表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】彼女の計画 ―職場の上司の裏アカを知った日から、私は不倫する上司と人妻を観察することにした―  作者: Taku


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/28

第20話 彼女の背中 第4話 “消されたはずの証拠”が残っていた

前回のお話、お読みいただきありがとうございます。第20話 彼女の背中 第4話です。

拓は、最近の純の変化に気づいていた。


彼女が、誰かと楽しそうに話しているのを何度か見かけた。以前はあまり見せなかった表情だ。


「純、最近なんか楽しそうだな」


ある日、声をかけると、純は少し驚いた顔をした。


「そうですか?」


「うん。前はもっと、何か肩肘張ってた感じがしたけど」


純は、少し考えてから言った。


「新しい友達ができたんです。同じ趣味の」


「趣味?」


「はい。『観察』するのが好きで。それを一緒にやってくれる人がいて」


拓には、その言葉の意味がよく分からなかった。


でも、その瞬間、胸の奥にちくりと何かが刺さった。かつて、純が自分だけを「観察」していた時代。あの、少し危うくて、でも独占されている感じが、自分の中で特別なものだったことに、今さら気づく。


「そうか……良かったね」


口ではそう言いながら、心のどこかで「自分だけの純」が消えていくのを感じていた。それは所有欲でもなく、恋愛感情でもない。ただ、あのカフェでの対話が、自分だけの特別な思い出ではなくなっていく寂しさだった。


でも、純の目が、以前よりもずっと澄んでいるように見えた。


「あの子は、前に進んでるんだ」


そう思うと同時に、自分は進めているのかと問う自分がいた。


その夜、拓は久しぶりに裏アカを開いた。純からのメッセージが来ていないか、無意識に確認していた。来ていない。当たり前だ。もうあの関係じゃない。


でも、過去の投稿をスクロールしながら思う。あの頃の自分は、少なくとも「隠すこと」に誠実だった。今の自分は、隠しながら「普通」を装っている。どっちが本当の自分なんだ。


「何を期待してるんだ」


自分に呆れて、アプリを閉じる。


瞳が、隣で静かに寝息を立てている。その寝顔を見ながら、拓は思う。この穏やかさが、いつか崩れる気がしてならない。そんな予感が、時々、胸をよぎる。


そして、その予感の正体が、「自分が崩すかもしれない」という恐怖だということに、まだ気づいていない。

その無自覚なまなざしの先で、静かに何かがほころび始めていた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

本作品は「小説家になろう」と「カクヨム」に同時掲載しています。

どちらのサイトからお読み頂いても、同じ内容です。

ご感想、評価などいただけますと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ