log in - 40 不条理とは……?
「……むう……」
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【喰らいつく Lv-1】
[アビリティ]
挫けぬ志
[アーツ]
ブレイブハート
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要約すると。格上の相手と戦う時、ステータスにプラス補正がかかるといったもの、なんだが……。
確かに言葉自体の意味としては、間違ってはいない……いないの、だが……。習得した経緯を鑑みるに……これ、意味あい違くね?
因みに[アーツ]ブレイブハートは、威圧等を含めたデバフ全般への抵抗力を高めるといったものらしい。
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〈食いしん坊〉
[効果]
満肝腹福
捕食吸収
[スキル]
【☆消化促進 Lv-1】
[アビリティ]
まだまだいける!
状態異常耐性・大
BS自然回復補正・大
[アーツ]
アシッドブレス
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うん! 満肝腹福は……いい。
満腹度の拡張と、食事をすることでVP・MP・SPが回復するという、【暴食】に通ずる効果だ。
問題は……捕食吸収って何っ!?
魔物を素材として作った食事を食べた場合。その調理に使われた魔物のスキルやステータスの一部を獲得することがある……って……。
スカサハよ? お前は一体、何処のラノベの主人公だ……。
いや、それよりも……捕食と銘打っているのに、何故に調理品限定っ!? 獲得できるものと確率も、料理とその出来次第って……。
あ! 【消化促進】は、読んで字の如くね。
「……? どうかなさいましたの、アギト様?」
補遺に声をかけられ、顔を上げた俺の視界に飛び込んでくる、豊かな双丘……もとい、シシリィの姿。
“キッチリ”と引き締まるような服装は、それが故に抑え切れないその一点を強調させていて……自然とそこへと誘われてゆく視線を留めることが出来ない。いやはや、何と見事な存・在・感!
「いや、このデカ……んん! この世界の不条理について少しな……」
「? ……不条理……です、か……」
思わず彼女にまつわる不条理さを口にしかけて、繕うように言い直した言葉。そんな言葉に一瞬小首を傾げると、何を思ったのか重苦しい声色で歯切れ悪くそう呟くのであった。
「言葉を返すようだが……如何した?」
「いえ……少し、昔を思い出していただけですわ……。それにしましても……進展、ありませんわね……?」
そうなのだ……といっても、1日2日でどうにかなるとは思っていなかったが。それでも、こう何も掴めないとなぁ……。
事の起こりは数日前のことだ。
時は深夜。巡回中の自警団員の1人が、湖面が不自然に粟立っているのを目撃。警戒しながら様子を窺っていたところ、湖中から怖気を誘う形容しがたい何かが砂浜へと這い上がってきたとの事。
その足元からは、まるで汚染されたかの様に生臭い濁水が湧き上がり。それは、白い砂地を浸蝕していくかの様に、周囲へと広がっていったそうだ。
本能的な恐怖に駆られての、有無を言わさぬ先制攻撃が功を奏した為か? その何かは、再び湖の底へと沈んでいったらしいのだが。地面へと広がった汚水に触れたその男性は、強力な独島呪いによって、未だベッドの上を余儀なくされているという。
深夜での遭遇ということもあって昨晩は、俺・リアン組とスカサハ・シシリィ組の分かれて夜の見回りをしてみたのだが……収穫ゼロ。
只、気になることは1つ。直接は関係ないだろうが、魔物がやたらと群だって行動するようになってきているように思える。
この村に来る途中で遭遇したファイティングベアという名の魔物。
やたらと胴回りがスリムで、時折“トーン、トーン”と軽快なステップを踏みながら、熊のくせして爪ではなく胸元に構えた拳? を“シュ、シュッ”と小刻みに繰り出してくるという……何とも頭の痛くなるような魔物だったのだが。
聞けばこいつ。本来、群だって活動する間ものではないらしい。それが3匹仲良く……かどうかは分からんが、とにかく連れ立って襲ってきたんだ。
転生初日に遭遇したゴブリン(魔)の狂乱の原因も、未だ分かってはいないようだし……。
マルスの言っていた、不穏な気配。それが、次第に輪郭を露わにしてきているようにも思えるのだ。
とはいえ。気にしていた所で、今は警戒する事くらいしか出来ないわけだし、取り敢えずは……。
「うん! 美味いっ!!」
白身魚の淡白な味を包む、僅かに酸味の利いたトマトベース? のスープ。そこに、少し堅めな米の“シャキ、シャキ”とした歯ごたえと、甘みのある海老? の“プリ、プリ”と弾けるような触感が加わり。この海鮮風ならぬ、湖鮮風リゾット、とでもいうのか? 一口食べたら最後。スプーンで掬い上げる俺の手は、一瞬たりとも留まることなく動き続けるのであった。
……ん?
「何で、しょうか? 外が、何やら騒がしいですわね……?」
俄かにざわめく外の喧騒が、店内へと流れ込んでくる。
顔を見合わせた俺とシシリィは……。
――あぐっ!?―― 「ピキッ!?」 「ふニャっ!?」
俺は、1人黙々と食べ続けるスカサハの首根っこを掴み……って、道理で静かだと思ったよ!? “コロン”と膨れたお腹を上にしてくつろいでいる? ヴァイオレットを脇に抱え込む。
と、同時にシシリィは、腹が満たされて「スピィ~、スピィ~」と心地良さ下な寝息を立てていたリアンの頭を“ペシン”と叩き起こすと、俺と共に表の喧騒へと駆けだすのであった……。
「落ち着きなさい、テティス! 貴方が行ったところで何が出来るの!?」
「うぅ~っ! ううぅう、ううぅ~~っ! やあぁ~っ!! 行くのっ! だって、パパがっ!? パパがぁあっ!!」
それは、すぐに見つかった。
不自然に出来た人の集まり。その中心で、女性に抱きかかえられて暴れる……幼女。
瞳いっぱいに湛えた涙を振り撒きながら、その小さな体をこれでもかと激しく揺すって、女性の腕の中から逃れようと幼い抵抗を続けているのだ。
それを心配そうに見つめる周囲の人々。中には沈痛な面持ちで、視線を地面へと落とす者もいた。
「何があったんだ?」
「え? あ、ああ……実は、な……」
その内の一人に話を聞いてみたところ。どうやら、件の『湖より這い上がりしモノ』に遭遇した自警団員は、今も母親? の腕の中で暴れる妖女の父親とのことで。床に臥せっていたその男の容体が、今朝になって急変したらしい。
何でも、1度は【治癒魔術】手納まっていた石化の呪いが再発したらしく。その進行を留める為の霊薬の素材を、あの幼女が取りに行こうとしているんだとか……。そりゃまあ……無理があるわな……。
とはいえ、大人たちにも問題となる素材……スコルピウスという魔物からとれる毒腺なのだが、これがまたかなりの危険度を持つ相手らしく手が出せないそうなのだ。
その為、『狩守』に依頼を出したとしても、すぐに入手が可能か? と問われれば、即座に否! と返事が返ってくるようで。最早、手をこまねいて見ていることしか出来ないのだと、話を聞いた男は悔しげにそう語った。
「アギト様! わたくし、ちょっと行ってきますわっ!! リアンさん、ついてきてくださいますわよね?」
「当然ニャ! ちょ~とっきゅうニャ~っ!!」
「プ? プキィ~~ッ!!」
「って!? まてまてまてまて! ちょっとまてぇ~~えいっ!!」
「な、何故ですのっ!?」
「何故ニャ~っ!?」
「プッ……プキ?」
何故か一緒になって、俺の腕の中から飛び立ったヴァイオレットを空中でキャッチすると……て、うん! 君、よく分かってないよね? 只勢いに釣られて飛び出しただけだよね?
まあ、何だ……それはともかく。俺は、勇む2人を慌てて止めに入ったんだ。
そんな俺へと避難じみた眼差しを向ける2人。……うん、まあ普通はこういった物語り的な場面だと、一緒になって素材の確保に乗り出すところではあるんだよなぁ……そう、普通なら……。
フッ……普通、か……なんとも懐かしい響きだことよ……orz
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【神授の秘薬(最下級)】
[系統]薬
[属性]回復
[効果]
あらゆる状態異常を回復する。
15日毎午前零時に補充される。
〈極品質〉
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効果は見ての通りの魔法薬で、恐らくは等級が上がれば再使用時間が短縮してゆくのだと思われる。
言うまでもなく、今日のログイン時に【福音】の効果によって入手したものである。
うん、何だろうね? この、ピンポイント感……まったくもって不条理な。
それこそまるで、か“ピコーン”み……。
〈それをするなんてとんでもない by神一同〉
あ、うん……分かったから……。
しかし……そんなに※※※がこわいのか、神一同? ……ん? ※※※て……誰だ……?




