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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第伍幕「始動」
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第伍幕の捌

今回の話を盛り上げる人たちが続々。

 放課後、部室に向かった小町部の部員たちを部室前で待っていたのは、困り顔をしている桃香と、1人の男子生徒が部室のドアの前を陣取り、動こうとせずに座り込んでいる姿だった。

「桃ちゃん先生、どうしたんですか?」

「火宮さん! ラグビー部の戎君が部室の明け渡しは認めないって言ってて……」

 小町部の部員が来たのを見て、現在のラグビー部唯一の部員で、3年生の戎利一(えびすとしかず)は立ち上がり、怒号をあげる。

「お前たちが小町部か? 部長はどいつだ、出てこい!」

 明らかに喧嘩腰の戎に委縮してしまっているさくらだったが、右手を半分だけ挙げて自分が部長であるとおずおずと名乗り出て前に出る。

「私が部長ですが……」

「いいか、立ち退きだなんて俺はそもそも認めてないし、一言も出ていくなんて言ってないぞ! この部屋は俺のもんだからな!」

 強硬な姿勢を崩さない戎だが、他の部員の存在に気づくと、だんだんと態度が小さくなっていく。

「ここ、校則でもううちの部室なんですけど……」

「戎先輩、部員の人数が不足したら部室は使えなくなるって生徒手帳にも書いてありますよ?」

「私は生徒会の書記ですが、生徒会からとしても勧告させていただいてもよろしいでしょうか?」

「そもそも部じゃなくて今は同好会じゃん」

「それ以前に認めないとか言ってんのがダサいんですけど」

 小町部は戎にドン引きしていた。言葉には出さなかったが、蓮も彼の態度には辟易していた。

「う、うるせえ! こんなわけのわからない部活に使われるくらいだったら、物置にされてる方がよっぽどましだ!」

 捨て台詞を吐きながら部室棟を去っていく戎。根本的な解決はできなかったが、これで部室に入ることができるようにはなった。そこを、呼び止める声が聞こえてきた。

「おい、やかましいぞ……って白川先生!」

「なになに!? 何か事件でもあったの?」

 小町部を呼び止めたのは、部室が隣にあるサイクリング部の顧問であり、かんなのクラスの担任である唐木田と、逆側の隣に部室を構える写真部部長でかんなのクラスメイトである上原莉子(うえはらりこ)だった。桃香は唐木田に事情を話すと、それを聞いていた莉子がわくわく顔になっていった。

「なるほど、これは隣人のピンチ! 私、彼やラグビー部のこと調べてくる! ちょっと行ってきます!」

 頼んでもいないのに事情を調べると言い出した莉子は、愛用のカメラを持って光の速さで外へとすっ飛んでいった。

 部活動がまだ終わっていないにもかかわらず走り出した莉子にあんぐりとする一同。これには小町部は話が大きくなる予感しかせず、思わず……。

「ねえ……あの人、いつもあんな感じなの?」

「りこぴんのこと? ならそだよ? だってりこぴんは……」

 莉子と同じクラスのかんなによれば、彼女は常に特ダネを求めていて、校内新聞に書かれたスクープのネタと写真はほぼ彼女が見つけてきて撮影したものだという。かりんが先輩のために作った衣装をズタズタにされて倒れた事件も彼女の手によって校内中で知られることになったそうだ。

「じゃあ、あの子には感謝しないと。でも、なんで誰がやったのかみんな知らないんだろ……?」

 真実を知ったかりんは次にあったときに彼女に感謝の意を伝えることを決めるが、自分たちの記憶が部分的に消去されているかのような感覚に陥っていた。

今回登場したラグビー同好会部長と写真部員は高校時代の友人をモデルにしています。二人とも元気かなぁ。

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