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聖剣破壊  作者: 上総海椰
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終章 遺跡都市へ

ヴァロはフィアと共に聖剣との約束を果たしに来ていた。

契約する時に約束したことだ。


私を昔いた孤児院のあった場所に連れて行ってもらいたい。


あのとき聖剣の管理者から頼まれた唯一のこと。

「ブラーニさんつきましたよ」

ヴァロは聖剣の中で聞いた男の名前を口にする。

だが聖剣は何の反応もしない。

「知っている人いないかな」

「どうだろう?かなり昔のはなしだしな」

フィアの問いに

ヴァロとフィアはその場を見渡すが、もう夕暮れで人影はほとんどなかった。

孤児院のあった場所は公園になっていた。

それでもここだとわかったのは当時の地図の存在が大きい。

ニルヴァに尋ねたところ、忙しい中屋敷から昔の聖都コーレスの地図を引っ張り出してくれた。

第二次魔王戦争後の地図らしい。紙は変色していたが、保存が良かったためか痛みは少なかった。

結界を管理するためにも、ここ聖都の建物は逐一管理しているらしい。

第二次魔王戦争後にあった孤児院はここだけだ。

ヴァロはニルヴァに礼をいってこの場所にやってきた。


フィアが椅子に座る老婆を見つける。

ひょっとしたら何か聞けるかもしれない。

二人はその老婆の元へ駆けよる。

「おばあさん、昔ここに孤児院がありませんでしたか?」

「ええ?なんだって?」

耳が遠くなっているのか、聞こえない様子だ。

「だから孤児院が昔ここにありませんでしたか?」

ヴァロは耳元で少し大きめな声で言う。

「ああ、あったね。まさか若い人から孤児院について聞かれるとはねぇ」

老婆はにこりと微笑むと知っていることを話してくれた。

孤児院は老婆の若いときにはすでに取り壊されたという。

建物も老朽化して、残った子供たちはそれぞれに引き取られていったのだそうだ。

老婆の話ではその孤児院は、匿名の寄付によって支えられたらしい。

匿名の名前は決まってホーウェンという名前でさしだされていたという。

不思議なことに、その寄付は二百年以上も寄付を送り続けられていたという話だ。

ヴァロたちは話を聞き終わるとその老婆に礼を言う。

老婆は迎えに来た息子らしい男に連れられ、自分の家に帰って行った。


ヴァロとフィアは無言でその場に立ち尽くす。

外はすでに夜のとばりが下りて、遠くの民家からは光が漏れ出ている。

その寄付を送っていた人間を二人は知っている。

今にして思えば、あの人にとっては聖剣の破壊とは欠けた家族を取り戻すことと同義だったのかもしれない。


「…どんな過去があろうと私は彼女を許せない」

釈然としない面持ちでフィアはそうつぶやく。

「それで俺も救われたのだから許してやれよ」

ヴァロはフィアの頭をなでながら、彼女を諭した。

あの場面でヒルデの魔法がなければ、聖剣とも契約ができなかっただろうし、この場にいることはなかったかもしれない。

何より引き金を引いたのは自分自身だ。

「もう、子供扱いしないでっていってるでしょ」

そう言いつつ、フィアはヴァロの手をはねのけようとはしなかった。

「わかった、わかった」

どれほどの魔法を使えようともヴァロにとってフィアはまだ子供なのだ。

それが愛おしくすらあった。

「二人とも探したヨ」

公園を出るとすぐに、奇妙なとんがり帽子を着けたドーラが駆け寄ってくる。

帽子は聖都で購入したらしい。本人はいたく気に入っている様子だ。

「よくここがわかったな」

町はずれの孤児院に行くとは誰にも告げていなかったはずである。

「人を探し出すのは得意なのサ」

まるで誇ったかのようにドーラは胸を張る。

ヴァロたちよりも先に聖都に着いて、ニルヴァと一悶着あったみたいだが、

ドーラは何事もなかったようにけろりとしている。

ひょっとしたらとんでもない化け物なのではとか思う時もしばしばある。

「それで、なんで俺たちを探していたんだ?」

「ニルヴァが緊急の用件で会いたいってサ」

「結界を使えば…あっ」

ヴァロは言いかけてそれに気づく。ニルヴァは聖都の結界の管理者である。

現在聖都コーレスの結界は修復のため一部機能が使えない。

言うなれば制限のかかった状況である。

「まあそういうことサ。言おうと思っていたんだが…ヴァロ君、しばらく見ないうちに物騒なものと契約したもんだネ。

それは拾って手に入れるものじゃないんじゃないカイ」

聖痕のある左手を包帯で隠し、剣を布でぐるぐる巻きにしても、どうやらこの男にはばればれのようだ。

「わかるのか?」

ヴァロは血相を変える。契約したことまでドーラには筒抜けのようだ。

もし一見するだけでばれたのであれば、しゃれにならない。

「僕は一度、それを目の当たりにしてるしネ。

ちなみにその方法を使えるのは僕ぐらいだから、そう身構えなくてもいいサ」

それはこの男だけだということだろうか。

そうはいかない。もし聖剣と契約したことを知られれば、ヴァロは大罪人確定である。

思い返してみれば、ここに来る前にニルヴァともあっている。聖剣に気づいた素振りはなかったはずだ。

ヴァロは必死になって考えた。

「フィアちゃんもわからないでショ?」

「はい」

フィアもわからないというのだから、知られる心配はしなくてもいいと考えるべきだろう。

「君がどうしてそれを持っているのか?

君がどうしてそれと契約するに至ったのか?

理由は触れないでおくヨ。世の中何が起こるかわからない、だから楽しいのサ」

どこか楽しげにドーラは語る。

元魔王。現代の魔法の枠組みではとらえられない方法を使っているのだと、

ヴァロは勝手に解釈することにした。

「ドーラさん、緊急の用件って何かあったんですか?」

思い出したようにドーラが語る。

「そうそう、ニルヴァの奴が探していたヨ。大魔女じきじきの依頼があるらしいネ」

その依頼が大陸を揺るがす大事件への始まりを告げるものだとは、

この時ヴァロたちは微塵も思いはしなかったのである。

おつかれさまでした。

ようやく終わった…。面白いけど疲れるw

自分にもいろいろありましたし。

最近スライムとかクモとか、読んだけど面白かった。

ああいうのいつかは書けるといいなぁ。

漫画に関してはハンター。重厚すぎる。富樫殿はストーリーテラーだよ。


次のお話に関してちょっとだけ。

ここで出てきた聖剣カフルギリアは今回の話のカギになってきます。

次はいよいよ異邦との話になります。

さまざまな者たちの思惑が絡み合い、ヴァロたちを翻弄していくお話です。

ヴァロとフィアはその中でどんな決断をするのか。

その立場からどう決断を下すのか。はてさて。

実はもう結構書き進めてたりします。

意外と早く続きをだせるんじゃないかと思っています。

それでは次のお話でお会いできればうれしいです。

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