二人の練習
「お前の演技はやかましいな」
良く知られた喜劇の主役を演じるエヌマを、退屈そうに眺めるリートン教授は辛辣に評していた。
「あぁ!? んだとぉ!」
「ふん、それだそれ。普段のお前は声量と熱を無駄に垂れ流している、演技では洗練したものに変えろ、と言っている」
「ケッ、言ってる意味がわかんねぇよ」
「要するに、これだ」
リートン教授は庭園の噴水を指差した。
それ以上のことは言わなかったので、またもやエヌマは首を傾げる。
「あ? どーいうこった?」
「これがただ水を噴き出すだけなものなら、誰も庭に備え付けることはないだろう?」
「そりゃーな、飛沫とか邪魔だしな」
「それがお前だ。この噴水というものが景観に成り得ているのは、洗練された水を吹き出すからだ」
「つーと、私の演技は迷惑ってことか?」
「だからそう苦情を言っている」
ムカーっとエヌマは顔を真っ赤にした。
しかし、面と向かって自分の演技を見てもらったことはなく、また一人で行う練習ばかりだったためか普段よりも謙虚な雰囲気がある。
要するに、感情を上手く動かせということ、だとエヌマは自問した。
自分の中で必死に考えたものを実際に行うのである。
楽しいはずである、表情にも現れていた。
不満を言うなら、講師がリートン教授であることぐらいか。
「神よ神様よ、どうかこの陰険極まりない老人に罰を与えたまえ」
「台詞が違う。愚か極まる、だ」
「おっと、目の前にそんな老人がいたからつい間違えた」
「素直に我が身は愚か者だと言っておけ」
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