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フールオンライン  作者: ガウェイン大好きっ子
入学式から夏休み
26/46

入学式2

長らくお待たせしました。どうもすみませんm(__)mいつも、いつも短い文ではいけないと思い長文を書いた次第であります。

私にとっての世界とは私が認知する世界である、何が言いたいのかと言うと、人の見解というものはその人にとっての真実、事実に相違ないものだということだ。



ざわざわと入学式会場ではないのに騒がしい場所がある。ある位置を大きく違和感なく、さりとて一見して客観的に見ると囲うようにして女性たちが集まっているように見える。

おそらくは今日の息子、娘の晴れ舞台を見ずにひと段落ついたと肩の荷を下ろし、校内の憩いの場で休んでいるご婦人方が他のご婦人方と何をしているのかと思えば、ある所に視線を送っている。



それは、様々な類の視線だ。



可愛らしいものを見るような視線、不快感をあらわにした視線、訝しむような視線ect。


視線の集まるところでは無邪気にはしゃいでいる中学一年生ぐらいの男の子が、ご婦人方と目が合って、手を振ったりしている。その姿はまさに天使でありこちらに幸福を授けてくれる笑顔にご婦人方は悩殺されている。

しかしながら、よく見てみると男の子の位置が異様に高い、何故なら人におぶさっているのからだ。視点を少し下に下げてみると髪が腰までかかる程長く幽鬼を思わせるような多分男だと見受けられる者がいた。先程まで、どうしてこの者に目を向けなかったのだと皆が不気味に恐れをしめした。成程、この視線の意味は二人に関係していたのだと確実に分かる。


この二人、対照的というか、ここまでのことを考えると関係性が見えてこないが、一つだけ同じものが制服が同じということだ。中学生ぐらいの男の子が高校生だというのには驚きだが、それよりもこの幽霊のような男も同じ学生だということに自分の娘息子に強い危機感を覚えるご婦人方はある意味で並々ならぬ熱い視線をそちらに向けた。当の本人らは全く気にしていないが。








「マウ先輩、何処に向かっているのですか、恥ずかしながら自分はここの構造を全く知らないのでマウ先輩に任せることしかできませんが。」


周りからの意味不明なプレッシャーを感じる俊光は、そのようなことに全く気負いせず淡々とした口調で九条に話しかけた。


「森林場だよ~。風が気持ちいんだ~。」


「森林場とは、単純に森のある所という認識でよろしいですか?」


「う~ん、そうだね~。そんなのだよ~。」


森林場とは、久二ノ宮学園が建てられる前に森であった場所を手入れなどをするだけで開拓をせずそのままの状態で残しておいた区域のことだ、半径7~10kmほどの広さを持っており又小動物の棲み処にもなっている。生徒会主催で行われる体育祭、文化祭やその他の催し物でもこの森を使うことは多いが、普段はほとんど誰も近づかない静かな場所としてごく少数の人から気に入られているスポットでもある。




数十分歩いて、目的地たる森林場に訪れた。


「ふむ、手入れが行き届いていますね。」


「ふ~ん、そうなんだ~。トシくんはガーデニングか盆栽でもしてるの~?」


「いえ、友人がそれに近しいことをしていますので。」


「トシくんのともだちか~。ともだちくんは久二ノ宮(ここ)なの~?」


「いえ、現実(ここ)にはいないです」


アーサーのことを思い出しながら木々を見ていた俊光の肩から降りて、そのまま草むらに寝転ぶように九条は横になり、仰向きの状態で会話した。若干話に誤差があったりもするがまあいいだろう、どちらも気付いてもいないことなのだから。

俊光も九条に倣って草むらの上に寝そべる、九条にしても俊光にしてもそうなのだがもう少し気遣ってやることは出来ないのだろうか、土に汚れた制服は洗う人にとって迷惑極まりない行動であるのだから。











ゴルフ場とかにあるような人工芝とはまた違う繁々と生い茂った草は、太陽の光を浴びて青々としている、その草々に寝転ぶ二人はVRMMOのことを話し合っていた。


「九条先輩もFool Onlineをしているのですか?」


「そうだよ~。」


俊光は少し語調が弾みながらほうと面白そうな顔をした。


俊光は九条からその経緯を聞いた。


九条先輩もFLをしているそうだ、なんでも先輩の親の友人であるFLのゲーム会社の社長が当時中学生であった九条に気を利かせて九条の誕生日プレゼントとしてβテストという所謂お試し実験、デモンストレーションのようなものをさせてあげたそうだ、まあなんだろうかゲームをしたんだ、うむ、そう思っておこう。

そして、そこで先輩が入っていた団体、パーティが優秀な成績を残したらしくT-ギアとソフト、更には特典が貰えたらしい、特典は初期に選べる種族に上位種を選べることと先駆者という称号だそうだ、先駆者と呼ばれる称号の効果はスキルの熟練度の上昇率が10%ほど高くなるそうだ。先輩は何にもやってないのにね~と呑気なことを言っていたのでゲームでは何の職業か聞いてみたらトリックスターだそうだ、なんだそれはと思ったが知っているようなふりをしてそのまま流した。






「トシくんも一緒にFLしようよ~。」


「ありがたいお話ですが断らせてもらいます。あちらには共に冒険する仲間が言いますのでね。それよりも、そんなに不機嫌な顔をしないでください。」


「ぶ~ぶ~、しかたないな~。」


しばらくたって一緒にパーティーをくもうよと誘ってきた九条に俊光は一種の迷いもなく固辞した、そのことにぶーたれる苦情を見て俊光は困ったという表情をした。

 もうすぐ、というよりももう始まっているだろう入学式に一度も気をかけないというのは二人とも図太い神経の持ち主である。そんなことを気にしてか(有り得ないが)九条は俊光に久二ノ宮にどうして入ってきたのか聞いた。


「特に理由はないです。」


味気ない俊光の理由に九条は満足そうな顔をしていた。


「特に理由が無いのに執事コースとは、家族思いなんだね~。」


この九条の返しには俊光はその推理力に驚きを感じた。

そう、執事と言う職はいわば身内の職という観念が強い。



執事という職は職場自体が特殊だ。


日本の自動車メーカーの三大財閥、早生はやさ逢魔おうまとどろき

ゲームや情報機器、部品等で成り上がった、緋島ひしま群青ぐんじょう黄瀬きせ

石油王の多田野島ただのしま

このような大手の会社などでも執事などと言ったものが雇われている。

最近では執事は大手企業では秘書的な立ち位置として、また、富豪たちの家族のお世話係として採用されることが多い。趣味趣向で雇う者も多少はいるが。

別に執事でなくともいいのでは?という疑問があるかもしれないが、それはとんでもないことだ。

一つに企業家の秘書は一般的な教養は当然、情勢、スケジュール管理、社内状況の管理・情報収集、高い専門性の知識がここ最近求められているので、普通の役員に到底こなせられるものではないのだ、だからといってそれをできる得る人材を社内から育成するのは困難なのだ。

もう一つは絶対の信頼性。ここ最近では聞かなくなった誘拐、強請などといった事件ではある何故ならば金あるものの側には人が付く、大企業家の社長ともなればなおさらだ、その纏わりつく人々を社長一人で対処出来ようはずもなくその人となりを知れるということはない、周りが全部、敵というわけではないのだが用心に越したことはないのだから。



そこで一つの疑問が浮かび上がる専門職のハウスキーパーや執事、メイドというのも同じなのではないか。自分たちを裏切るのではないかと。

だが、執事やハウスキーパ(特定の国家試験済)たちには契約がある。

元はメディアへの抑制、情報の濫用ectの防止が主だって作られた法があり、その法の一つに雇い主、親類に関する個人的情報、または利害に関する情報の一切を雇い主の許可あるいは国の審査なしに他人への開示、見聞を禁ず。これに反した場合、法外的な金額でない限り雇い主側が示した罰金を支払うことになる。

この法律で、2年前にハウスキーパー(女性)が法廷で執行猶予なしの禁固刑一年、罰金7000万という重たすぎるほどの刑罰がなされていた。このことにより、民間ではこの法律を取り下げよという運動がなされているがその分、情報に対する犯罪の目に見えるほどの結果が示されており、政府側としては取り下げる気はない。



まあ、そのような余談は置いておくとして、犯罪防止の一つとして執事を雇うのは自然の流れである。

金持は挙って、優秀な執事、メイド(家政婦)、ハウスキーパーを雇う、最近では執事、メイドやハウスキーパーが何人いるというのが金持ちたちのステータスとなっている。要は俺はお前よりも凄いということを示す象徴になるからだ。



しかし、執事と言うのは皆が考えているような誰でもなれます、それこそどこからか美少女が来て『貴方、今日から私の執事ね。』というような空想的な展開からなるなんてことは万に一つもない、億に一つはあるかもしれないが。では、どのようにしてなるのがいいのか?


国が行う試験で教務員免許ではなく特務員免許を取ればいいのだ。

そうすれば、私的な、つまりは雇用者との身内関係から契約するという困難なものではなく、国からの要請である意味簡単に契約を結べる。しかも、特務員免許を取っていると先程の法を遵守するということが分かり、収入の実りがとてもいい。平均して特務員の収入は年間800万である、分かりやすく言うと一般の国家公務員より200~100万多い年収だ。実に羨ましい。



しかしながら、そのような旨い話には裏があるとはよく言ったものだ。

年間でハウスキーパーにしろ、メイドにしろ、執事にしろ年間に行われる試験で合格できる人数は各々5人といった超難関なのだ。尚且つめんどくさいことにその受験者の中から絶対数取るのではない。基準に達したものの通れなかった者もいるし、誰一人として通らなかったこともあるのだ。








執事とは、結論として語るに執事になるなどとのたまわったのはいいものの、結果として一生なることが出来ないという馬鹿らしいことが発生する、いわばそう勇者職と言っても過言ではないだろう。


そのような幅が狭い職に入り込む人物と言うのは大体が身内関係か実入りのいい職を見つけた人が多い、一般の人など本当の執事と言う職業があるのかと逆に質問してしまう程認知度が低いのだ、身内から教えてもらうか、自分で知りうるかしないと手に入るものではない。















「というよりも、マウ先輩はやはり貴族コースでしたか。」


「そうだね~」


俊光は九条のまったりとした返事で思っていた疑問を納得した表情になった。貴族コースならば執事とはどのようなものであるかというのは知らないわけがない、自分の継ぐ家のことを知るのと同義なのだから。


「成程、であれば特務学科のことを知っていてもおかしくはない。」


「貴族コースと同時期にできたからね~」


そう、それは当然のこと、貴族がいるからこそ執事がいる。その逆はありえない。話がここで途切れ二人はゆっくりと微風に当たった。






カサカサカサカサ......



俊光は、誰かがここに来るということにいち早く気付いた。未見の場所であるために中々正確な情報にはなり得ないが、そろそろ来るなということは分かった。


「あと二分後ほどで人が来ますよ。」


「へ~。多分雪ちゃん以外の生徒会役員じゃないかな~、ガっくん辺りかな~」


ガっくんと言うのが誰かは分からないが九条の仲間が来るというのを聞いて俊光は、おおよそ九条先輩を連れ戻しに来たのだろう、それにしても手回しが速いと若干腹黒いながらも賞賛した。

九条の態度を見るあたりいつものことのようだから常に自由奔放な九条が何処にいるのかというのを把握しているのだろう、俊光は、自分がこの先輩を気に入っているのはそのような所が自分に似ているからなのかもしれないと、ふと思った。








「ふ~っと、おっと、いたいた。」


木々から汗を拭いながら一息つく男子生徒が現れ九条を見つけた、腕に生徒会役員の腕章を着けているのを見て俊光はフッと笑った。マウ先輩は本当に自由気ままで人を騒がせ、その癖何が起こるか正確に把握するちょっと悪質なお騒がせ人なのだと分かったからだ。


「マウさん、もう止めてくださいよ。オレ、いっつも会長に怒られてるんですよ!!」


茶髪の毛先がクルクルとくせ毛になっている少しチャラそうな男子生徒は、ハアとため息が出てしまいそうな表情で九条に怒る、諦めのような口調になっていたが最後の語尾だけは譲れないのか強い語調になって魂の叫び声をあげているかのようだ。


そんな可哀想な男子生徒に懲りた気配のない九条はケラケラと無邪気に笑いながら、ごめんごめん~と言っている。全然懲りてないだろ!?と男子生徒は顔に出していたが諦めた。どう足掻いてもダメだ。


「それよりも、ガっくん~。トシくんにご挨拶しなさい~。」


「それよりもとか......適当すぎだろ」


「文句言わない~!」


「は、はあ、普通科sコース2年生兼生徒会書記の学狩馬がくかりまです。」


「......どうも。」


「呼び名はガっくん、あだ名はガッカリ魔~。」


「アンタにガッカリだよ!!」


自分のことを雑に扱われたことと話が意味不明なことに二重のショックを受けた狩馬学生は文句を言ったものの、敢え無く理不尽に見舞われて、しどろもどろになりながら俊光に自己紹介をした。弄られキャラなのだろうか、イジメられキャラであろうか俊光はどうでもいいことを考え出した。


「というより、誰ですかこの人。うちの学校なのは分かるけど見たことないですよ。新入生ですか?」


そのような俊光の思惑に関係なく、狩馬学生は今更ながら俊光のことを問いただす。ふと気づけば、校歌が第一体育館の方から聞こえてきた、もうそろそろで入学式も終わるのだろう。


「トシくんはトシくんだよ~。」


「そうですかそうですか」


九条の適当な発言に適当に受け答えた狩馬学生は俊光に向き合って、一つ咳払いをして尋ねてきた。


「新入生かい?」


「......はい。」


なるべく柔らかく俊光に話しかける狩馬学生に俊光は普段通りの寡黙な喋りで受け答える。


「..........」


「..........」


別に緊張した状況でもないのに無言の見つめ合いが続く中、救世主が手を差し伸べる。


「多分、トシ君はコイツの髪の毛ヤキソバみたいだなと思っていただけだよ~。」


間違えた。茶々を入れる


「それはマウさんが思って...、マウさんそんなこと思っていたんですか!?」


「いや~、赤のメッシュ入れたら紅ショウガなんて思ってないよ~、まったく~」


「紅ショウガ....プッ」


マウからの驚愕の事実にマジでという表情をする狩馬学生に追撃を入れる九条と援護射撃を入れる俊光。


「泣いてもいいですか?」


かなり堪えた様子の狩馬学生は泣きの表情を見せる。実にいたましい。


「ツーブロックにしようとか言っている時にタラちゃんになるんじゃないとか思ってないよ~」


「ナキタイ」


狩馬学生のファッション事情を抉り出す九条に更に落ち込む狩馬学生だった。




































それから数分後



「透原は今どのくらいまでFL進んだんだ。まあ個人情報だから話さなくてもいいけど」


「...いまいち何をやっているのか分からないので、知りません。」


「何それ!?」


「ガっくん、うるさいよ~」


とまあ、このような具合に狩馬学生も一緒にFL談義を始めた。


「最近、西の森でPKがあったらしいです。」


「PK?。日常茶飯事じゃないの~?」


PKいわゆるプレイヤーキルはFool Onlineでは黙認されている。一応のそれらの苦情に対する体裁としてPKした人物は名前の欄にプレイ日数換算で2週間赤色になるというのを取り入れている。まず、プレイヤーは死んでしまうと装備かアイテムがどれか一つランダムにその場に取り残される、またお金は3分の2が損失されてしまう。PKの旨みは損失されたお金と装備やアイテムを奪い取れることにある。PK職人は、周りからその特質上忌み嫌われながらもどこか羨ましがられることもあるのだ、それに憧れを持つ中二病患者のPK志望は後を絶たない。


「いや~、それが掲示板で相当叩かれてるんですよ。」


「ふ~ん、なんで~?」


「よくある話で、か弱き女性プレイヤーを狙うとは許せぬwっていうネタが大いに周りに共感と興味を持たせて、それが調子よく周りに伝播したのが原因です。それにその女性プレイヤーが美人だったのもありますが。女性を狙うとは鬼畜ですよねそのPKプレイヤー」


「別に興味は無いな~」


「マウさんってこういう時、意外と冷たいですよね。」


「他人は他人だからね~、偽善なんていいことないし~」


「マウさんが天使の顔した悪魔じゃないかと最近思いました。」


「......PKってなんですか?」


「根本的に分からなかったのかよ!?」


一瞬、黒いオーラが迸る九条の冷たい発言に恐ろしいものを見るような目つきで答える狩馬学生は、騒ぎに巻き込まれないように注意をしろよと言う意味合いで言ったこの発言が全くの無意味なものだと気付きため息を吐きそうになる、俊光の発言にも同様に。


「......その女性プレイヤーの同盟というのが、FLで有名な『メビウス』なので確実に報復活動が始まると思うので西の森には近づかない方が良いですよ。」


それでも、こうやって注意をするあたり人が良い。


「特徴とか分かってるの~?」


「う~ん、確か掲示板では黒髪の男と書かれてました。」


「なら、案外早く見つかるかもね~」


「?」


九条たちのおかしな会話にはてなマークを頭に浮かべる俊光に気付いた狩馬学生は、説明をしてくれる。気配りが上手な人間というのはこの様な人を言うのかもしれない。


「いいかい、VRMMOのゲーム内と言うのはいわば異世界もしくは自由な空間そのものなんだ。ある人はありえないぐらい善人なったり、またある人は凶悪な悪人に豹変したりするなど、性格が変わることがゲーム内では有り得る。しからば、容姿も同じで、自分の容姿をもっと美しく変えたいと人は思うだろう。しかしFLでは容姿はあまり変更できないこれはアバターの認識誤差が発生しうるからだ。それが分かれば、人はそれ以外を変えようとする。特に髪だ。なぜならば髪の毛というのは自分個人の中では一二を争うチャームポイントだからだ。なので、必然的に髪の毛の色が黒では味気ないということで変えてしまう人が多い。だから、結局黒い髪の人は浮くってことだな。」


「......はい?」


「大体の人が新たな自分を作るから、黒髪は少ないっていう認識でいいよ~。」


「分かりました。」




長々と説明をしたのに九条の簡単な説明の方が受け入れられたことに落ち込んだ狩馬学生であった。




まさに、ガッカリ魔。










評価・感想よろしくお願いします。次も同じぐらいにします。

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