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薬仙の帰還  作者: 夏目葵
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第一話 帰還した薬仙

ブロマンス小説になります。

キス、匂わせ程度の表現を書くつもりです。

直接的な表現はありません。ご注意下さい。

『起きろ』


声がした。


ひどく冷たい声だった。


目を開けるとそこは、見慣れない天井だった。


いや、ある意味見慣れている。


「・・・仙界」


掠れた声が出る。


最後に覚えているのは、トラックのヘッドライト。


衝撃と浮遊感。


後は、何も覚えていない。


明らかに、この部屋は日本の病院ではない。


墨で描いたような色の梁。


立ち込める香木の香り。


「やれやれ」


非常に嫌な予感がする。


私は、額をおさえた。


頭がいたい。


前世、仙修界に生まれて。


そして、死んだ。


日本で生まれ変わって、平穏無事に、シェフとして過ごしていた。


まさか、戻ってきたと言うのか?


よろよろと、立ち上がり、近くの机にあった曇った鏡を覗く。



長い黒髪に、猫のような鋭い瞳。薄い唇。


いつも笑っているようなその顔は、


美形では、あるがやや軽薄そうで、何を考えているのか分からない様に見える。


柳寒舟りゅうかんしゅう?」



忘れもしない、前世で自分を殺した弟子の顔だ。



なぜ、こうなった?


しばらく、私は現実逃避を試みた。


お茶を入れ、飲み。


窓の外を眺め。


再びお茶を飲み。


それでも、現実は変わってくれない。


私は、なんらかの理由で、自分を殺した弟子、

柳寒舟に乗り移ってしまった。


「なるほどなぁ。」


小説では、よくある展開。


でも、もうこの世界には、戻って来たくなかった。


弟子の魂は、何処にいってしまったのか、いつまでこの身体にいるのか、分からないことは、たくさんある。

どうやら私は、弟子の身体に憑依したようだ。


「幸せに暮らしていたのになぁ。日本で、余生を送りたかった。」


天は、なんて意地悪なのだろう。


父は、母は、妹は、私がいなくなり泣いているだろうか?


ボ―っと、感傷に浸っている時だった。


扉が勢いよく開く。



「柳長老」


若い弟子が、慌てた様子で駆け込んでくる。


「盟主様が、お呼びです。」


盟主。


その言葉に、身体に残った柳寒舟の記憶がよみがえった。


今の私は、正派の長老。


かつての私がいた立場と同じ。



「・・・そうなるか」


私は、立ち上がった。


口元が自然と緩む。


今度こそ、過去の私と同じようにはならない。


もう、言いなりになっていた私とは違う。



日本で、学んだ事がある。


時には、息抜きも必要。


プライベートも、重要だ。


「今度は、少しくらい適当にやるか。」


弟子が目を丸くする。


私は笑った。


心の底から。




なんとか、最後までかきたいです。

拙い文章ですが、よろしくお願いします。

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