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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第肆幕「個性」
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第肆幕の拾肆

ピンチのピンチのピンチの連続。

 ハンジールの圧倒的な強さに歯が立たず苦戦する中、振袖小町が入ってきた扉とは違う扉から、振袖のカケラを持ったプチッツァがやってくる。もうこの時点でさくらたちは動くことすらままならないほどの大きなダメージを負っていた。

「……プチッツァ!」

「お疲れ、ハンジール。こっちは無事任務完了。いい人間見つかった?」

「おう、プチッツァ。こいつなんてどうだ?」

 ハンジールは逃げ遅れた細身の眼鏡をかけたポロシャツの男性の観客を捕まえ、ステージまで連れてくる。

「な、なんだお前たち! 卯月ちゃんの最後のライブをめちゃくちゃにしやがって!」

 彼の発言にピンときたプチッツァは、ハンジールに彼を担がせ外に連れていく。外に去っていったプチッツァを追い、イナリは階段を駆け上がる。

 怯える観客の男に振袖のカケラとネガボットの素体を投げつける。

「負の感情よ、その姿を顕現せよ! はっ!!」

 身動きが止まった観客の口からは黒い煙が飛び出て、意識を失い倒れる。そして、立方体は巨大化して煙と振袖のカケラを包むようにして変形していく。やがて立方体は頭がスポットライト、腕はサイリウムを模したネガボットとなる。

「ネガー!!」

「心の拠り所をなくしちゃったら、人間生きていけないよね。さあネガボット、好きなだけ暴れていいよ!」

「ネガ!」

 ネガボットは駐車してある車を踏みつぶし、ビルに向けてオタ芸のロマンスの要領で下から上へ腕を振り回し、ビルを破壊する。

 プチッツァを追い、振袖小町はライブではなくプロレスのリングに変貌してしまった会場から傷ついた体を引きずりながら外へと走る。

「ハンジール! あいつらのことは任せたよ!」

「任せろ! あいつらの気合と根性、叩き直してやる!」

 思うがままに暴れまわっていたネガボットを止めるのが最優先だが、再びハンジールが振袖小町に襲いかかる。一方的に痛めつけられる姿をまた見たくない一心で、蓮がハンジールに向かって叫ぶ。

「やめろ! やるなら俺をやれ!!」

「おっと、セコンドがリングに上がるだなんて、命知らずにも程があるぜ! 質実剛拳!!」

 右腕に力を集中させたハンジールが、蓮に向けてパンチを飛ばしてくる。もう終わりかと思ったその時、力を振り絞ってさくらが駆け寄り、彼の盾となる。この一撃が決定打となり、さくらは元の姿に戻ってしまう。

「え、火宮さん!? ってことはもしかして……!」

「その声、木谷さん!?」

女子のピンチに立ち上がる蓮は力こそなくとも立ち向かう立派な振袖小町の仲間ですね。ですが、ピンチはまだ終わってない!

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