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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第肆幕「個性」
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第肆幕の伍

どんな学校にもついて回るものの一つがこの学校にもありました。

 それから二日が経ち、再び家庭科部の活動日がやってきた。放課後、今度こそ説得と話し合いをすると固い決意をコンビニで買ったキーホルダーを付けたカバンとともに持って、小町部は家庭科室へと向かう。

「そういえば、家庭科部の子の名前とクラスって誰かわかる? 名前もクラスも知らないんじゃ説得なんてできないと思うんだ」

 さくらが話し合いをする相手の名前をまだ知らないことに気づき、生徒会で部活のことも対応しているアイリスが答える。

「F組の木谷かりんさん。どうやら去年のクラスでいじめられてたらしくて、部活が拠り所だったんだって」

 語られた真相により広がったどんよりとした空気が小町部を包む。彼女の言っていた「人の居場所」という言葉にも、これで合点がいった。

「木谷……あの事件の子だ! この学校にそんな根性の腐った奴がいるなんてガンギレなんですけど! 誰だか知らないけど、やった奴が誰かわかったら……あたしが絶対シメる」

 普段の快活なかんなからは想像もできないほどの怒りに満ちた表情と声に、通りすがりの生徒たちが戦慄する。

「俺も前に陸上部の奴に、あと一昨日剣道部の奴から聞いたけど、そうらしいな。それから、始業式で倒れた子がいたけど、それも彼女だって」

 噂話と校内新聞で「事件」について聞いていたさくらたちはこれから会いに行く相手を下手に刺激しないよう心掛けるとともに、始業式の日の帰りに保健室に行って倒れた生徒がどうなったか聞きに行っていたさくらは、彼女との不思議な縁を感じていた。

 家庭科室に着くと、かりんは鼻歌を歌いながら上機嫌で1人ミシンを使って布を縫っていた。鍵は開いていたためミシンの操作に夢中の彼女に気づかれないようそっと中に入る。

 ミシンの上糸がなくなったことに気づいたかりんがミシンを止めて立ち上がると、小町部が来たことに気づく。

「不法侵入、出てって」

 上糸を探すのをやめてミシンをしまおうとするかりんに対し、さくらは彼女の目を見て真剣な表情で語り掛ける。

「大丈夫、私たちはあなたにひどいことは絶対にしない。約束する。だから……話し合いをさせてもらえないかな?」

「……わかった」

 さくらの眼差しに彼女が嘘は言っていないと感じたかりんは、話し合いをすることに同意した。すると、さくらたちのカバンに付いたキーホルダーに気づく。

「……それ、ぼでば! 好きなの!?」

 ぼっちでばんど、通称「ぼでば」はまだ1話しか見ていないが、面白かったと感じたさくらは肯定。するとかんなが話に加わる。

「あたしも好きなんだよね! 同じもの好きならさ、あたしたちもう友達だよね! あたし、金丸かんな! で、さくとあおいっちとアイリスと蓮くん! これからよろ!」

 彼女の見た目と食いつきようにおっかなびっくりのかりん。だが、ぼでばの話題からだんだんと打ち解けていき、自己紹介をしてそれぞれ連絡先の交換を行った。

「ところで、部室のことなんですが……」

 話題が変わったところで、かりんの態度もがらっと変わる。

「そのことだけど、条件がある。それは……」

 固唾をのむ小町部。

「土曜に因幡卯月のライブに一緒に行ってくれたら、使ってもいいよ」

さくらさん、ファインプレーですね。しかしとんでもない条件が出てきました。

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