第三十三話 あとしまつ
「あ、暑い・・・」
私は、今日は割と薄着で、いつもの白鷺亭にて、休んでいる。
・・・最近は、ソニヤの物まねが板につきすぎて、内面も引っ張られている気がする。気をつけないといけない。
俺が、ぼーっとしているのを気にしてか、店主が気を聞かせて、レモン水の蜂蜜入りを作ってくれた。
うまいぜ!
「アインスよ。その、なんというか、胸元をパタパタするのをやめた方が良いぞ」
向かいに座っている魔王が注意をしてくる。
ん? そうか?
一応、下着でちゃんと胸は隠しているから大丈夫だと思っていたが。
「そういえばマオール様。先日の男達ですが、あの後どうなりましたか?」
あの後、縛った男たちは、ふらっと現れたゼクスと魔王とで、処理をした。
「皆さん、本当にトラブルに愛されてますねー」
などとゼクスがうそぶいていた。
いやいや。お前もトラブル担当だろうが、と心のなかで突っ込んでおいた。
魔王が、何人もの男達を、一人、一人抱えて、どこかへと連れ去っていったのを最初怖いもの見たさで眺めていた。
が、やっぱり、怖かったので、俺とカミーナは途中で撤収させてもらった。
荒事には向いていないもので。
「あぁ、連中か。やつらには、ちゃんとターゲットを始末した夢を見てもらったよ。そして、俺たちのことは、すっぱりと記憶から消させてもらった」
本当になんでもないことのように言った。
今日の新聞(活版印刷で作っているっぽい。だからファンタジー世界で(以下略 )を読みながら。
「ど、どうやって、そんな夢を見せたんですか!?」
一応、突っ込んでおく。まぁ、魔法だとは思うが。
「ん? 催眠術だな。誰でも訓練すれば使えるぞ」
魔王様が重々しく断言された。
ほんとかよ。
だが、まぁ、いい。
このあたりは、突っ込みすぎると自分も火傷をする。
よし。
俺は気合いを入れ直すと魔王に向き直る。
「マオール様。海外出張の件ですが、もしよろしければ、ご一緒に移動しませんか?」
もう、魔王が、会議へと向かうことは止められない。
それならば、せめて、俺の目が届く範囲にいてほしい。
じーっと、魔王を見つめた。
しばらく、うつむいて考え込んでいた魔王だったが、一つ頷くと、俺の提案を承諾した。
「ちなみに、マオール様は会場には入らないんですよね?」
会場近くまでは付き添いの者なんかも入れるが、会場内は王族とかのVIPと、その補佐官、護衛程度しか入れない。
まちがっても、ソニヤ姫としては魔王を会場内に一緒に連れ込むことは不可能だ。
「そうなのか? ふむ。まぁ、わかった、その辺はなんとかしよう」
どうやってなんとかするんだよ。
心の中でどついた。




