驚きの提案
「やれやれ。学のないお前のことだから、もしやとは思っていたがな。こうまで予想通りだと拍子抜けものだ」
「うるせぇぞ。こっちはきゅーけーちゅうなんだよ。いくらご主人様だからって、使用人がどこで休むかまで干渉すんなよ」
「ここは私以外立ち入り禁止だ」
「聞いてねーな」
「なら今言った、早く出ろ」
「あっそ。その車椅子で体当たりでもして追い出せばそうするよ」
のっけから険悪だ。
尊大に安楽椅子にもたれるエヌマは煙草を吹かし、煙を迷惑そうに払うリートン教授は、薔薇の様子を見つつ世話をする。
「おい耳長族」
リートン教授が世話の手を止めてエヌマの方を向いた。
呼ばれた耳長族は、煙草の煙を吐きながら不愉快そうに返事をする。
「んだ車椅子」
「お前、演技は多少出来るようだが、あの程度は世の中に掃いて捨てるほどいる」
「・・・・・あ?」
恐らく先日の夜のことを言っているのだろう。酔っていたとはいえ、エヌマは演技をして見せた。
当のエヌマは眉間に皺を寄せて、リートン教授を睨む。
自分の生き甲斐にケチをつけられたのだから、彼女らしい反応だ。
「何が言いたい?」
声が低い。明確にいかりを抱いている。
しかし、リートン教授は涼しい顔で薔薇の世話を続けながら、言った。
「練習をしろ。才能だけでやっていけるほど、甘い世界ではないはずだ」
「んだとぉ?」
「場所はそうだな。ここで良いだろう、人も私以外こないしな」
「ちょ、ちょっと待てよ!?」
エヌマは慌てた。吸殻をその場に落としかけたり、安楽椅子にもたれ過ぎてひっくり返りそうになったり。
リートン教授は呆れていたが。
「あ、あんた、人間変わってねぇか? 何で私にそんなこと言うんだよ!? き、気持ち悪いぞ!」
「ふん。私とて自分に驚いているさ。しかし、たまには嫌いなものに親切にしてやるのは悪いことか?」
「悪いこと以前に、気持ち悪いって言ってんだがな」
「とにかく、親切は受けとれ。本当なら魔法で追い出すところだ」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
これからエヌマとリートン教授の関係がどうなるのか、見守っていただけると幸いです!




