こうして称号を手に入れた
光と闇の小人、たぶん光精と闇精が融合した召喚獣は
混精というらしい。
混じりあった精という意味だろう。
混沌の略かもしれんが。
まぁ、強いからこの際どっちでもいい。
「混精、ミミズ野郎を倒せ!!」
指示を出すが、沌精は動かない。
「混精、ミミズ野郎を倒せ!!
倒せって!!
倒せってば!!」
グギャギャギャギャ
嘲笑するようにグランドワームが声を上げて俺の方に向かってくる。
俺もピンチか!!
と思った時、俺の目の前にナニかが居た。
混精だ。
人型をしていた混精が、壁のようにではなく、
今は壁となってグランドワームと俺の間に割って入っている。
グギュウウウウウウウウウウ
グランドワームが混精にぶつかり、
それと同時に襲ってくるであろうダメージを予想し
思わず目をつぶった。
が、ダメージが来ない。
グギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
グランドワームの絶叫に、おそるおそる目を開けると、
混精にグランドワームが刺さっているが、何かおかしい。
よく見ると、混精の一部からグランドワームが生えている。
「何なの、あれ・・・」
声がした方を見るとゆっこが居た。
そういや、ゆっこと俺だけ生き延びたんだっけ。
「何があったか分かるか?」
ゆっこに質問する。
「グランドワームとあの変なのがぶつかったと思ったら
前からグランドワームが入って行って、
前からグランドワームが出てきたのよ・・・」
今一、要領を得ない。
「真下から見た感想ですが。」
うぉっ
「あ~、すいません。
別に死んでも、喋れないわけじゃないです。」
びっくりさせるなよ、ジョー。
死んだことないから、喋れるとは思わなかった。
「グランドワームが突進した後、混精ですか?
あの召喚獣に吸い込まれて、
グランドワームに向かって吐き出されたように見えましたね。」
どういうことだ?
「感覚としては、間違ってるかもしれませんが
グランドワームが自分に向かって突進した、
と言ったところでしょうか。
すいません、それ以外に表現できないです。」
なるほど。
「先程、あの召喚獣に指示をしていましたが
動きませんでしたよね?
これは、僕の想像ですが
あの召喚獣は自分から攻撃しないのではなく
攻撃できないんじゃないでしょうか?
これも僕の想像ですが、おそらく、あの召喚獣は相手の攻撃を跳ね返す
いわゆるカウンター型の攻撃しかできないんでしょう。」
それが、【絶対の矛盾】というやつか。
「今の状況を説明しますと、グランドワームは自分に歯を立てている状態ですね。
目の前の何かが敵だと思っているんでしょう。
噛み付いていますが、自分もダメージを受けて
それで余計に意地になって噛み付いているようです。」
解説ありがとう。
「実況のジョーさん、状況説明お願いします。」
「はい、こちら実況のジョーです。
グランドワームは目の前にあるのが自分の胴体だと思わないようで
必死になって食らいついております。
ここでグランドワームが尻尾で攻撃。
しかし、それも召喚獣に吸い込まれ、自分の胴体に大ダメージ!!」
ノってくるとはw
「こちら、別角度からの実況カムイです。
グランドワーム、それでも噛み付きを止めない!!
噛めば噛むほど自分にダメージだ!!
おぉっと、噛み付くの止めたか?
違う、一旦離して大きく噛み付いた!!
これは危険。
グランドワーム、大出血だぁぁっ!!
ちょっぴり温かいけど、降ってくる血がなんか気持ち悪い!!
ここで、ジョーにマイクを返します。」
カムイも真下で死んでたのか。
それにしても、2人ともノリノリだな。
相当なダメージを受けているグランドワームは
痛みに耐えかねたのか、のたうち回るが
混精から体が離れないのでさっきと違い地震は起きない。
やがて2人の面白がって解説している声が聞こえなくなる。
「2人とも大丈夫か?」
返ってくるのは、グランドワームが暴れまわる音だけ。
「たぶん、タイムアウトでしょ。
街に強制送還されたんだと思うわ。」
ゆっこが周囲を見渡しながら言う。
連られて周囲を見渡すと、ジョーやカムイ以外のメンバーの死体が消えている。
「この分だと、ホルダーは私とあんただけね。
マサミ達には悪いけど。」
そうゆっこが呟くのと同時に
ズゥウウウウウウウウウウウウウン
グランドワームが、その巨体を横たえた。
そして俺は【称号:モスノの先駆者】 を手に入れた。
【怠惰な傍観者】よりは、遥かに聞こえがいいよな、うん。




