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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第伍幕「始動」
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第伍幕の拾

今回の被害者はこの人。

 無事に出発でき、そのうえ道中で振袖のカケラを入手することができたスキロスは、満を持して素体が反応しているネガボットの素体を隠してから校内の見学者という体で戎に声をかける。

「すみません、お伺いしたいことがあるんですが……」

「はい」

 男は戎にある人物の写真を見せて、その人物のことを聞いた。

「ありがとうございます。ささやかながら、お礼をさせていただきますね。……負の感情よ、その姿を顕現せよ! はっ!!」

 お礼と称して、スキロスは振袖のカケラとネガボットの素体を戎に投げつける。彼の体は力が抜けてその場に倒れこみ、口から出た黒い煙がネガボットの素体と振袖のカケラと合体し、顔がラグビーボールになったラガーマンの姿をしたネガボットとなる。

「さあ、この学校を好きなだけ破壊してください!」

「ネガァァァ!!」

 咆哮をあげたネガボットは、足音を立てながら目標に向かって進んでいく。

「こ、これは大スクープ!!」

 ネガボットが歩く姿を目撃した莉子はすかさずカメラを構えて撮影するが、シャッター音に気づいたスキロスが彼女の背後に忍び寄り、持っていたハードカバーの本の表紙で頭を殴りつけ、そのまま莉子は校庭に倒れこんで気絶してしまう。

「女性に手を出すのは趣味ではないのですが……。ネガボット、この小娘を適当なところに放り込んでおきなさい」

 ネガボットは莉子の体を軽々と肩に担ぎ、そのまま投げ飛ばす。彼女の体は植え込みに落下した。

 部室を無事に明け渡してもらうことができた時のことや、満開市でどんな風に宣伝活動を行うかなどを話し合ううちに、時間が過ぎていく。そろそろ下校時間だ。

 ……そう思っていた時だった。

 建物が崩れる激しい音が校庭から聞こえる。何があったのかを確認すべくさくらが窓から顔を出すと、ネガボットが暴れ出していた。

「たったたた、大変です白川先生! また怪物が!!」

 明らかにテンパっている唐木田が小町部の部室のドアを開ける。

「唐木田先生、私たちは生徒たちの避難を優先しましょう! 生徒たちを全員無事に家に帰すのが私たち教師の義務です!」

「はい! 私たちはここにいる生徒たちを避難させましょう!」

「先生、俺も手伝います! さくらたちは他の校舎の避難を頼む!」

「OK! かんなちゃんもここにいる人たちの避難誘導をお願い!」

「りょ! みんな、怪物がいなくなったら全員部室に集合ね!」

 さくらたちは部室棟の階段を駆け下り、特別教室のある棟へと向かう蓮と別れ校庭へと急ぐ。そこには顔色を悪くしてぐったりと倒れている戎と、ハードカバーの本を読んでいるスキロスの姿があった。

「あれはさっきのラグビー部の部長さん!」

「用のない一般の学生はお帰りください。ネガボット!」

「ネガァ!」

 スキロスは本に顔を向けたままネガボットに指令を下す。ラグビーボール型の爆弾を投げつけ、その爆風がさくらたちを襲うが……!

「「「「開花!」」」」

 爆風で起きた土煙の中で、4人の周りをそれぞれ激しい光が包み、それらが収まると振袖小町の姿になった4人が揃い踏みしていた。

最初から4人そろっての初陣、そのチームワークやいかに?

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