第七十六話 へいしるきょうしゅう
「お邪魔するのである」
城のお風呂で湯編みをしている最中、ふつうの壁にいきなりドアが現れ、その中から骸骨姿のリッチーのヘイシルが現れた。
ぎゃー!
反射的に手元にあった手桶をぶん投げる。
「時と場所を考えてください!」
私は叫ぶと同時に、ダッシュで風呂から上がると、身支度をして自室にて待機する。
しばらくすると、私の部屋の壁に例の扉が現れた。
「いやはや、申し訳ない」
そういって、のそりと骸骨姿のリッチーが現れた。
こいつの骸骨姿は、夜中に現れると、中々にホラーな感じだ。
「で、こんな夜中になんのようですか?」
というか、ここ、お城の中でもとびきり警護が厳重なセクションのはずだけども。
教会の力も借りて、魔術的な結界なんかもたしか張っていたとか聞いていたような気が。
「今日は我輩、アインス殿を招待すべく、こうして、まかりこした次第である」
「招待?」
「左様。我輩の大事な顧客である、某女史に頼まれたのである。我輩としてもお得意様の頼みであるがゆえ、断りづらく、こうしてまかりこした次第。まぁ、アインス殿が拒否なさるならば、このまま尻尾を巻いて帰るのであるが」
そんなことを言ってきた。
ふむ。私に客か。それも女性。
「ちなみに、マオール様の妹のエミーとか、そういったオチじゃないわよね?」
「そこは違うとはっきり申しておこう。吾輩の名誉にかけて、けして危害は加えぬので、そこはご安心くだされ」
まぁ、こいつに限って、私を嵌めようとかは、ないだろうなとも思う。
うーむ。よし。
「まぁ、そこまで言うのならばわかりました。そのお客様にお会いしましょう」
「それはありがたいのである」
そうして私は、ヘイシルが壁につくった扉に入りこんだ。
開けたその先はどこかの建物の大きな広間だった。
真ん中に長机が設えてある。
「あのー、ここはどこですか?」
「大変申し訳ないのであるが、ここは、どこかという質問には、お答えしかねるのである。客の都合なのでご理解していただきたい」
申し訳なさそうにヘイシルが言ってきた。
「ヘイシル様。お客様をお連れいただけましたか?」
長机のさらに奥。
そこにある小さな扉から女性が入ってきた。
薄い色の金髪が胸元まで垂れている。
ほっそりとした白い手足は折れてしまいそうだ。
そして儚げな美貌は、男性を一瞬で虜にしそうな、感じだ。
しかもそれでいて巨乳。
まさにパーフェクト。
あと、あれ、あなた、耳が・・・?
「アインス様。ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。私は、この城の主で、リートと申します」
そういって、優雅に頭を下げた。
そして、髪の毛が下に垂れてはっきりと見えたその耳は、あきらかに長かった。




