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第61話 彼女の傍観者―もう一つの視線― 第7話 離婚
あの「呼び出し」から、数ヶ月後。
瞳から、離婚を切り出された。
康介は静かに受け入れた。
驚きはしなかった。
――そうか。あの男と、瞳は。
でも、それ以上は何も言わなかった。言えるはずがなかった。言えるはずがなかった。
「わかった」
それだけだった。
「彼と話す時の、少し照れたような表情」
「誰かを想う時の、遠くを見る目」
そうか。相手は——あの匿名の主だった。
康介は、離婚届に印を押しながら、何も言わなかった。
でも、心の中で思った。
「見続けよう。これからも。」
それが、彼にできる唯一のことのように思えた。




