こうしてLvが上がった
「そこの貴方、ビギナー?」
噴水前で行動方針を考えていると、声をかけられる。
声のした方を見ると、革鎧を着た白い猫女っぽい女の子が居た。
「ねえってば、貴方ビギナー?」
「そうだけど。」
「じゃあ、よかった。
貴方、このゲームを始めたばかりよね?」
「う、うん。」
「悪いんだけど、一緒に来てもらえないかな?
あ、PKとかじゃないから安心していいわよ。
PKできないし。」
「どういうこと?」
「えっとね。
中級雑貨店を使えるようにする為のクエストなんだけど
中級雑貨店を訪れたことがない人を連れて行かなきゃダメなの。
だから、色々と見て回りたいと思うんだけど
中級雑貨店に行かれるとマズいの。
ね、お願い。」
「そういうクエストもあるのか。
いいよ、ついて行くから案内して。
ついでに色々教えてくれるとありがたい。」
「お安い御用よ。
このミャーコさんにお任せよ。」
「ミャーコさんというのか。
俺はユウ。ミャーコさんよろしく。」
【パーティ申請/ミャーコ(13) Yes No】
「Yesに触って。」
言われたとおり、Yesに触る。
さっきのチュートリアルと一緒か。
「じゃあ、着いてきてね。
行きながらだけど、聞きたいことがあったら聞くわ。」
そう言いながら、2人で歩く。
聞きたいことといえば、まずは
「え~っと、モロ初心者なんだけど
お勧めの狩場ってある?」
「そうねぇ・・・
始めたばかりなら南門から出た所のウサス湖周辺か
東門からでた所のトイス平原ね。
ウサス湖は少し遠いけど、湧きが良いわね。
大体Lv3~5ってところかしら。
赤ポ・・・あ、ヒールポーションのことね。
それがあれば狩り続けられるわね。
トイス平原は近いけど、初心者が多いし湧きも悪くはないけど取り合いになるかしら。
ユウが良いなら、手伝うけどクエスト受けてみる?
普通に狩るよりは多めに経験値もらえるわよ?」
クエストねぇ・・・
たしかに、クエストで経験値を貰えるのは鉄板だな。
「初心者クエストってのは?」
「初心者クエストはLv1~4までのキャラが受ける専用クエストよ。
種族によって違うけど、Lv1~4までの4段階あって、
4つ終わらせればLv5になれるクエストね。
ちなみに、あたしの場合・・・というか、ビースターだと配達だったわ。
アイアナーだと採掘、ドラグノイドだと戦闘らしいわよ。
ヒューマンは採取のはずよ。」
採取ときたか。
これまた鉄板だな。
「それは、ギルドで受けるのか?」
「ギルドといえばギルドなんだけど、少し違うわ。
正確に言えば冒険者協会よ。
このゲームでギルドというのは、大規模なパーティみたいなものね。」
そっちね。OK。
「ということは、目的に合った集まりがギルドってことか。」
「そそ。まぁ、ギルドを作るためには専用クエストを受けて
冒険者協会に登録しなければいけないけどね。」
「ギルドには誰でも入れるのか?」
「無条件で入れるギルドもあるし、条件があるギルドもあるわよ。
例えば、ゴート山賊団だったら盗賊系のジョブが必須だし、
赤獅軍だったら両手剣がメインウェポンであることが条件ね。」
「山賊て・・・」
「うちのバカ兄貴が、
『仮想世界で犯罪に走ることで、現実で犯罪に走らないようにする。
あと、万一犯罪行為に巻き込まれた場合に対処しやすくなるから
PKできるギルドを認めて欲しい。』
ってメールしたら即OKが出たって言ってたわ。
だから、ゴート山賊団だけはギルドホームが街の外。
ちなみに、ゴート山賊団のメンバーに対しては例外的にPKできるわよ。」
ヒャッハ~とか叫んでねぇだろうな・・・
「ま、山賊団とは言ってもMOBみたいなモンだし
自腹で賞金出してるし、
ビギナーは襲わないってルールがあるみたいだからいいんじゃない?」
「ビギナーは狙わないわ、
自腹で賞金出すわって、どんだけ優しい山賊なんだよ・・・」
「さ、一端お話はお終い。
入って入って。」
話しているうちに目的の店に着いたようだ。
促されるままに店に入る。
『おぉ、あんたか。
どうだ?俺の店を知らねぇって不届き者は見つかったか?』
腕を組んだオッサンがミャーコに話しかける。
『たしかに見かけないツラだな。
よし、店の宣伝を手伝ってくれた礼だ。
あんたにはうちの物を売ってやろう。』
会話が繋がってない気がするが、
NPCなので放置する。
『そこのお前。
お前もうちで何か買って、しっかり俺の店を宣伝しろ。』
俺にも声がかかる。
ピロリ~ン
【Lv2になった。】
【Lv3になった。】
【Lv4になった。】
【Lv5になった。】
【ノービスLv2になった。】
【ノービスLv3になった。】
【ノービスLv4になった。】
【ノービスLv5になった。】
クエストを手伝ったからなのか、
パーティに入っていたおかげなのか、
Lvが勝手に上がった。
「ミャーコさんよ、Lv5で転職できるんだよな?
どこに行ったら転職できるんだ?」
「冒険者協会よ。」
「じゃあ、転職したいから場所を教えてくれないか?」
「え?」
Lvが上がったのは、パーティに入っていたからです。
さらに言えば、Lv10相当のクエストをLv1でクリアしたようなものなので
Lv差補正が加算されて一気に上がりました。
も一つ付け加えると、
作者は経験値を幾つ与えるかで10面ダイスを2D振ってます。(出目は51)
これに補正分を掛けると、ギリギリLv5に到達出来ました。
なお、このゲームはLvが上がるまで
自分の獲得経験値は見えない仕様となっています。
だって、現実では自分の経験値なんて見えないじゃないですかw
というのが公式の回答。
その割にステータスは見えるという非現実。