第二十八話 けっせん! いぞぎんちゃく(かり)
「どちらさまですか?」
「ふふふ。聞いて驚け! 我が名はエミー。夜の支配者にして闇の女王!」
なんか、ポーズをとりながら恥ずかしげもなく、さらさらと言葉を紡ぐゴスロリ少女。
「はぁ・・・。で、その夜の女王さんが、一体私に何の用です?」
「闇の女王だ! ふん。まぁ、いい。冥土の土産に教えてやろう。お前は、私の大事なお兄様をたぶらかした。その罪万死に値する! よって貴様に私自ら罰を与えに来た!」
「はぁ、お兄さんですか?」
なんとなく、嫌な予感がする。
「くくく。貴様に科す刑罰は、既に熟考の末、決まっておる! 出でよ! チコニャン!」
そしてエミーは懐からボールのようなものを取り出すと、こちらに向かって放り投げた。
そして俺と、エミーと名乗ったゴスロリ少女との間に、ボールが落下し、光ると同時に煙が吹き出した。
煙が晴れたところには、ぱっと見、巨大なイソギンチャクのような、何本もの触手が、うねうねしている化け物がいた。
ただ、その触手の先っちょが滑らかなぶよぶよな形状で、変な汁がわいている。
見た瞬間にその気持ちの悪さで、気分が悪くなる。
しかも、嫌な予感しかしない。
「あたしの友達のチコニャンよ。かわいいでしょ? さて、もうわかっているかもしれないけど。・・・あなたの刑罰は、この子と一緒に『一生ずっと遊び続ける』ことよ!」
その言葉と同時、チコニャン(仮称)の触手が、俺の手足に巻き付いてきた。
避ける暇もない。
「キャーッ!」
って、女の子っぽく、可愛らしく叫んでもしかたがない。
さすがに、目の前に触手がうねうねと現れ、その先っちょが割れて中から変な液体が出たところで、意識を失いかけた。
こ、これは、やばい!
こんなのに襲われるくらいならば、魔王に襲われた方が何倍もマシだ!
この気持ちが悪い化け物に、手足を縛られ、目の前まで触手が近づいてくる、という絶体絶命のピンチに、さすがに心が萎えかける。
俺が絶望してかけているとき、不意に戒めが解かれた。
なんだか、一瞬だった。
俺の周囲が光輝くと同時の一瞬の出来事。
しかも、よく見ると、例のイソギンチャクも、きれいさっぱり消えていた。
これはサービスなのかも知れないが、エミーの服も一緒にきれいさっぱり消えていて、マッパになっている。
ありがとうございます。
「くっ、やってくれるわね、売女! この借りは、今度返してやるから、覚えていなさい!」
そんなことを言い残し、エミーはマッパのまま巨大なタコに乗って、海の方に戻っていった。ちょっと泣いていたようにも思える。
エミーの裸、キレイだったな、などと思っている俺は、多分きっと天罰が下るべきだろう。
そんなことを思って、ぼー、としていると、上から、マントが被された。
「妹が迷惑をかけたな」
そういって、魔王は申し訳なさそうな顔をしていた。
でも、目線は俺の顔より下を見ている。
自分の体を見下ろしてみると俺もマッパだった。
速効マントにくるまった。




