十分にあるよ。」
それを聞いて手を上げたのは、エクストラヒールの使い手のミラ・フォン・ハルトマン。
「偶然にでも、守護の加護が重なるって言う事はあるのですか?」
その問いに、首を左右に振りながら答える。
「あっても、弱い方の加護は弾かれる。」
「おぉ~、」
団員たちの声がハモる。
「鳥族から守護の加護を受けているエルンスト団長には、四つ足獣族からは守護の加護を与える事は出来ないけれど、『加護を与えたいくらい、気に入っています』という意味で、あの親子は加護の一つ下の『祝福』をエルンスト団長に送ったんだよ。」
それを聞いたエルンストは、思わず自分のステータス上にある『神獣からの祝福』を指でなぞった。その文字を見つめる目の奥は緩んでいる。
エルンストは、ステータスを他人が見えるようには設定していない為、部下の団員たちには見えていない。
「因みに、その『神獣からの祝福』は親子全員から受けてます。クラウス団長は、ニックスから『魔道神獣の絆』を受けていて、ミルとシュネーからは『神獣からの祝福』を、ランからは『神鳥からの祝福』を受けているよ。」
クラウスからは、そういう話は聞いていない。恐らく、クラウスも気付いていないのだろう、とエルンストは思った。
エルンストは、ゆっくりと立ち上がってみた。ふらつくこともなく、ルウィージェスが言う、下に落ちる感じも、しない。
「あ、大丈夫そうだね。でも、魔力は補充しておいた方がいいかも。この後、【雷】試してみるんでしょう?」
「そうですね。特に異常はありませんが、ちょっと筋肉痛でしょうか。筋肉のこわばりを感じます。」
「あぁ~、軽い魔力欠乏だね。普段より、全身を巡る魔力量が少ないから、痛みとして感じているのかも。」
「それでは、これが、団員たちが訴える痛み、なのですね。」
それを聞いた魔術師団員たちは、小さく溜息をついた。
「団長って、欠乏症、経験した事ないんだね。」
ミラが小声で、隣に立つハイヒールの使い手シルステンに呟くと、
「漸く、私たちの辛さを理解して貰えたみたいですね。」
その呟きに皆が同意する。
ルウィージェスにもしっかりとその呟きは聞こえていたが、ルウィージェス自身も、魔力欠乏症を経験したことがない。
下手に質問とかしない方が無難そうだ、と子どもながらに空気を読んだ。
ルウィージェスも、成長している。
今回の第61話から、ザークセン州領の話が始まりました。
ルウィージェスは、ゴブリン戦が終わったら惑星カティアスに移動する為、今は、自分の眷属となったクラウスとエルンストに、渡せる限りの情報を残し、思いつく限りの魔法陣を伝えようと、頑張っています。
次は、来週11月7日(土)20:00公開予定です。
第67話 「ゴブリンの襲撃㉜―ヴォルズム⑦―」
来週もよろしくお願いいたします。
また、お会いできるのを楽しみにしております。
月 千颯 拝




