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8-1





「はぁ…はぁ…、クソッ! 何でこんなにも数が居るんだよ!?」


「知るか! とにかく逃げるぞ! 奴らの足音が近い」


「逃げるって何処によ!? 追われたままじゃ町に行けないのよ」




 あの人達、何であんなに焦っているのでしょうか。

 たいして強くない集団、低レベルの装備、足りていない想像力。


 逃げている先を、誘導されている事に気付いていない様ですね。


 どうするのですか? キコツさん?



「当然、助太刀致す。如何に戦士と言えどもまだ子供。未来ある若人を失う訳にはいかぬ。龍悟殿、合わせられるか?」


「合わせるだけなら。鬼骨さんには並べないけど」


「上等。弥槻殿、援護を頼むぞ!」



 あ、助けるんですか。

 人間3人くらい、見捨てても問題ありませんよ? どうせ直ぐに増えるのですから。


 まあ、やりますけど。

 取り敢えず、その辺りのゴブリンの動きを止めれば良いですか? やりますよ?



「童共よ! 助太刀致す!」


「誰っ!?」



 間違って考えている人が多い様ですが、魔人、魔族、魔物はそれぞれ別物です。

 魔人は人間の一種ですが、魔族と魔物はほぼ同じです。違いと言えば、知性や理性を持って他種族と友好的かどうかですね。


 魔族にもゴブリンは居ますが、小鬼とゴブリンは違います。


 詳しくは、メチルさんやフィシリアさんに聞いてください。私よりも正確な答えが返ってくると思います。



「今は気にすんな! 取り敢えず俺達に任せろ!」



 ……臭いです。


 流石魔物です。匂いで既に殺しにかかっていますね。こんな時に、聖術の浄化は便利です。

 ある程度なら匂いも消してくれるのです。魔術にも似たものはありますが、あれは汚れを落とすだけなので染み着いた匂いは消せないので。


 ともあれ、一掃完了です。


 なにせ元魔王の剣豪に、現役勇者の人間兵器ですからね。この程度、障害にすらなりません。



「えーっと、君達は無事か? 」


「あ、はい。大丈夫……貴方達は?」


「俺は龍悟、それなりの戦士だ。あそこの人は鬼骨さんって言って、とても強い侍。で、彼女は弥槻さん、俺の嫁だ。ちょっとこの先の村に用があってな、向かってる最中にたまたま君達に居合わせたって所だ」


 

 調べましたが、このゴブリン達には王が居るらしいですね。


 どうしますか?

 私はやりたくないです。無駄に数が多いですし、臭いので。



「規模はどの程度だろうか?」



 そうですね…2000程でしょうか。

 良くこれだけ増えて、騒ぎになっていませんね。


 ほら人間って、このような事に敏感じゃないですか。



「いや弥槻さん。普通この数は騒ぐ案件だぞ? 余裕なのは、弥槻さん達みたいな一部だけだから」


「あぁーっ! こうしては居れん。村へ急がねば! ミレディ殿、ティティ殿、村の人が危険だ! 耐えていてくれ、ハルトマン殿!」


 行ってしまいました。

 かなり方角からずれていますが、キコツさんなら大丈夫です。きっと上手いこと村へ到着するでしょう。


 龍悟さん。私達も行きましょう。

 そして早く帰りましょう。



「待って。その集団の場所と、村からの距離は分かる?」



 村は分かりませんが、群れなら村の反対方向ですよ。少なくとも、今すぐにどうにかなる距離ではありません。

 この群れは数こそ多いものの、まだ発生して間もない様です。なので、大きな行動をとるとすれば今日から長ければ5日以内てしょうね。


 手早くやれば、何事もなく帰れますよ。



「ん~…そうだな。早く帰って弥槻さんとイチャイチャしたいし。あっ、君達も帰っていいからね。もう用は無いから」


「貴方達はそれで良いんですか!? 早くギルドに報告しないと、近くに暮らす人達が危ないんですよ! 」


「だから?」


「…え?」


「だから何だと聞いてるんだ。まさか俺達に、群れに突っ込めなんて言わないよな? 見ず知らずの人間に、そんな危険な事を押し付けるってのか? そもそも、別に近くに知り合いが居るわけでもないし、どうなろうと知ったことじゃねぇな。君達の実力じゃ、ギルドの召集で集まっても死ぬだろうな。とっとと逃げた方が身のためだぜ。じゃ、俺ら行くから」



 なんか違います。

 これでも、魔族です。勇者に討たれる側の存在です。


 興味こそなかったですが、勇者の情報は嫌でも入ってきます。この中には困っている人間を助け、人間に仇なす魔物を殺し尽くす。と聞いています。


 


「正直さ、魔王領に行くまで魔族って獣みたいなのだと思ってたんだよね。話してみると全然人でさ、流石に殺せないわ」



 あ、龍悟さんも勘違いしているのですか。

 私も魔族ですので、言っておかなくてはいけませんね。


 あんなのと一緒にしないで下さい。


 普段から魔族を魔族と呼んでいる龍悟さんなら、問題は起こらないと思いますが、間違っても魔物と一緒にはしていけませんよ。


 流石に、それは失礼にあたりますので。


 例えるなら、人間に猿と言うようなものです。


 本能でしか生きないモノなど、獣と同等です。小鬼の人達でも、普通にゴブリンを殺しに行きますよ。あんなのは、害獣駆除でしかありません。



「成る程な、納得だわ。進路変更していい? 潰しに行く」



 嫌ですが、良いですよ。

 今回の私は、龍悟さんに着いてきただけなので。行くところへご一緒しますよ。


 





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