第弐拾幕の拾伍
Dianthus from.JPNの同窓会、何かが起こる。
「あれ、そういえばみんなって今何してるんだっけ?」
ひなたの問いに、それぞれが回答する。一番槍となったのは、身体能力を武器にライブでもバク転などの派手なパフォーマンスをしていた元メンバーの新橋杏夏だった。
「私は他のユニットのオーディション番組の企画があったから今はそれに挑戦してる。弱肉強食なのはここでも同じで、可愛い子いっぱいいるから大変だけどね」
続いて、セクシーさが持ち味だった越前紫苑がゆっくりとワインを口にしながら近況報告する。
「私と夕香里、それと沙羅は3人で同じ事務所にお世話になってる。解散と一緒に事務所はつぶれたけど、諦めたくなかったから」
「うん、あたしだって負けてらんないからね」
あざとい小悪魔系で鳴らしていた坂上夕香里が一言付け加える。
「かすみんは? 芸能界は引退したんだよね?」
最年少メンバーだった綾瀬沙羅からかすみんと呼ばれたのはロリータファッションに身を包んだ元メンバーの関香澄で、サブカル電波系のオタクキャラだった。かすみんというのはユニットとしてのニックネームでもあった。
「そうそう。アイドルも楽しかったけど今はお休みして、高校で漫研に入ってる。卒業したら進学する予定だけど、それより楽しみなのは……今度コミケにサークルで出ることー♪」
ひなたは楽しそうに語る彼女を淋しげに見つめる。それに気づく者がいない中、皐月の番になる。
「私も香澄と同じで引退したけど、就活もなかなか強敵で、正社員にはなれなくてね……。蘭は配信やってるんだっけ? チャンネル登録してあるよ」
苦笑いして語る皐月の出した雰囲気をすぐさま蘭がフォローしてかき消す。
「今度みんなもゲスト出演で配信においでよ。私は今フリーだけど、それはそれで楽しいよ」
「もちろん!」
楽しかったあの頃のように和気藹々とした空気が広がっていく中、一人蚊帳の外になっていくひなた。彼女は葛藤を振り払い、口を開いた。
「ねぇ……これ見て」
ひなたがスマホの画面を7人に見せる。そこには、後光の差した一人の女性と、それに似つかわしくないサイケデリックな背景の画像であった。それを見た7人は意識が遠のいていき、目が虚ろになる。そして彼女たちは立ち上がって左胸に手を当て、シュプレヒコールを唱え始める。
「「「「「「「全ては、姫のために……! 全ては、姫のために……!」」」」」」」
「(みんな……本当にごめん……)」
止まることを知らない響き渡る無機質な掛け声の中、後戻りのできなくなったひなたは一人涙を流していた。
突然の催眠アプリみたいな展開、彼女たちはどうなってしまったのか!?




