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フールオンライン  作者: ガウェイン大好きっ子
入学式から夏休み
28/46

新しいクラス

夏休み最高!!一日中寝てるっていうのがたまらん。

ガッカリ魔こと狩馬学生のファインプレーにより、その姉の雪江からの罰を受けなかった九条は、いつも通りのニコニコ顔で接客用のソファーに座って、俊光にも座るように促した。


俊光にしても用事と言う用事が無かったので素直に座った。


「トシ君は、クラスに行かなくてもいいの~?」


九条に聞かれたことで、気にすべき項目が見つかった。

あ、そういえば。と今頃自分の入学式を思い出した俊光はどこか抜けている。


「自分はクラスがどこか、知らないので。」


しれっと、どうしようもならないからサボります宣言を抜かす俊光。


「お前は、確か執事コース一組で、教室はR100だ。」


学園と無関係の人ならいざ知らず、学園の組織の一つでもある生徒会に知らないことはない。

轟が親切に俊光のクラスを教えてくれる。名前だけでどこのクラスにいるか分かるとは、中々の記憶力だ。生徒会役員は、全校生徒の名前とクラスはほとんど頭の中に入っている、しかし生徒写真を見るということはしないので顔までは分からないが、まあ、写真を見ても、今の俊光と写真の人物が同一人物だと思う人は殆どいまい。


「ええ、執事コースなの君!?」


多田野は、見た目的に危なそうな人物が、執事コースであるとは思えず、俊光に無意味な質問をしてきた。おおよそ、諜報部やら特殊部隊などの変人が集まるクラスだと予測していた。


多田野だけが意外感を感じたわけではないらしく、上岡も野崎も俊光に目を向けた。


「......祖父の稼業なので、その関係から......」


ぽつりと呟くように俊光は多田野の質問に答えた。


「へぇ~、親孝行なんだね。いや、祖父孝行かな?」


この少し不気味な感じの人物からの意外な答えに、多田野他3名は、温かい視線で俊光を見る。俊光は、その視線がむず痒く思い、早々にこの場から逃げようとし、皆に一礼をして少し焦燥気味に足早と扉に向かった。これが俊光の高校生活で二度目の失態だ。


九条を除く生徒会役員がニヤニヤとうぶな新入生の俊光に顔を向ける中、足早に扉へと向かう俊光は無意識に下を向いた状態で近づいていった、その時、扉が開き、人が入ってきた。


「おい、マウ。狩馬から聞いたけど。」


そう、この生徒会の主たる雪江が顔に手を当てて入ってきた、そしてその時のタイピングが非常に悪かった。

扉へと進む俊光と入ってきた雪江の距離が超至近距離になる。

はじめに、気づいたのは俊光、持ち前の反射神経で近づいた対象物を退けようと雪江の鎖骨の辺りを抑え雪江を動かそうとする、ここで雪江が普通のか弱い女子であったら、セクハラ的な俊光の行動はともあれ気づかぬままに無事にぶつからずに済んだだろうが、あいにくとそうではなかった。



雪江は、自分の体に誰かが触れてきたということに対して、前回にも電車の中で痴漢をしてきた中年男(無職)に鋭いひじうちして撃退した時のように反射的に反撃をした。

触れてきた手をがしっと掴み、足を掛けて背負い投げをしようと試みた。



対象が反撃をしてきたと俊光は考えると同時に迫りくる危機を回避しようとする。

手は至近距離だったがために掴まれてしまったが、足を払おうとする対象が払ってくるのを避けた。


中々の腕だなと俊光は思った。


そして、俊光は対象から掴まれている手を払いのけようとする。



雪江は、自分の技が抜けられたことに軽いショックを受けながらも、手を払いのけようとしてくる相手の動きを利用して、合気道技をかけようとするが相手に逆に動きを利用されて、抑え込まれる。せめてもの意地として雪江は乱戦に持ち込ませようと自ら掴んだ手を離し、足技で相手のバランスを崩させることに成功する。


ゴン!! ぷにゅ


俊光と雪江は互いの額をぶつけさせたが、今はその痛みよりもはるかに予測不能の事態に陥った。


俊光の唇と雪江の唇が重なったのだ。


それを認識した瞬間、二人は目を合わせた。


おっかなびっくりと言う言葉が相応しい表情で。


しかし、それだけでは終わらなかったのは、何の悪戯か。


俊光の長い艶やかな前髪が顔からスッと取り除かれる。


雪江の表情は、有り得ぬものをみたかのような顔をした。


そう、それは幽鬼から貴公子が現れた瞬間だった。



幽鬼を思わせる青白さを感じさせた肌は、白刃を感じさせる肌白さ。


不気味な霧ではなく、はるかな高嶺の花。


名匠により打たれた名刀。そう、美しい名品そのもの。



雪江ははっと気を確かにすると同時に顔を赤らめさせる。

そして、キッと俊光を睨み付けると同時に俊光は素早い動きで生徒会室を出て行った。


迅速、それがまさしくという俊光の行動のの速さに、雪江も他の生徒会役員も呆気にとられた。


ただ、九条だけがケラケラと笑っていた。









俊光は、自分の失態に頭痛に似た症状があるかのように、頭が痛そうにしている。


自分が、どこか抜けているというのは前々から分かっていたことなのにどうしてまた、こうもひどい失態をするのだろうかと自分で自分を責める俊光、その姿はとても滑稽で事情を知っている者ならば生暖かい目で彼を見ることだろう。


「それはそうとクラスに行かねば。」


自分の失態をこれ以上引きずらないように、句切りをつけるように独り言を呟いた俊光は、R100教室に忍者の如く駆けて行った。







ガヤガヤ ガヤガヤ


栄えあるこの久二ノ宮の門を叩くことができ、浮かれ気分でいる生徒たちは前後左右の同じ新入生と他愛もない会話でワイワイと騒いでいた。


しかし、歴然とした温度差もあった。


内部生つまり久二ノ宮のエスカレートで上がってきた生徒は、外部生つまりは高校受験で入ってきた生徒よりも比較的落ち着いていた。つまり、騒いでいるのは外部生が大多数というわけだ。


内部生の火檜ひひのき大政たいせいは、他の内部生が自分たちのグループから一向に離れずに、外部生と話さないのを見て、ため息を吐き、読んでいたアルゴリズムの本を閉じて、後ろの外部生と思しき二人に話しかけた。


「ちょっと、いいかい。君たちって外部生?」


「おおよ。ここの偏差値とても高いから一生懸命勉強したぜ!」


「お前の場合、9割奇跡だろうが。勉強したなんておこがましい。」


かなめは、頭がいいからそんなこと言えるんだ、おれはそう考えると、努力の塊だぜ。」


「試験勉強期間にVRMMOだなんだと吠えてたヤツがよく言う。」


大政が話しかけた二人はどうやら同じ中学みたいだ。大政はその二人を面白そうに笑った。


「あはは、君たちって仲いいんだね。」


「おう!」 「全然、全く。」


可哀想なことに仲がいいと思っていたのは片方だけらしい。


「なぁんだ、かなめ。照れ照るの、なあ、照れ照るの?」


その片方のテンションはいつにもなくハイになってるらしく、しつこい。と言うより...


「うざい。」


ばっさりとクールな美少年、古谷要ふるやかなめの目には心底めんどくさそうな感情が現れていた。


「ぐ、ぐぐっぐ。」


ちょっと悲しげに要を睨み付ける男こと加藤司朗かとうしろうの姿に憐れむ視線などない。

何故なら、筋肉剛隆の大男をその様な視線で見る人など一部の例外を除いていないのだから。


司朗は反論しようにもこの要に負かされるのは長年の経験から分かっているので肩を下し、反論するのをあきらめた。


「そういえば、自己紹介がまだだったよね。ぼくは普通科特進コースの火檜大政、大政とでも呼んでくれ。」


「そいえば、名乗ってなかったな。普通科特進コースの古谷要だ。好きに呼べ。」


「かなちゃん。」


「司朗、死にたいか。」


「すみませんでした!!」


「おれは、普通科スポーツコースの加藤史郎。司朗とでも呼んでくれ。」


要と司朗のこの茶番劇は毎度のようだと大政は思った。


「カナメとシロウだね。よろしく。」


「よろしく。」 「おう!!」


新しい人との絆の結びつきというのは、学生にとってはイベントの一つと言っても過言ではないだろう。



司朗がふと何か思い出すかのように話してきた。


「そいえばよぉ、なんかクラスによって、確かコース分けされていたのになんでここだけぐちゃぐちゃなんだ?」


確かに、案内の時にも、アナウンスの時にもクラスが言われていた、しかしそれは


「お前、アナウンスの方、聞いてないだろう。」


「うぇ、何でわかった!?」


「アナウンスでは、普通コースだけしか分けられていないんですよ。」


要の指摘にモロにその通りですという顔の司朗に親切に大政が教えてくれた。


「何で、普通コースだけ分けてんだ?」


「さあ、ぼくには、分かりませんが。一つだけ言えるのは、ここがあまりにも特殊なせいなのでは?」


「特殊って、なんだよ?」


「ここは、変なコースがいろいろあることあるだろ。それのことだ。」


「それ以外にも、主体性が自由と言うのもありますしね。」


「ふ~ん、そうかぁ」


納得しきれないというよりも、理解していない司朗をしり目に要と大政が話していたところ、担任の教師が戻ってきたので、話を中断した。みれば、ちらほらとぺちゃくちゃ喋る、生徒はいるが約七割は担任の人に目を向けた。担任はそんな生徒をお構いなしに話をし始めた。


「さて、入学おめでとう皆さん。ここで何を掴み、何を伸ばすかはあなた方次第というのはわかっていることでしょう。・・・・・・・」


なるほど、今の話を聞くか聞かないかそれすらも生徒自らの意思にかかっているということかというのをクラスの約三割の人が気づいた。


「・・・・・・、確かに自由にしてはいいのですが、今日は初めての日です。自己紹介を教壇の前に出てしてください。まず、出席番号一番の伊藤くんから・・・・・」


という具合に自己紹介を教壇の前でし始める。






「・・・つぎ、加藤司郎くん」


「ういっす。」


ドスンドスンという音がふさわしい歩き方で司朗は、教壇に向かう、向かう途中の気の弱そうな男子学生がビクビクしながら縮こまっている。


「うっす、おれは加藤司朗だ。司朗でいいぜ。ちなみに彼女はいないから、女子は今が狙い時だぜ!!」


大きな声で耳に残るこの声はがっはっはっはという笑い声がよく似合いそうだ。

ちなみに、女子たちは皆、怯えてひいている。

全部言い終わって、司朗は帰ってきた。


「どうよ、おれ決まってただろう!!」


とドヤ顔をする司朗に大政は苦笑いした、そして要は


「だから、そのドヤ顔きめぇって。」


とダイレクトに精神攻撃をして司朗を沈没させた。





「・・・・・・つぎ、透原俊光くん......あれ、いない?」


担任の教師が空いた席を見つけると、周りの生徒たちもざわざわと騒ぎだした。


「おい、要、おれよりも馬鹿がいたぜ。寝坊するとはなぁ。」


ニヤニヤと勝ち誇るかのような表情をする司朗に要はコイツ本当にバカだろうと思った。

と、瞬間


ガラッと扉が開く音がした。



皆の視線がそこに向いたそこには誰もいなかった。皆、はてなマークが浮かぶ中、突然。


「......透原俊光だ。よろしく」


慌てて教壇を見ると髪が異様に長い男がいた。

教師もあんぐりとした表情を浮かべていたが、意識が回復して透原に話しかける。


「透原くん、かい?」


「...はい、私が透原です。」


「うん、分かりました。次から遅刻しないように」


何が分かったんだよというクラスの心からの突っ込みがあった。


どうやらこの男も生徒であるらしかった、にわかには信じられないが。


「どんだけ、影が薄いんだよ!!」


と、司朗の笑い気味の大声に皆も一斉に笑い始めた。


「寝坊に影が薄いとは、救いようがねえな」


他の生徒の若干悪口に近いこの発言に俊光はスルーをしながら自分の席に座ろうとする。


「あらよっと。」


すると突然、席に向かう途中の俊光を意地の悪そうな生徒が足をひっかけ、こかそうとする。


ズドーン!!


「いててて、あれ?」


足をひっかけようとしてきた生徒がなぜかこけていた。こけた、というよりもひっくり返った生徒は自分が何でこけたのか分からずに不思議そうな顔をして、皆から笑いながら大丈夫かと聞かれ、視線が全部その男子生徒に行った。



席に着いた俊光は静かに座った。






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