24話
「今日もしっかり髪を手入れしないとな」
早朝。自宅に身を置いた羽矢が制服を着た状態で洗面台の前に立っていた。
「寝癖は・・・ないな。後はツヤを出すために髪を研ぐ必要があるな」
羽矢は緑のくしを用意して髪を優しく研ぐ。前髪、サイド、ボブヘアのため短めな襟足を力を入れずにクシに通す。
「よし!完成!!」
羽矢は満足いくまで髪を手入れすると、タンスにクシを収納した。
羽矢は自宅を出発する前にも髪の状態を確認する。この行為は自身のためでもあるが、ある人物から良く見られたいためでもある。
「いってきます!」
羽矢は母親に声を届かせるために、敢えて大きな声で出発のサインを示した。
羽矢はスクールバックを肩に掛けながら登校した。
いつも通り多くの生徒達から注目されながら教室に到着した。最初の方は多くの視線を向けられることに慣れず、嫌悪感を覚えていた。しかし、今では全く気に掛からない。
授業が始まり、羽矢はつまらないと感じる数学を1時間目に受け終わった。
そして、授業終了のチャイムが鳴り響くと、羽矢は2時間目の準備を済ませ、そそくさと教室を退出した。
羽矢は早歩きで廊下を進み、最近日課となりつつある一輝のクラスに入室する。
羽矢とほぼ同じタイミングで莉菜も教室に足を踏み入れた。羽矢と莉菜は毎回、ほぼ同じタイミングで一輝のクラスに到着する。
「よう〜!朝元!1時間目どうだったか?相変わらずつまらなかったか〜」
羽矢は別の戸から入室した莉菜と目を合わせた後、普段の明るいテンションで一輝に言葉を掛けた。
莉菜も声を掛け、羽矢よりも少し早く一輝の席に到着する。
羽矢は積極的に一輝に対して話題を投げ掛ける。身だしなみを整えた状態で、少しでも良い印象を与えるために、アピールするために。
だから、周囲の騒がしい反応は関係ない。
何度同様な事柄が起こっても変わらぬ周囲の反応など羽矢にはどうでもよかった。
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