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こうして試練が始まるのか?

色々あって久しぶりの投稿です。

「惨敗・・・完敗・・・

いや、不戦敗かな。」


裕也が現実で目を覚ました頃、

ハルゼルトでは9人の男女が大部屋で力尽きていた。

最初に倒れた光の魔将と、

その次に倒された樹の魔将の姿はどこにもない。


「不戦敗というのは正しいかもしれませんね。

戦いになっていなかった、という意味では。」


自称完全体になった闇の魔将の力は

過去に対峙した魔将の力を凌駕していた。


『闇の魔将1人で他の魔将3人と同等か、それ以上の力を有している。』


というのがドクターの見解だ。

倒してきた魔将が弱かったわけではない。

完全体となった闇の魔将の強さが

それこそ文字通りの意味で”桁違い”なだけ。

とは言え、


『倒せない、と言うのならば攻略自体が出来ない。

しかし、それはありえない。

故に、攻略するための”何か”が足りていない。』


というのもドクターの見解だ。

何故ならば、


『クリアできないならばゲームとして成立しない。』


としか言い様がない。

ドクターはこの事に絶対の自信を持っている。

だが、現状では闇の魔将を倒せないのも事実だろう。


「今日は解散である。

明日は火の魔将を対象とし、闇の魔将は後回しとする。

皆、異存はないな?」


ドクターが方針を出すが、声を出す者は居ない。

破壊僧ですら声を出さずにいる。


「錠前屋、すまぬが召喚士に先程言った事を伝えておいてくれ。」


それだけ言うのが精一杯だったのか

ドクターがログアウトし、

それに続くように他のメンバーも次々とログアウトしていった。




ここで時間は少しだけさかのぼる。

闇の魔将が光の魔将を貫いた頃、

ハルゼルトでは異変が起きていた。

ハルゼルトでは、特定のMAPを除き天気は常に晴れであり

時間も常に昼である。

しかし、その時青空を闇が覆い、突如として夜となった。


あるプレイヤーは誰ともなしに静かに言う。


「あら、何かのイベントかしら?」


戦闘中のあるプレイヤーは叫ぶ。


「何だ、こいつら急に強くなったぞ!?」


そして、あるNPCは決意する。


『あのお方のお力を借りるべきでしょうな、この事態は・・・

おそらく、召喚士殿なら乗り越えられるでしょう。』


天を覆う闇は、翌日になっても未だ晴れずにいた。





『召喚士殿、お時間がなくとも

事は一刻を争う故、小生と共に参られよ。』


大学で田所(錠前屋)と会って、伝言を聞き

火の魔将と対戦するつもりでログインした俺を待っていたのは

何故かギルドホームでグラスに注がれた水を飲みながら

くつろいでいたレブジードだった。


「なんでお前が居るんだよ。

出てこれないように封印されてたんじゃなかったのか!?」


くつろいでるようにしか見えない時点で

一刻を争うかどうかが疑問だ。


『疑問はもっとも。

これは蜃気楼を応用した物で

小生の本体は部屋から一歩も出ておりませぬ。

さぁ、疑問が解けましたな?

ならば小生と共に参られい。』


異様に急かしている。


「一体何だってんだよ。

いつもと違って空は暗いし、

お前は慌ててるし。」


『天を闇が覆っているのは闇の魔将の力が強い証。

しかしてそれは、光と闇が等しく天を覆うこの世界の理を壊すもの。

小生らは封印に抗う心算であっても

世界の理を壊すつもりはありませぬ。』


実体無き蜃気楼の筈のレブジードが俺の腕を掴むと

俺はレブジードの部屋に居た。


『召喚士殿、先程も言いましたが

事は一刻を争う非常事態。

そこで、小生と他の2人の魔将で協議しました結果、

召喚士殿に試練を与えることになりました。

試練を乗り越えることができれば、

召喚士殿は一段高みに行けるでしょう。

その暁には、光と樹の力を譲り渡すことも確約いたしましょう。』


見ると、光の魔将と樹の爺さんがレブジードの背後に居る。


「条件としちゃ悪くないんだろうが、試練って何よ?」


『超越種の超越種たる所以ゆえん

あらゆる属性を超える試練です。』


レブジードがニヤリと笑った。

水の魔将(レブジード)光の魔将(ハイテスブライト)樹の魔将(ビルグルエン)の3魔将に囲まれる。

そんな状況で俺に拒否権はない。

ここで「NO!」と言えれば、それはそれで格好良いんだろうが

冗談抜きでヤバいっぽいので言わないことにする。

膝が震えてるのは、武者震いだと信じよう。


『我、原始の雫の下に扉を開く。』

『我、原始の光の下に扉を開く事に同意する。』

『我、原始の枝の下に扉を開く事に同意する。』


3人が揃って詠唱を始め、締めの言葉で扉が現れる。


『召喚士殿、この先に待つ試練を越えてください。

なに、召喚士殿は小生が見込んだ男。

きっと乗り越えられるはずですよ。』


3魔将に見送られ、現れた扉を通り抜けた俺がたどり着いたのは、

ただ広いだけの部屋。

隠しダンジョンのミミズ野郎の部屋や

魔将達の部屋とは比較できないほどの広さ。

例えるなら、そこが既に1つのMAP。

存在するのは、1匹の蛇。


『我が力の残滓よ、よくぞここまで来た。』


蛇は頭をもたげるとそう言った。

大蛇と呼べるほどデカいわけじゃねぇし、今の俺でも撲殺できそうだ。

本が痛みそうだからやりたくないけど。


「よくわからんが、試練受けてこいって言われてよ。

お前を倒すのが試練なのか?」


『慌てるな、我が力の残滓。

試練は我が与えるもの。

我を倒すと言えばそうであるが、違うと言えばそうでもある。』


そして、蛇は俺を()()()()()

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