領地――ソンナ村
第2話 領地――ソンナ村
ヤマタニは妻たちを連れ、初めての領地へと向かっていた。
「どんな村なんだろうね。」
三人はそれぞれに理想の村を思い描く。豊かで穏やかで、笑顔に満ちた場所。
だが――
「到着しました。」
馬車を降りた瞬間、その幻想は打ち砕かれた。
鼻を突く異臭。
「……なんか臭うわね。」
「堆肥だけじゃないわ、これ……。」
視界に広がるのは、活気のない村。崩れた家、やせ細った畑、疲れ切った人々。
理想とは真逆の現実だった。
「……これは、ひどいな。」
村長から事情を聞き、ヤマタニは静かに息を吐く。
「前の領主様は、口では“増産しろ”と命じるばかりで……開墾費用も治水費用も、一切出してはくれませんでした。」
「それで収穫が増えなければ、村民の怠慢だと……増税まで。」
震える声。
ヤマタニは一瞬だけ目を伏せ――そして、はっきりと言い切った。
「そんなやり方で、村が回るわけがない。」
顔を上げる。
「責任を現場に押し付けただけだ。経営ですらない。」
村長が息を呑む。
その言葉は、この村で誰も口にできなかった“真実”だった。
「安心しろ。」
ヤマタニは静かに告げる。
「ここは、俺が立て直す。」
そして、間を置かずに続けた。
「この地に工場を作る。」
農業に頼らない、新たな生き方。
村を根本から変える一手。
「全員、仕事を与える。食わせてやる。」
その一言に、村長の目が大きく見開かれた。
馬車へ戻りながら、ヤマタニはすでに次の一手を思考していた。
この村は変わる――
いや、変えてみせる。
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何度も、何度も修正した導入版です。
だんだん短くなってしまいましたが、お楽しみ下されば幸いです。




