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14 敵将討ち取ったり!

 いける、楽勝だ。このままいってみよう。


「フッ、やっぱり使え慣れない槍はダメだな。ここは俺らしく、弓矢で勝負するか」


 ところがヌクリは、2本の木の短い棒と化した槍を地面に捨て、先ほど打ち捨てた自前の弓矢を取り出す。


「やっぱり俺は、こっちのほうが自分の身に合うものでな」


「そうか。だったらそれでかかってこい」


「後悔するなよ」


 するとヌクリは、今までより数段速く矢を打ち出してきた。

 まるで連弩砲だ。矢と矢の隙間に、人1人が入る余裕もない。

 俺はスレスレで避けるも、そのうち1本がたまたま腰に命中する。


「ぐほっ……」


「へっ、効いたか」 


「効かん!」


「ぬおっ!」


――――――――――――――――――――――――


 名前 不破武親

 HP 5691/9683


――――――――――――――――――――――――


 しかし俺は痛みを感じず、すぐさま槍をヌクリのほうへ横に振る。

 ヌクリは避けるも、避けきれず腹から「一」の文字を描いて出血する。


「くっ、やるじゃねえか……ぐはっ!」


 すかさず俺は腰の矢を強引に抜き、そのままそれをヌクリの右目に刺す。

 予想外の攻撃の一手に、相手は頭がこんがらがっている様子。


「気を緩めるのは、早いぞ」


「なっ……」


 さらに、痛みにあえぐヌクリの背中を、俺は槍の切っ先で一突き。相手は、体を手で絞られたかのような叫び声を出す。


「グオオオオオッ!」


――――――――――――――――――――――――――


 名前 ヌクリ

 HP 1020/5000


――――――――――――――――――――――――――


「ハァ、ハァ……」


 右目からなんとか矢をえぐり取るヌクリ。しかし、矢に刺さった右目はもうかえってこない。


「ケッ、なかなかやるじゃねえか……」


 彼の体は、汗と真っ赤な血でぐっしょり濡れていた。息1つするのも大変な状態。

 ここが好機。一気に勝負をつけるぞ。


「てやあああっ!」


「くっ、くそがああっ!」


 ところが最後の最後でヌクリが力を振り絞って、俺の一撃を弓で止める。


「まだ、死にたくないもんでねえ……」


 しかし確実に相手の動きは鈍っている。

 おそらく、防御するのが精一杯なのだろう、次第に俺はヌクリを後方に力押し。

 そして弓の強度の限界か、槍と同様こちらも真っ二つに折れる。


「なっ……」


「もう限界だね」


「はっ……」


 俺はその一瞬を見逃さず、槍を大きく振るう。

 それにさっきと違い、ヌクリが自分自身を守る武器はもう無い。


「お、おのれええええ!」


「覚悟っ!」


 そして俺の一閃が、ヌクリの体を叩き込み……相手は力を失い、ドサッと倒れた。


「フッ……お前の……勝ちだ」


――――――――――――――――――――――


 名前 ヌクリ 

 HP 0/5000


――――――――――――――――――――――


 初の武将同士の一戦。

 口からも大量出血しながらヌクリは白旗を揚げ、俺は閧かちどきを揚げたのだった。



 ◆◆◆◆◆



 ヌクリは即死ではなく、まだ一応息はあるものの、死相が顔中に浮かんでいる。

 だが今後の戦のためにも、情報は1つでも多く入手したい。死ぬ前に貰っておこう。


「1つ訊きたい。今回の武装蜂起の首謀者は誰だ?」


「フッ、この身じゃあ……抵抗もクソも……ねえから教えてやる……。今回の首謀者は……」


「首謀者は?」


 呼吸困難になりながらも、彼は最後の力で返答した。


「俺の……兄貴、コタンシヤムだ……」


「そうか……」


「フッ……とっとと首、捕れよ……」


「ああ、わかった」


 俺はヌクリの要求に応え、彼の首を刀で斬る。

 兵士どうしの戦いではあまり感じなかったが、改めて人の命を奪うとは、気分の良いものとは言えない。

 ゲームのモンスターみたく、倒したら自動的に消えてくれるんだったら、ここまで思うことも無いんだろうけど。


 しかしこれは、武士としては名誉あること。味方を鼓舞し、敵の戦意を削ぐために俺は叫んだ。


「敵将、討ち取ったりいいいぃぃぃっ!!」

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