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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐幕「知略」
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第弐幕の拾陸

これにて一件落着……と思いきや、少しわちゃわちゃしてもらいます。

「おーい」

 戻ってくるさくらとあおい、そしてイナリ。さくらは不自然なニヤニヤした表情で蓮に声をかける。

「いやー蓮君、君は恋のキューピッドですなぁ」

 表情だけじゃなく不自然なしゃべりとほめ方に困惑する蓮。その隙にイナリは蓮の背後へと回り込み、ズボンの後ろのポケットに入った手紙について尋ねる。

「ところでこの手紙は何だい? もしかして、ラ……」

 言いかけた途端、あおいが硬直する。しかしイナリは構わず蓮のズボンから手紙を奪い取り、開けて中身を読み上げる。

「なになに、拝啓水崎あおい様、結論から申し上げますと僕はあなたのことを心の底から……」

 読み進めていくにつれて硬直していたあおいは全身が色だけなら茹蛸の擬人化といえるほどにみるみる真っ赤になり、果てには煙を上げて倒れる。それに気づかず興味津々で中身を読み上げているイナリを、さくらが持ち上げ手紙を取り上げる。

「はいここまで。あおいは蓮以外の年が近い男子が大の苦手なの。普通のコミュニケーションをとるのは大丈夫なんだけど、告白されるとかラブレターになるとああなるからもうやめてあげて。蓮、これどうすればいい?」

「なかったことにしてくれって。手紙は好きにしていいぞ」

 そう言われた直後、さくらはすぐさまラブレターをバラバラに破き、ごみ箱に捨てる。内容がいいところまでいっていただけに続きが読めなくなってしまったことにしょぼくれるイナリ。気絶してしまったあおいを蓮が揺り起こすと、目を覚ましたあおいに対し、事態の張本人がさらっと爆弾発言を言ってのける。

「……あおい、もう君はさくらと結婚した方がいいんじゃないかな」

 倒れていたあおいがあまりのショックに意識を取り戻す。

「あはは! そりゃいいや! 仲人なら俺がやるぜ!」

「もうやめてー!!」

 赤面するあおいに対し、皮肉の意味が分からずきょとんとするさくら。口ではあおいをからかってはいる蓮だったが、心の中では馬場が言っていた「女子を助けるのは男として当然」という言葉に、女子に助けられる形となった今回の戦いを振り返りどのようにすれば自分がさくらとあおいの力になれるのか思い悩んでいた。

 そんな蓮の心境を知らないあおいも、過去に自分たちと会ったことがあると言っていただけでなく自分たちの名前まで知っていたティーガーと実際にどこかで会ったことがあるような気がしてきたが、いったいいつ、どこで彼と会ったのかまでは思い出せずにいた。

 この騒動は、休日であることもあってかたくさんの人々の目に留まり、その結果SNS上でも瞬く間に拡散された。その中には振袖小町が戦う姿を撮影した画像もタイムラインを流れていた。それを、アニメのポスターが張られた部屋で小柄な少女がPCで追っていた。

「振袖小町の服、かわいいなぁ……。自分で衣装作れるかな? ……あれ、これってうちの近所じゃ……?」

 同じころ、商店街で間一髪ネガボットの襲撃を免れた野菜を買っていた少女は、「土屋」と書かれた表札のある家に帰宅しサッカーのグッズであふれた自室で買い物袋の中にあった輝く宝石のような物体をあらゆる角度から見ていた。

「これ、八百屋のおじさんがおまけって言ってくれたけど、なんの石だろ? でも、きれいだし、お守りにしよっと」

「ディナータイムよ、カモン」

「はーい」

 夕食の時間となり、外国人の母親から呼ばれた少女は机に宝石のような物体を置いてから部屋を出てゆっくりと階段を下り、ダイニングへ向かう。部屋の扉が閉まった途端、その物体はうっすらとだが再び黄色く輝きだした。

あおいに意外ともいえない弱点が。だってリスペクト先の元祖青い知性派バトルヒロインのオマージュですから。

どうやらちょこちょこ出てた二人の女の子にも動きが……!?

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