熱②
現世に帰ってきたのは良いけど…
体が怠く、体温を測ると37.9度。
自力でリビングに降りても手紙もなく昨日両親は、帰ってきてないことが分かった。
はぁ~優衣に学校に行けないってメールしないと…
その前に、学校に連絡しないといけないよね…
担任の先生が出なければ良いけど…
あの人は、人の家まで押し寄せる人だからな…
とにかく連絡のため学校にかけた。
3コール目で出た先生声を聞いて、うんざりした。
寄りによって、担任が出るなんて…
「冬咲 優希 です。今日は、熱があるので学校を休みます。」
「そうですか後程家に伺います。よろしいですね」
やっぱりだ~災厄…。
「……はい、分かりました。失礼します。」
はぁ…………。
次は、優衣にメールと
『優衣、ごめん__
今日は、熱が出てるから学校休む事にした。
プリントとか在ったら帰りしなに、持ってきて。
ノートもコピらして!!m(_ _)m』
これでよし 送信
動けるうちに、ご飯と飲み物を部屋に運ばないと…
そういや、昨日は買い物に行っていないからそこまで物が無いんだった……。
買いには、行けないしかと言って世話係りの人を呼ぶのは嫌だし…
先生に頼もうかな…後の要求が怖いけど。
あっ!!優衣からのメール
『優希、大丈夫?まだ時間があるし食べ物とかを持
って行こうか?ご両親は、知ってるの?
今から、行くからね。少し待ってて。」
優衣ってやっぱり優しい!!
自慢の親友だよ。
5分後
ピン~ポ~ン
インターホンの音か、優衣来てくれたの♪
辛いけど、どうにか1階の玄関前に着いた。
覗くと優衣が見えた。
鍵を開けて優衣を招き入れた。
「優衣、おはよう…。」
壁に寄りかかって挨拶をすると。
「優希!!ご両親は?とにかくベッドに戻ろうね。」
「うん…優衣が来てくれて助かった…。昨日買い出ししていなくて、食材が殆ど無かったから…。」
元気そうに振る舞ってはみたけど…
「優希!!こう言う時は、強がらなくていいよ。
しんどいのに平気な声を出さなくていい。
辛いときは、お互いに言うのが親友でしょう♪」
「ありがとう……優衣。」
どうにか、優衣に手伝ってもらって自室に戻ってこれた。
「優衣、さっき…聞いたよね。両親はって…。」
「うん、聞いたけど…どうしたの?」
「昨日は、帰ってきてないみたいなの。
仕事が忙しいみたい…だから、余り心配かけたくないから連絡もしていない。」
「心配かけたくないからって!大事な子供の事を心配するのが親のつとめだよ。甘えたいときに甘やかし、時には厳しくする。それが家族だよ!
優希、今すぐ電話しなさい。」
優衣の迫力に負け
「分かった、かけてみるね。」
優衣が出ていこうとするので
「ここに居て。優衣が居れば勇気が湧くからね。」
「分かったよ。ここに居るよ。」
「ありがとう。」
先ずは、お母さんの携帯にかけた。
「プルルル、プルルル、プルルル、ただ今電話に出ることが出来ません。後程お掛け直しください。」
次は、お父さんにかけてみた。
「プルルル プルルル プルルル プルルル
ご用がある方は、再度ご連絡ください。」
「やっぱり、出ない…。」
「仕事場の電話番号にかけてみたら?」
「う~ん、出ないと、思うけど…かけてみるね」
仕事場にかけてみた。
「もしもし、フラワーIT株式会社本社で間違いありませんか?」
「はい、こちらフラワーIT株式会社本社でございます。」
「私は、冬咲 優希と申します。」
「あっ、社長と社長第1秘書の 娘さんですね。」
「はい、お父様かお母様どちらか居られますか?」
「確認してみますね。 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
お待たせしました。お二人とも今は会議中です」
「そうですか。会議が終わりましたら、『冬咲 優希から連絡がありました』とお伝えください。」
「分かりました。そうお伝え致します。」
「失礼します。」
ふぅ~疲れるな…。
優衣が睨んでる?
なんか言ってはならないことを言ったかな?
あっ!!仕事の事を嘘ついたままだ!!
「優衣、両親は転勤でフラワーIT株式会社本社に移動になったの。」
「そうだったんだ…そろそろ、学校に行くね。
また、放課後に来るから」
「うん、ありがとう。」
優衣がドアを出たらオートロックのかかる音がした
いつの間にか寝ていたらしく、12時をまわっていた
まだ体が怠い。
ピ~ンポ~ン
今度は、誰?手持ちインターホンを見ると…
ウソ!?本当にに先生が来てる!!
とにかく返事を…
「…は、い。」
「優希さん、鍵を開けてくれますか?」
う~開けたくないかも…
「辛くて、1階まで降りれないのですが…」
「そうですか。この扉は遠隔操作で開く物ですよね開けてください。」
だから、嫌いなんだよ。
「分かりました……部屋は、3階の階段を上って直ぐの部屋にいます。…」
渋々ロックを開けて、家の内部に設置されている隠しカメラの影像を見ながら先生が不要な行動をしないか見張った。
そしてノックをされたので、モニターを隠してから返事をした。
「はい、部屋の鍵は開いているので…お入りください……。」
「お邪魔しますね。優希さん。」
そう言いながら入ってきた。
「今、紅茶をお出しします。…ソファーに座っておいてください。」
私は、部屋に置いてあるポットにてを伸ばし
ティーパックを入れてそれを予備コップに入れて、先生が居るソファーの前の机に置いた。
「一応は、動けるみたいですね。」
「まぁ、部屋の中ならどうにか…」
「ご飯は、食べましたか?」
「……いえ、降りれないので優衣が持ってきてくれたゼリーを食べようかと思っていたところです。」
「そうですか。体温を測ってください。」
まだ疑ってるのか?
「分かりました。」
測ってみると…38.3度
うわ~上がってる!!
その温度を見て
「この薬を食後に飲んでください。ただの薬です」
「ありがとう…ございます。」
そのとき、電話がかかってきた。
発信者は、お母さん!?
先生を見て
「電話に出てもよろしいですか?」
「いいですよ。私にお構い無く。」
そう言われたので、電話に出た。
「優希!?やっと繋がった。ずっとかけてたのよ!」
画面を見ると着信履歴がたくさん入ってた。
「ごめんなさい。寝ていたから気づかなかった。」
「珍しく会社にも連絡するなんて、
何かあったの?」
「うん、そんな大したことでは無いんだけど…
昨日の夜から熱が出てて、少し落ち着いていたから放置していたら…朝になったら熱がぶり返して、
その事を伝えるために連絡しただけだから…」
「今すぐ、家に帰るから!!ご飯は食べてないんでしょ?少し待ってなさい。」
「お母さん、大丈夫だから仕事に集中して!!
お父さんを支えられるのは、お母さんだけだから」
「じゃあせめても、家政婦さんに…」
お母さんの話をさえぎって、
「だめだよ!友達がお見舞いに来るのに、そんなことしたら…それに、今先生が来てる。」
「代わってくれる?」
「分かった。」
「先生、お母さんが代わって欲しいらしい。」
「携帯をお借りしますね。」
「代わりました。優希さんの担任の者です。」
何を話しているかは、わからないけどえらく長かった。
20分後に話は終わったらしく、携帯を返してくれた
「お母さん…なんの話をしてたの?」
「内緒よ♪ヒントをあげる。優希の担任の先生は、私の同級生よ♪。」
「えぇー!!嘘でしょう!?」
「本当よ♪夜ご飯を作ってもらうようにお願いしたから。」
「でも……」
「じゃあ…仕事あるから。いい子で寝てるのよ。」
「は…い。」
電話を切ると
「そう言う事だから、6時くらいにまた来ます。」
そう言って先生は学校に戻っていった。
4時に優衣が来てプリントとかを渡し終ると、
「今日は、急いでるからまた明日ね」
そう言って帰っていった。