悲しみ☆怒り♥新しい仲間
「お姉ちゃん、ごちそうさま~」
私も食べ終わったわ。
「今日はもう疲れたから、椅子が私に張り付いて離れないよ~起きたくても起きられない~」
はいはい! 私が片付ければいいんでしょ。
食べ終わった空の紙弁当箱を手に取り、台所へ向かうと、シンクから溢れかえっている弁当箱の山を前に頭を抱えた。
どうやって積み上げたらいいのよ?
崩れ落ちて中からびっくりした小さなお友達が飛び出してきたら、私耐えられないわよ。
突然、スマホが鳴り響いた。
手に持っていた弁当箱を調理台に適当に置き、スマホを出た。
『私よ』
おっ! 明麗の声ね。
『あなたの家、どこ?』
朗報でも報告しに来てくれるのかしら?
もしかしたらお礼のプレゼントでも持ってきてくれるかも! やったわね。
私はすぐさま住所を伝えた。
『すぐ行くわ』
電話が切れた。
多綵のところへ行って言った。「明麗がもうすぐ来るって!」
「じゃあ絶対ちゃんとおもてなししなきゃね!」
当たり前でしょ、わざわざお礼を言いに来てくれるんだから、礼儀正しく迎えるに決まってるじゃない!
まもなくして、インターホンが鳴った。
私と多綵は我先にと玄関へダッシュしてドアを開けようとした。
多綵は武術の達人だから、流石に勝ち目はないわね。彼女がドアを開けた。
あんたが玄関に立っていた。
私は何でもないふりを装いつつ、内心では「ありがとう」の一言を期待しながら尋ねた。
「どうしたの?」
「投資……してくれない?」
「なによ? 会社のお金が足りないの?」
「違うわ」
じゃあ何なのよ?
「私に、投資して」
は?
「うちの両親が私に投資した養育費は、たぶん1000万くらいだと思うの」
脈絡もなく何言い出してんのよ?
「会社員として定年まで働けば、生涯獲得年収の平均で3000万は稼げるわ」
なんでそんな話してんの?
「人間の臓器を全部売ったら……分からないけど、仮に3000万として」
恐ろしすぎるわよ!
多綵が思わず私にしがみついてきたわ。
「大学卒業までの奨学金と食費・生活費を含めて100万」
大学行くのって超高いわね!
「合計7100万。私に貸して」
私たち姉妹の総資産とほぼ同じじゃないの!
「貸してくれないの? ああそうね、インフレも考慮しなきゃ。年3%の複利計算なら倍以上……高く見積もって1億7000万、私、あなたたちにそれくらい稼いで返してみせるわ! だから私に貸して!」
いやいやいや、それじゃ宝くじ当たるのと変わらないじゃない。
「7000万貸して! 倍以上にして返すから! 私に投資してよ!」
なんだか、猛烈にむしゃくしゃしてきたわ。
「……貸してくれないの?」
そういう問題じゃないのよ。
「……お願い……貸して……ください……」
明麗はその場にひざまずいた。
なによこれ? 気味が悪いわ。
私のこの感情は、一体何なの?
「お姉ちゃん……人間って、そんな風にお金に換算できるの~?」
私は妹と見つめ合った。
私、今までそんなこと考えたこともなかったわ。
「できるわよ!」
なんで明麗はそんな言い切れるわけ?
「私に何をさせたって構わないから!」
なんでずっと土下座してんのよ?
「何だってするわ!」
なんで顔を上げて私を見ないのよ?
ホント……胸くそ悪いわ!
ああ……分かった。
私、怒ってるんだ。
「あんたの家、どうなったのよ?」
「聞かないで……」
「話しなさいよ。聞いてから貸すかどうか考えてあげるから」
「お母さんはお父さんに別居しようと言って、お父さんは張さんのところに行って住むって言ったの。お母さんは止めなかったわ。会社はお父さんと張さんがお金を盗み出していたからって何も変わらない、すべて今まで通りよ」
だから何よ?
「……ヘドが出るほど、気持ち悪い」
「で、あんたは社長にそう言った?」
「言った。そしたら『人の上に立つ者は公私を区別し、清濁併せ呑まねばならない。あなたは将来の会社の跡取りなのだから、その道理を理解しなさい』って……」
「あんたはどう思ったのよ?」
「嫌よ! 私はただ、お父さんとお母さんがお金のことで喧嘩しないようになってほしかっただけなのに! 私が全部ぶち壊しちゃったのよ!」
そんなんじゃない。
多綵があんたの傍に歩み寄った。
「それはあの人たちの問題で、明麗ちゃんのせいじゃないよ~」
ナイスよ、多綵。
でもあんたはまだ受け入れられないのね。
「なんで悪いことをした人が罰を受けないのよ!?」
そんなの私には分からないわ。あんたのお母さんの決定なら、尊重するしかないじゃない。
「あなたもあれが正しいと思うの!? 私のことが滑稽に見えるの!?」
私は少し考えた。
そして言った。「あんた、何しに来たのよ?」
あんたはハッと息を呑んだ。
「ここに居させて……私に投資して。7100万……ううん、7000万でもいいから!」
マジで胸くそ悪いわ。
自分が今どんな顔をしているのか分からないけれど、言葉が勝手に口から溢れ出していた。
「おい! あんた一体誰に向かって口きいてんのよ!?」
「……投資家」
「あんた、私を誰だと思ってんのよ? 闇金業者か何か!?」
「私はただ、計算した上で合理的な投資リターン案を提示しただけで――」
「立ち上がりなさい! 林明麗!」
「ダメよ……」
「……あんた、私たち姉妹がなんでこんなにお金持ってるか考えたことあるの?」
「金持ちの家だからでしょ」
「違うわよ! 私は妹にお金を貸して宝くじを買わせたら当たって、1億分けてもらっただけのおバカ! 運が良いこと以外、何ひとつ取り柄なんてない!」
あんたはようやく顔を上げた。
「あんたは、そんな奴の前にひざまずいて満足なわけ!?」
多綵が明麗を抱き起こした。
「そうだよ~! 私たち運が良いだけなんだよ~」
「うそでしょ……? じゃああなたたち、そんな散財して――」
「そんなの私の自由でしょ! いいから次の言葉をよく聞きなさい! 私にはあんたに7000万あげるお金なんて端からないわ! でもね! あんたの衣食住と学費、それに欲しいものは何だって買ってあげると約束するわ! 条件は、10年以内に私に返すこと!」
「何よその無茶苦茶な計算……」
あんたは私の荒唐無稽さをあきれ笑った。
「帳簿のつけ方はあんたが教えなさい! この前みたいにね! 唯一の要求は、お金を借りるために人にひざまずくんじゃない! 私がそんなの許さない!」
あんたは大笑いし、笑い転げながら涙を流した。
「本当におバカさんね……」
「これが私の『投資』よ!」
「わかったわ。田多惠。これからよろしく頼むわね」
私たちは互いの手を握り締め、多綵の手も重ねられた。
「「よろしく頼むわ!」」
「ところで……」明麗は台所の方を指さした。「あれは何?」
「ゴミの山だよ~!」
多綵、あんた旅の恥はかき捨てても家の恥は外に晒しちゃダメでしょ!
あ、違うわね。これから一緒に住むんだから、もう家族だ。
「あなたたち二人、生活能力ゼロなの!? いい大人なのに掃除もできないの?」
うぐっ……痛いところを突かれたわ。
「本当に手がかかるわね……私が片付けるわ!」
「明麗ママ~!」
多綵があんたにきつく抱きついた。
何がママよ!?
まさに女神降臨じゃないの!
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【資産まとめ】
田多惠:約5000万台湾ドル
田多綵:約6000万台湾ドル
(※毎月50万台湾ドルの住宅ローン支払い・20年組)
ふたりの収入:
毎月30万台湾ドルの債権回収
共同で会社の株式を所有(現在の毎月の配当收益は不明)
新しい仲間:林明麗
どうも、バーレンテイ(BARRENTEA)です!
この話、面白い?
一旦これで終わりです
後続は考えたんだけど、いまんの所書く気ない~
思しければ評価、感想送ってください
ではまた




