双刀互いに相対す4
ちょっと、一か月間、設定集を作ります故、更新が少々遅くなります。
予めご了承ください。
ブックマーク数900達成!!ありがとう^^
あっという間の出来事だった。
青忍者もろともライトは大きな津波のように迫ってくる雪崩に襲われてしまった。
雪はその凄さを物語るように、森の木々をも圧し潰しライトのいた周り一面に積もった。
そうした間隙を突くような出来事の数分後。
雪の上をギュッギュっと音を出しながら歩く人影があった。
「お~い、ジルさ~ん生きてますか~、と言うよりも生きてるはずですよね~」
全然心配していなそうな声でピーチは雪に埋もれているであろうジルに声をかけている。
パーティー限定の話だが、仲間の攻撃は受けてもノ―ダメージである。
流石に、コイツだから死んでもいいという可哀想なことではないのだ。た、多分(;・∀・)
その掛け声で気づいたのか、雪の中から初めは手が出てきて次にジルの顔が出てきた。
ピーチとそれに伴って来ていたユウはジルのそばに駆け寄ると彼を引っ張り出した。
「お、おい、ジ、ジル?」
ジルの顔は青白くなっていて今にも死んでしまいそうな色だったためにユウは少し焦り気味に声をかけた
「だ、大丈夫。だけど、アイスった...。」
ユウのそんな一生懸命な顔を見て、乾いた笑顔で宥めた。
仲間への攻撃はダメージ判定されないが、状態異常の判定はされる。一応、ジルもボルトからのサインでこうなることは始めから分かっていたため文句は一つもない。
「ユウ、他の奴らはどうしてる?」
「ああ、アクアは蘇生魔法中、スノウさんは大規模魔法のストップ中、ボルトはその護衛だな。」
アクアは後方支援・回復特化の魔法使いであるため、攻撃魔法はほとんどなく、スノウは大規模魔法の反動で数分の間動けない状態で、どちらも無防備なためVit、Def、Minの強いボルトが奇襲や突発的な敵の発生に備えている。
ジルはそれを聞いて、約一名のお空に飛んでいった仲間を思いだす。
「アーデル、どうしたんだろうか...」
「呼ばれて登場、我参上!!」
彼は吹き飛ばされながらも元気だった、それだけは分かった。がハッキリ言おう。
「「帰れ」」
ジルとユウの声がハモり、ピーチはアーデルを気味の悪い目で見た。
「なぬ!!」
なぬ、じゃねぇよこのタコ助が!!など呪詛をはきたくなったがジルははっとした表情でユウに尋ねる。
「アイツ、あのチート侍は!!!」
「死んだんじゃない?」
「いや、レニさんいないから分かんないんだよな~。」
「何、ジルが動けない限り、あの剣豪将軍とて同じぞい!!」
三人の話をうわべだけで聞きながら、ジルは起き上る。
辺りを見回してもどこにもいないがどう考えても上位魔法一発程度で死にそうな奴じゃない、ジルには確信があった。
すると急な風が吹き込んできた。
グサッ
「ぬは、ぬかったわ。死亡フラグでも立てればよかった!!オレこれが終わったらけk....」
アーデルの馬鹿なセリフで皆が視線をそちらに向けるとアーデルの左胸に刀が突き刺さっていた。
レニの如くアーデルの姿が崩れ落ちて、そこに光だけが灯る。※アーデルに三次元に結婚相手は居ません
そのアーデルの消え去った後ろから出てきたのは若干道着や袴などが着くずれしたあの侍だった。
ピーチとユウはジルを後方においた守りの形で侍に剣を向けた。
「...まじか......」
ジルはやるせない声でそう呟いた。
雪崩をモロにくらって雪に埋もれたままライトは、昨晩のレクチャーから学んだ自身のステータスを開いてみた。
名前 ライト・ジーニアス
種族 神族・修羅
職業 Main 熟練の侍Lv25 Sub 見習い鍛冶師Lv1
HP 42/830
MP 200/611
装備品 呪・妖刀ムラマサ 血呪・流浪の道着 血呪・流浪の袴
スキル 索敵Lv50▼ 隠蔽Lv13 異界の剣術(刀)Lv12 剣術(短剣)Lv1 鍛冶Lv1
縮地Lv28 下剋上Lv20 配下従属Lv5
称号 幸運を掴みし者 咎人を裁きし者 魔物になった人と心を交わす者 絶対強者
魅了せし剣舞する者 はじめてのPK♪
ふむ、しっかりと辻斬り認定されているな。
そのことにライトは自分が侍と認定されたかのように思えて、他人には理解の及ばない愉しさを感じた。残念なことにリーナからの助言はすっかりと忘れているようだ。
そうして時間を無駄にロスしながら、ライトはそっと耳を澄ます。
ォ―ィ・・・ィ・・・
敵の仲間が、ライトと一緒に巻き込まれていただろう青忍者を助けに来たようだ。
女の声が一番聞きやすいため他はあまり聞こえない、とライトは相手の数に疑問を抱いたので【索敵】を使ったところ敵は青忍者を除いて近くに3人、離れた位置に3人。
ライトは少しだけ顔を出して敵を見た。
幸いにして、青忍者と自分との位置は離れていたので、見つかりそうな危険性はない。
今、見つかりでもしたら、何故だか先程の攻撃の後から身動きがとりづらいこの体ではやられてしまう。
と、そんな心配していると研ぎ澄ましていた耳、ではなく頭に響くように、聞いたことのある声が聞こえた。
『貴公、大丈夫かな?....まぁよい、これは一方通行にしか聞こえはせん、手短にその凍傷状態とダメージは治しておくから、もう一度励め。』
と、唐突にアーサーからの言葉の後、暖炉に灯す火の色とその上に二重にしてあるような仄かな緑色が彼を包み込んだ。
どうやら体の調子が戻ったようだ。
「....分かった。」
聞こえはしない返事をしながらライトはこちらに背を向けている紫頭に奇襲した。
「...まじか......」
「ドンマイ、アーデル先輩!!」
「ジル、立てるか!?」
ユウはFLで剣術をある人から教えてもらっていることから剣士独特の強い奴のオーラというのが普通の人よりも分かる、であるからしてこの侍はヤバイと初見で見た時から勘が言ってくる。
剣士としてヤバいのもあるが、どうやらステータスやら武器やらもヤバい。
でも、負けられない、勝たなくてはならない。
辛うじて立ち上がったジルは相手との打ち合いの中でそれが分かってるのだろう、顔が引きつっている。
「ピーチはジルを連れてスノウさんとボルトを呼んで来い。」
これは賭けだ。
ユウ一人でボルトと凍傷状態の回復したジルが戻ってくるまでの時間を稼ぐという。
「え、ユウ兄ちゃんは!、まさか...分かったよ。」
咄嗟にピーチは反論するが、そうは言っても家族、どうこういっても聞く耳もたない兄と分かっているのかその場を任せジルに肩を貸しながらアクアのいる位置まで行こうとする。
「ユウ、アイツに目くらましは効かない...」
ジルは最後に自分と同じくトリッキーな動きが得意なユウに助言した。
「了解。」
ユウはそう言うと同時に侍へと向かい、一度、刀を鞘に戻す。
「居合、か。」
「そりゃここまで分かりやすかったら分かるわな。ここで少し時間を稼がしてもらう!」
刀の本体の大部分は相手に見えないよう上手く体で隠して刃を10㎝ほど出し、左手の小指、薬指、親指の付け根で鞘を握り、右手も同じ要領で刀の柄を軽く握る。
‘5分、5分保てば、仲間が来る!!’
居合の間合いは刀の長さや体に依ることが多い、なので相手にそれを悟らせないように心がける。
心理的な不安要素を何重にもしておくことが相手の判断を鈍らせるものとなる。
だが、
「ふん、ヌルい。」
侍はそう言いながら段々とこちらに近づいてくる。
ユウはそれを見て驚きながらも、ハッタリと決めつけてジッと己の間合いと相手が思っている間合いの駆け引きを行う。
侍は止まらない、歩みを止めない。
ユウの師匠もそうだ、間合いがどこだと分かっても構わず入る。
まるで、無駄に動きたくはないのだと馬鹿にしてるのかのように。
ユウの研ぎ澄まされた神経は最早、相手を斬ることしかない。
入ってくれば殺す、斬り伏せる。
後二歩
一歩
入った!!!
【シナノ流・弌の型・迅撃】
斬る!!!
パシュッ!
何かが斬れた小気味の良い音がした。
ゴト、カラン、カラン
ユウは自分の手元を見た。
右手が手首から切り落とされて、刀が落ちていた。
何が起こったか、先程までの光景を焼き付けた目にはそれが残った。
侍がユウが刀を抜こうとしていた瞬間の前に、いや抜こうとしていた時に侍だけ時間がゆっくりと流れ、基本の中段の構えから上半身は腰から押し出し、下半身は唯一歩踏み出す、そしてユウの右手を切り落とした。そう、ただそれだけ。
「居合を知って間もないな、小僧が。出直してこい。(今は斬れた。)」
ユウの居合流派は抜いて斬るを同時の動作として行うものだ、ユウの動きを見て侍、ライトは確信した。
居合は所作が早いし、間合いがとりづらい、だが、それだけだ。
居合のモットーはどんな状況でも放てることにある。
これはただの推測だが、抜刀術の居合の始祖、林崎甚助は戦国時代を生き抜き下剋上の無上の世を知ったことからいついかなる時でも刀を抜けるように準備をしておく必要があり、そこから抜刀術、居合を創り上げたのだと思う。
居合は不利・未知だからこそ相手の油断や疑念をつける奇手。
平手(将棋の言葉でどちらも同じ条件)では、悪手に過ぎない。
知ってさえいれば、居合の抜刀しながらの斬りは動きが限定されているため読みやすい、尚且つ斬るタイミングすらつかめやすいのだ。もう少しまともな者なら抜刀で相手の攻撃を受け流し、二の太刀にて相手を断つのだ、いくら腕に自信があろうと一撃で仕留めるには場の条件が必要だ。
スキルという達人級の抜刀術でも使っても、その過程の奥深さがなければ、実力は浅い。
これを剣術家として悪手と言わずに何とする。
「【毒霧】【効果倍増】【バインド】!!」
【毒霧】毒の霧を発生させ周辺に広がる。半径はレベルに依存する。
【効果倍増】サポート系、特殊系スキルの効果を一時的に上げる。(スキル対象外も存在する)
【バインド】相手を拘束する。効果時間は20秒、効果範囲はレベル依存。手の動きがそこまで早くないため素早い敵には避けられやすい。
ユウは左手を突き出してそう言う、手からおどろおどろしい色をした煙が現れたかと思うと次に黒き手が出てライトへと襲い掛かる。
迷わずライトは黒き手を斬るが、斬れない。
何度打ち込もうともそれは変わらず斬れない、終に黒き手がライトを縛り付けようとする。
ライトはそれを冷めた目で見ながら後方へ【縮地】した。
するとある一定の距離を離れたところで急に襲ってくるのを止めた。
別段誘い込まれたということもないようだったが、先のこともあるので注意は怠らない。
ライトはファンタジーな物を一切知らないようなそれこそファンタジーな生き物だが飲み込みは早い方だ。
‘推測するに、あれは自然な原理そのもの。ある場所でしか発現しないが、そこでは無敵といわけか’
ライトの推測は、何かとんでもない間違いをしているが、微妙にあってるような気もする。
刀=最強、刀で斬れない=無敵。
彼の頭はこうなっているのだろう。
ライトは後ろへの勢いを数歩で殺し、基本の構え、中段の構えから剣線を少々上向きにあげて右肩の力を抜いた。
ライト自身、ある程度分かっていたことなんだが、相手が想像以上に強い、といより面倒くさい。
個々がそれなりに強い、というより面倒くさい。
特殊な攻撃が特に面倒くさい。
針数百本から抜け出すなんて、祖父のしごきでもそんな鬼畜仕様はなかった。
絶対、次にやったら当たる、というより当たらなかった自分が凄い。
敵が集結しだしていることにライトも当然気づいてはいるが手を出すのは止めた。
そろそろライトとしても終わらせたいのでまとめて潰すことにした。
面倒くさいのは楽しくないとやってられない。
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