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フールオンライン  作者: ガウェイン大好きっ子
入学式から夏休み
25/46

入学式1

遅くなって申し訳ございませんm(__)m

久二ノ宮学園は、幼小中高大一貫の学園でありながら多種多様な学部学科・研究機関があり一学年における生徒の人数も多いマンモス学園である。




学園内の桜が満開に咲きほこり人々出迎えるように桜並木がズラッと並ぶ、そこに桜よりもぎっしりと人が溢れかえる高等部の区域を見て俊光はため息を吐きそうになる気持ちを抑えると棟と棟の間の細い道を通り、人気の少ない高等部の棟の裏側に行った。

先程見た桜とは違い細々しい桜が申し訳程度に花を咲かせながら立っている、まだ新品の爽やかな香りのする制服に身を包んだ俊光はその桜の丁度真下にある少し古びている木製のベンチに横になった。

こんな所をリーナが見られたら鬼のような顔をして怒られそうだなと俊光は思った。


最も、リーナと香織は入学式の開催場所である第4体育館へ行く途中で彼女らの中学の時の同級生とばったり遭遇し話に花を咲かせていたので、彼女らには先に行くと言うと彼女らが恐縮して大丈夫と言ってきたが強引に説得して別れた。


先に行くと言いながら横道にそれてしまう俊光はどうかと思うが。

それはいいとして、俊光の姿は少しばかり、いや印象的には大きく変わっている。

まず、前のリーナと香織を伴ったデート?、お出かけの際や山にいた時のようにポニーテールにまとめ上げていた腰までかかる髪が解けて前髪が鼻の高さまでかかり、後ろ髪も解けているので開放的になっている、なので顔の印象が非常に薄い、森での生活に慣れているためか人の意識や視線から外れることが自然とできてしまうので、そのおかげで見た印象が影が薄くて地味な奴もしくは陰気な人物である。


本人としてはあまり人と接さないようななりをしているだけなので、自分がどのように見られているかなどということは気にしていない、少しだけ強がった女性にモテない原因になっているからちょっと気にしていたりもする。だいたい、このような格好をしているのは、人嫌いからなので仕方がないのかもしれないが。


人が嫌いなら執事とか無理じゃねと思うかもしれないが、俊光にとっての執事の仕事とは主人のサポート以外他ならないと思っている節がある、俊光の祖父である竜之介はそのことに気付いてはいたがそんなものは自己責任であるため、学園に行ってから打ちのめされればいいと考えている。

確かに、人から声をかけられなさそうな装いだが普通に人との接触とを拒めばいいことを思うと、めんどくさい矛盾した性格が窺える。


横になっていると俊光の鋭敏な聴覚から入学式で賑わう人々の声がはっきりと聞こえてくる。


「お前も合格したのかよ。裏ぐちか」


「どういうことだよ、おい!オレそこまで馬鹿に見られてたの!?」


「いや、バカだろ。受験の前日にVRMMOしてたヤツをバカと言わずしてどうする。」


「しょうがねーじゃん、FLがオレを呼ンでいたのだから」


「そのドヤ顔、キメェ。周りの新入生ヒいてんぞ、特に女子。」


「のおおおお!!」



「おい、見てみろよあのハーフの娘めちゃくちゃかわいい。やっぱ、ハーフは正義だわ」


「ふーん、あんたあんなのが好みなんだね。」


「ハーフの外人!?。どこだ、どこにいる純吾じゅんご!!」


翔樹しょうき、痛い痛い痛い!!」




「おっぱい、おっぱい、おっぱい♪」


松本まつもとを捕まえろ、女子が襲われている!!」


「俺の楽園を止めはさせないぜーーーーーー!!」


「止まれハゲ。」


「ゲホッ、ヨッチーひど!!それとハゲてない!!」


「黙れ。」


「はい!!」




「見たまえ、下衆共がワイワイと騒いでいる。なんとも醜いと思わぬかね。」


「おっしゃる通りです、襄司じょうじ様」


「そうであろう、そうであろう、そのようなモノと私がここにが一緒にいるというだけで私の寛大さというものが目に見えるというものよ。」


「ご立派にございます。」




そのような話をBGMのように聞き流す俊光は本格的にここで居眠りし始めた。













誰かが近づいてくると気付いた俊光は、先程まで寝ていたとは思えぬような目覚めの良さで状況を確認する。

多分に俊光を探しに来たとかいうような事柄ではないことは分かる、探しに来るような人物がスキップしてくるはずもないのだから。


「はる~がき~た、は~るがきた、ど~こに......んんん、アレアレアレ~?」


随分と可愛らしいソプラノ声で陽気に能天気に歌う人物は俊光の近くに来てようやく、俊光の存在に気付いたのかと思うと好奇心を隠さないような声色で声を出した。


「だ~れっかな~、だ~れっかな~」


なんともはやと俊光は思いながら起きて、俊光は声の出し主を見た。

リスを思い起こさせるクリクリとした目とプックリとした頬っぺた、柔らかい印象を与えるふんわりとした髪型がとても愛くるしい、また小学生並の低身長がよりその愛らしさを引きだたせている。ショタコンなら一撃でやられてしまう容姿だ。

俊光は無意識に無邪気にこちらを見てくる少年の両頬をムニッと引っ張った。


「ふぇ、ひゃにひゅるの~!」


少年は当然起きて早々の俊光の行動に驚きを示し、俊光の両手を掴んで離そうとするがそこは見た目相応の力であるために全然びくともしなかった。両頬をなされるがままにされている少年は可愛くも無意味な抵抗をする。


やっと、俊光による蹂躙が終わると両頬を少しだけ赤らめさせた少年は両手を腰に当てて頭を横に振りながら怒った仕種で俊光を見た。


「もう、頬っぺたがジンジンしてきたじゃないか!痛いんだぞ~。」


両頬を抑えて、どこか気の抜けたようなセリフを言うものだから怒っているという感じを全くさせない。逆にかわいらしさのある言動にホッコリしてしまう。俊光にしてみてもそこは変わらないようで小動物とじゃれ合う時のような目をして少年を見る。


「...すまないな。」


「よし、ゆるしてしんぜよ~~!!」


優しい微笑みを浮かべさせ喋る俊光にニカっと笑って少年は謝罪を受け入れた。


「ところで、キミは新入生なの~?」


「...そうだな。」


警戒心を無くさせるような雰囲気を醸し出す少年に俊光も感化されえたのか、俊光にしてみればそれなりに珍しいぐらいのやわらかい物腰で少年の質問に答える。少年は『ふ~ん』と言いながらも俊光に対する興味があるのか不躾さを感じさせないながらもジロジロと俊光を見る、それが相手に嫌悪を抱かせないのは少年のアイデンティティーなのだろう。


「なら、ぼくの後輩だね~。」


「...やはりか。」


何となくこの少年、いや先輩が自分よりも年上であるということに気付いていた俊光は少々驚きながらも

冷静さを忘れはしなかった。かの先輩の方は、逆に驚かない俊光に対して目元は嬉しそうにしながらも口元をツンとさせて不満気な顔をした。


「もっとおどろいてよ~!!」


軽く理不尽なことを言う先輩は不満気な顔をやめて、次はケラケラと笑い始めた。


「久しぶりに、ぼくのことを小学生と間違わない人にあったよ~。」


ケラケラと笑い続ける先輩に興味を持った俊光は自分から彼に話しかけた。


「そういえば、自己紹介をしていなかったですね、私は透原俊光と言います。本日からこの久二ノ宮学園高等部執事コース一年生として入学しました。どうぞお見知りおきを。」


相手に敬意を示した常套句のように言葉を涼やかに滑らかに発した俊光は足をシャキッと揃えて礼をした。これだけを聞けば如何にも執事らしいと言えるが今の姿かたちはそれに合わない物なので、皆から見ると不恰好きわまりないものだ。

しかしながら、先輩はニコニコとした様子でうんうん頷きながら言葉を返す。


「ぼくは九条眞兎(くじょうまう)だよ~。三年だよ~。貴族コースだよ~。生徒副会長だよ~。」


俊光は自分に対して嫌な顔をせず挨拶をしてくる寛容さ、というよりも爛漫さは別にして直観的にこの人物に対する評価を改めた、この人は少しながらふざけたようなお茶目な子供っぽいともいう行動・言葉遣いだが、本質的には素晴らしいものがあると不思議とそう思ったからだ。

ならば、自分はこの人とはきちんとした話をすべきなのだろうと思い桜木たちと話すときと同じくらいの口調をしようと決めた。


「では、如何様にしてこの様な場所に?入学式がありましょうに。」


「う~ん~.........


九条は話すべきか悩んでいるかのように腕を組み考えこむ、すぐにこちらをチラチラとみた。俊光にしてもそんな重大な事なら聞く必要もないと思ったので話を変えようと九条に声をかけようとしたところ、九条がヨシッといったような決意をかためたようにこちらに顔を向けた。


「しょうがない、教えてあげる~」


「はあ、ありがとうございます。」


もったいぶるような九条に覇気のない礼を言う俊光は、こちらに来てと手招きするような仕種をする九条へ近づき腰を顔が九条と合うように下ろし口元に耳を傾けた。


「実は~、入学式の仕事がいやでにげてきたんだ~」


「ええっと、それは大丈夫なのですか?」


「だいじょ~ぶ、こおりちゃんならそれぐらいどうってことない~」


こおりちゃんと呼ばれている人がだれかは知らない俊光だがその人にちょっと憐れみを感じたが、九条先輩が大丈夫と言っている分にはそうなのだろうと思いなおし。大丈夫と言っても副会長不在を埋めるための仕事量は大変な事には変わりは無いのだが。


「なるほど、ここは九条先輩の隠れ家でしたか。」


「そうだよ~。それとマウでいいよ、トシくん~」


「分かりました、マウ先輩。」


九条からの申し出に素直に応じた俊光だが礼儀として先輩はつけるべきだろうと思った。


「う~ん、まあいいや~。それじゃあ、トシくん肩車ぁ~。」


「はい?」


九条は少しだけ不満気味だったが、何を思ったのか俊光に肩車をしてよと両手を広げた。俊光は戸惑いを浮かべ問い直した。


「肩車ぁ~!!」


「分かりました。」


プクーと頬を膨らませた九条が早くしてよーと言う、俊光はこの人は本当に子供みたいな人だなと思いつつも腰を下ろして苦情を肩車してあげた。


「しゅっぱーつ!!」


九条の元気のいい掛け声とともに俊光は、動く気もさらさらなかったのにと思いながらも歩みを進めた。





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