90話 決着
「くそ!なぜ周囲は増本の味方になるのよ!所詮人間は顔が良い子には弱いってか!!」
ガンガン。
愛羅は2台の自動販売機を交互に足の裏で蹴った。
自動販売機は一瞬機械音を止めたが、瞬時に息を吹き返した。
自動販売機はびくともせずに、ブルーライトも放出する。
「ちっ!機械だから頑固ね」
自動販売機にダメージを与えられなかった事実が悔しいのか。愛羅は機械に対して不満をぶつけた。
「どうやらお怒りのようだね」
「誰!?」
キッ。
愛羅は威嚇するように音源を探索した。
時間はあまり消費されず、すぐに愛羅の視野に一輝が収まった。
以前と同じ場所で今度は一輝と愛羅が対峙する。もちろん人気は存在しない。この場所には2人しか身を置かない。
「ものに当たっちゃダメだよ。壊れるから」
一輝は子供に接するようにたしなめた。
「余計なお世話よ!それに上から目線やめてくれない?」
愛羅は荒い口調を伴いながら、鋭い眼差しを走らせた。
「ごめんごめん。お節介だったね」
一輝は軽く謝った。
「それで。そろそろ増本に対する危害を止める気にはなった?」
一輝はようやく本題に入った。そのために、彼はわざわざこの場所へ足を運んだ。
「なに?まだ説得しようとしてるの。生憎、答えはNOよ」
劣勢にも関わらず、愛羅は威勢が良い。反抗心がびんびんに沸る。
「・・・それは残念だね。まさかこの時点でその考え方とは」
一輝は辟易する。
愛羅の頑固さには尊敬すら覚えた。ここまで粘り強いとは想定外だった。
「残念だよ」
一輝は正直な意見を口にした。憐れむように。
「ふん!好きに言ってなさいよ!」
愛羅はふんっと吐き捨てた。
テレレレン。テレレレン。
愛羅のスマートフォンが鳴り響いた。
「ちっ。誰よ」
愛羅は面倒臭そうにスマートフォンを取り出した。
「はい!もしもし!!」
愛羅は雑に電話に応答した。
『お、おい!愛羅!!そろそろ増本に手を出すのはやめろ!そうしないと俺がもたない』
スマートフォンがスピーカーにしていたため、一輝の耳に内容が入った。
「はぁ〜。なんで!秀明もそんなこと言って!元はと言えばあんたが仇を取って欲しいって言ったじゃない!!」
愛羅は鋭く唇を尖らせた。
『とにかくすぐに愛羅の元に向かうから!』
小川はすぐに電話を切った。
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
愛羅の声も虚しく、儚く消えた。
「ちっ。なんなのよどいつもこいつも」
愛羅は乱暴にスマートフォンを仕舞った。
「彼氏の意見に沿った方が身のためだよ?」
一輝と愛羅の立場が逆転した。一輝の方が圧倒的優位に立った。
「ぐっ・・・」
愛羅はギリギリ歯を食い縛った。
完全に負け顔だった。
「すぐに彼氏さんが来るみたいだね。身を置く場所を教えた方がいいよ」




