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最終話

 ユリウス王子の失態は、すぐに王都に知れ渡り、勇者アンリを失った責任を取らされてユリウス王子は、王位継承権の廃嫡を命じられた。

 

 さらにブラフは辺境伯という、高い貴族の位をもらったのに対して、本来は、公爵や侯爵といった地位がもらえるはずが、ユリウス王子は貴族位はもらうことができないで、騎士団への入隊が命じられた。


 王国の王子として、あまりにも不甲斐ないと言うことで、王からの直々の命令であった。300名のユリウス王子の兵士として命じられた隊長たちは、無事に我々のグシャ領で受け入れることが認められ。


 俺たちの領地は一気に人が増えることになった。


「トオル様、資材はこちらでよろしいですか?」

「ああ、一通りこれで終わりだな」


 隣国との戦いから、一ヶ月ほどの期間が過ぎた。

 ソカイの家令さんとはあれから、上手く連携を取れるようになり、グシャ領で取れる木材や魔物の肉を提供することで、ソカイから物資の提供を受けている。


 隣国の将軍とも、仲が良くなって一夜城は、すぐに撤廃して互いに国境を守る条約を結ぶことにも成功した。


 急ピッチで作り上げた家々は木造建築の長屋で、300名の兵士一人一人に部屋を与えることもできた。


「俺、自分の家を持つのは初めてだ」

「うぉ〜!! 家族も移住させてぇ〜」


 兵士たちがグシャの生活に慣れてくれたことで、畑仕事や魔物討伐、木々の伐採が順調にできるようになった。


 俺のレベルも順調に上がっているが、一番の成長株は、フルフルだろうな。


「お父さん! あれ、倒していい?」


 半年を迎える頃には、ほとんど大人の女性と変わらない見た目になったが、中身はまだまだ子供なので可愛い娘だ。


「パパ! あれだして!」

「あれって、全く。トオル、カタログを頼めるかい?」

「ああ」


 最近のフルフルは、狩りを趣味にしている。

 スナイパーライフルを出してやると、屈んで構えをとり、フリフリとドラゴンの尻尾が揺れている。


 ズボンなども特注で作ってやったが、なかなかに良い出来になった。


 ーーズドン!!!

 

 スナイパーライフルが発射されて、魔物が倒れる。

 弾丸ではなく、魔力弾が放たれる仕様なのは、正直未だに原理がわかっていない。


「よくやった」

「へへ」

 

 俺はフルフルの頭を撫でてやり、ブラフと共に教会へと向かった。


 ユリウス王子の事件から、少し経ってから二人の女神様を祀るために教会を建てた。美と愛の女神フレイヤ様は、教会に行くと寝転んで酒を飲まれている。


「フレイヤ様。おはようございます」

「なんじゃ、今日も祈りかえ? ふふ、お主たちは信心深いのう」

「お二人に見守っていただいているおかげで、グシャの地はどんどん発展していますからね」

「何を言うておる。お主たちの絆であろう? 妾は、それを楽しく見守っておるだけよ。最近は神界で、我の創作がバカ受けよ」

「うん? 創作ですか?」


 寝転んでいた体を起こして、ニヤニヤとした顔で座り直す。


「そうじゃ女神たちの間でお主ら二人は随分と有名になったのじゃぞ」

「俺とブラフがですか?」

「そうじゃ! 初めての出会いから、互いに絆を確かめ合い、そして互いの危機を通じて絆を深め合う。その結果、美しい娘を授かった二人の功績は、妾の中で高く評価している」

「あっありがとうございます」


 なぜだろうか? 褒められている気がしない。


 自分がしてきたことが、女神様に娯楽を与えていると言うことはわかるのだが、何故だかムフフと女神さがスケベな目をしている。


「良いのう良いのう。尊いのう。して? 次は何をするのじゃ?」

「次? 次とは?」

「なんじゃ、考えておらぬのか? お主たちも物語は始まったばかりであろう? もっと妾を楽しませよ。鍛治神の奴は姿を見せてはおらぬが、トオルのことを慈しんでどんどんスキルをプレゼントしているじゃろ? ブラフも成長してきて、ますます美しく可愛くなってきたではないか? なんなら夜の営みをしても良いのじゃぞ」


 なぜか、女神が凄く世間話好きな下ネタ好きなオバちゃんに見えてしまう。


 見た目は、この世界でもっとも美しいはずなのに、残念に見えてしまうのは俺だけなのだろうか?


 隣を見ると、フレイヤ様が姿を表している間は、俺以外の時間が止まる。

 

 ブラフが、祈るような姿勢で固まっているのだ。


「まぁ、ブラフのことは嫌いではありません。ただ、俺はやっぱり女性が好きなので、そこまでは考えられないですね」

「なんじゃ、お主もノリが悪いのう。もっと楽しませてくれるならたくさんのスキルに恩恵、加護をくれてやると言うのに」

「はは、今でも十分ですよ。本当にありがとうございます」

「欲のない奴じゃ。じゃが、お主たちを見ていれば、もっと楽しそうなことをしてくれそうじゃからな。楽しませよ」

「はっ!」


 俺はブラフを連れて教会を後にする。

 フレイヤ様が来てから、ブラフは男性とは思えないほど美しくなっている。

 ちょっと、フレイヤ様の望みを叶えてしまいそうで怖い。


 少しだけ開拓が進んだ丘の上でブラフと並んで、領地を見下ろす。


「ねぇ、トオル」

「なんだ?」

「トオルがいなかったら、ここまで発展することはできなかった。本当にありがとう」

「お前がいなかったら、俺のカタログ召喚は意味がなかった。俺に意味をくれたのはブラフだろ」

「はは、そう言ってくれると嬉しいよ。僕らは二人で一人なんだね」

「ああ、これからもよろしくな。相棒」

「うん。よろしく。相棒」


 俺たちは握手をして、ブラフから抱きつかれる。


「浮気しちゃダメだよ」

「えっ?」


 ブラフを見たが、笑顔で見つめられるだけだった。


 どうも作者のイコです。


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 良ければ応援をよろしくお願いします

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