秘密の城
ほぼAIに書いてもらっています。何ができるのか実験中です。
採掘小惑星ボンド・ロックの監視AIも、あくどい宇宙企業の役員たちも、この空間の存在を departure(出発)のその瞬間まで知ることはないだろう。
企業の割り当てた四畳半の薄暗い個室。その壁に、レーザートーチでくり抜かれた細い隙間がある。ジャンクパーツを組み合わせて作ったホログラム投影装置が精巧な「ただの壁」を映し出すその奥へと一歩踏み込めば、そこには外の喧騒が嘘のような、静謐で贅沢な空間が広がっていた。
「ウインド・キャビティ」――乱開発の果てに企業の記録から完全に脱落した、巨大な排気ダクトの交差点。その空洞の中に、僕たちのセーフハウス、文字通りの『秘密の城』はある。
「フィクス様、おかえりなさいませ。ちょうど良い温度で珈琲が淹れ上がっております」
出迎えてくれたのは、凛としたメイド姿のアリタだ。かつてボンド・ロックの最下層、ジャンクヤードの冷たい底に半ば埋もれていた約100年前のアンドロイドの残骸。それが今では、僕の右腕として、この隠れ家で完璧な給仕を行っている。彼女が磨き上げられた磁器のカップをそっとテーブルに置くと、ボンド・ロックの粗悪な合成シロップの臭いとは無縁の、深く豊かな香りが鼻腔をくすぐった。
「ありがとう、アリタ。いつもながら見事な手際だ」
僕が腰を下ろしたのは、地球本国の最高級ネットストアから取り寄せた、シルク製の低反発ソファだ。身体を包み込むような極上の座り心地に、思わずため息が漏れる。
このセーフハウスに流れる空気も水も、すべては企業の採掘ドームを走る配管から密造バイパスで引き込んだものだ。彼らが労働者から容赦なく天引きする生命維持インフラを、僕たちは完全に無料で、潤沢に使いこなしている。さらに、過去の図面ミスで放置されていた高密度・気圧輸送主管。ジェミニがそのシステムに介入したことで、この部屋には地球直結のデリバリー・ラインが確立されていた。
『ふふん、私の演算能力を侮らないでよね、フィクス。あの無能な企業のシステムなんて、私の前では剥き出しの回路も同然なんだから』
頭の中に直接響いたのは、左手首のバングルに擬態している相棒、ジェミニの小生意気で、けれど美しく澄んだ声だった。僕の脳裏には、彼女が好んで形作る、誇らしげに胸を張る女神のホログラムがはっきりと浮かぶ。彼女がデリバリーの制御を握っているおかげで、ここにはステーキ肉や冷えたプレミアムモルツなど、小惑星帯の労働者が一生拝めないような最高級の物資が、無税でいくらでも運ばれてくる。
「ああ、頼りにしてるよジェミニ。君たちのおかげで、次の転生先を決めるまでの引きこもり生活は最高に快適だ」
珈琲を一口すする。酸味と苦味のバランスが絶妙な液体が、喉を優しく潤していく。
壁際に目を向けると、そこには僕のお気に入りの物語たちが整然と並んでいた。与えられた過酷な環境から、自らの手で確かな生活を築き上げていく泥臭くも愛おしい軌跡。これからジェミニが提案してくれるであろう新しい世界に思いを馳せながら、僕は最高級の珈琲の香りに満ちた、僕たちだけの秘密の城で、贅沢な停滞の時間を心ゆくまで楽しんでいた。




