第伍幕の参
これより、振袖小町の集会を開催する。
その日の帰り、かりんはさくらにある頼みごとを申し出た。
「さくら、ポスターを作る際に、イナリをモデルにしたいんだけど、いいかな?」
「いいと思うけど本人、というか本キツネに聞いてみるね」
「あはは、本キツネとかウケる! つーかなんでペットから許可取る必要あんの?」
不用意な発言をしてしまったと気づくさくらに、あおいが助け舟を出す。
「ほら、さくらのお母さんから許可取らなきゃいけないし、ペットを預けるってけっこう大事じゃない?」
「あーね。りんりん、ポスター楽しみにしてるからね!」
「あいよー」
帰宅したさくらは、さっそくイナリにかりんの頼みごとについて説明すると、こんな返事が返ってきた。
「まあいいけど、条件がある」
「条件って?」
「それは後で話す。せっかくの機会だし、振袖小町のことを話したいから、かりんだけじゃなくてあおいとアイリスも呼んでくれないかな」
イナリへの疑念が払えないさくらだったが、あおい、蓮、アイリス、かりんを火宮家に呼び、さくらの部屋でイナリの話が始まる。かんなは都合が合わず欠席したが、イナリとしてもそちらの方が都合がよかった。なぜなら……。
「えー、君たちに集まってもらったのは他でもない……」
「前置きはいいからさ、早くモデルになってよ」
ペンタブのペンを持って準備万端のかりんがイナリの話を遮ろうとするが、それを聞く耳をイナリは持たなかった。
「アイリス、かりん。2人はまだ振袖小町とは何なのか説明を受けていなかったね。まず質問だけど、振袖小町の昔話は聞いたことがあるかい?」
「昔お父さんから」
「うちもママから聞いた」
2人が振袖小町になる前から伝承としての振袖小町を知っているかを確認してから、自分が何者であるのかをはじめ、幹夫がさくらに語った振袖小町が江戸時代に実在していたこと、江戸時代の振袖小町は虹色に輝く着物を着て、五行と呼ばれるかつて古代中国で発した自然哲学の思想における5つの元素すべての力を使えたこと、そして振袖のカケラとは一体何かといった各種振袖小町に関する情報を共有した。振袖小町になったはいいがほぼ成り行きだったため詳細をわかっていなかったアイリスとかりんは疑問が氷解した。
五行のうち4つが出揃いました。では残りひとつはどこに?




