優しい触れ合い
「撫でても…いいかしら」
「う、うん、是非」
霊美ちゃんの細い指が、髪の上から頭に触れる。
「よしよし」
霊美ちゃんが手を動かし、
髪がその動きに沿って揺れ、
それを肌で感じ取る。
その間に、横に揺れる手首の奥の
霊美ちゃんの微笑みを見る。
この行為よりももっと凄いことも
してきたはずなのに、
心の充足感は軽く凌駕しているように感じる。
きっと緊張や卑猥な想像がないから、
より充足感が強調されているのだろう。
「かつての私にはなかった、貴方のその向上心、
とっても偉いと思うわ」
「ありがとう」
「努力していて辛いことはないかしら?」
「んー…慣れてるからあんまり
そういうのは感じないかも」
「そう、強いわね。
辛くなったらいつでも言ってちょうだいね」
「うん、そうする」
霊美ちゃんの慈愛に満ちた目と合って、
しばらく見つめ合おうとしたけど
たまらず目を逸らしてしまう。
「ね、ねえ、私も撫でさせて」
「ええ、ちょうどお願いしようと思っていたの」
「えへへ」
霊美ちゃんの手が名残惜しくも下ろされ、
その手は私の手を掴む。
そして手は躊躇なく彼女の頭へと運ばれた。
艶やかな髪は手の動きを妨げることなく、
頭の上の往復運動を加速させる。
「んふ、中々いい気分ね」
「でしょ」
気持ちよさそうにしている霊美ちゃんを
見ていると、こちらの気分もよくなってくる。
あの慈愛に満ちた目の正体はこれだったか。
「ん」
霊美ちゃんが頭を胸に預けてきた。
その信頼に応えるために、
左手で霊美ちゃんの肩を待って支え、
右手で霊美ちゃんの頭を撫でる。
霊美ちゃんの鼻から出る息が
服をじんわりと温めて、胸が高鳴ってくる。
『ガッコン』
突然ゴンドラが揺れ、減速し始める。
「あちゃ」
シンデレラタイムのようだ。
急いで衣服の乱れを直し、降りる準備をする。
ゴンドラが地上スレスレになったところで降り、
中に入るカップルとすれ違う。
そのまま手を繋ぎながら、
何も示し合わせずまっすぐ歩く。
「…続きは明日、だよね」
「ええ、楽しみね」
「…うん」
明日起こることへの想像と、
手汗が止まらなくなっていく。




