表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 付録設定集 妄想図鑑が世界を変える?〜異世界トランザニヤ物語〜 #イセトラ   作者: 楓 隆寿


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/9

アカリ 〜義理の兄との出会い〜




 「朱里アカリ姫様、奥方様がお呼びでございます」


 障子をスーと開け、皺のある指を廊下につけ跪くーー

 加絵カエは深く頭を下げた。

 

 「母上様から?」


 私は久しぶりに顔が見れると、思わず笑みが溢れた。

 顔を上げた加絵カエは、二重に重なる襟元を正しながら、

 黒い結髪の先を縁側に流れた風に靡かせた。

 

 灯篭の傍から流れ落ちる水を受ける鹿おどしが、

 リズム良くーーカッコーンとした音を響かせる中、


 ホーーホケキョ!


 白砂利の庭園に咲く、梅の木に留まる鶯はその音にも怯まずに鳴いた。


 「樹里ジュリ姫様は、先程目が覚められたようで、

 鳴き声を上げながら乳母に抱えられて、奥方様の元へ参られたようです。

 ささ、姫様もお早くご準備くださいませ」


 そう言って加絵カエは、顔に浮かぶ眉間に深く皺を寄せた。


 「わかったわ。着替……」

 「誰かおらぬか! 姫様のお召し物をお持ちしなさい!」

 

 私の言葉が終わらないうちに、侍女頭の指揮を振るう加絵カエ


 私は寝床の布団を跳ね除けながら、鏡台の前に立った。

 桃色の髪は散らかるような寝癖、顎には涎の後、

 瞼がくっつきそうな目脂に我ながらうんざりした。


 庭の白砂利が橙に輝き始めだし、風は穏やかな温かみを纏う頃だった。


 加絵が鳴らす鋭い柏手かしわでに弾かれたように、

 三人の若い侍女が盆を抱えて滑り込んできた。


「まあ、姫様! このようなお姿で……」


 嘆息を漏らす侍女たちを尻目に、

 加絵は自ら濡れ拭いを取り、私の顎の汚れを容赦ない手つきで拭い去る。


「樹里様は、あのような幼さで既にお覚悟を決めたようなお顔でした。

 朱里様、今日ばかりは『寝ぼけておりました』では済みませぬぞ」


 鏡の中で、私の桃色の髪が乱暴に梳きあげられていく。

 その背後で加絵の皺の深い指先が、わずかに震えていた。


 侍女たちが差し出したのは、いつもの柔らかな小袖ではなく、

 重厚な刺繍が施された十重の正装だった。


「加絵、大袈裟だわ。母上様に会うだけなのに……」


 私の抗議は、耳元で結い上げられる髪の音にかき消された。

 鏡の中に映る自分は、見る間に”だらしない少女”から、

 他人のような”美しい着せ替え人形”へと様変わりしていく。


 準備が整い、立ち上がった私の前で、加絵はもう一度深く頭を下げた。


「……お行きください。 このお家のーー『巫代家』の在り方自体が変わるかもしれませぬ」


 その言葉の真意を問う暇もなく、私は促されるままーー

 橙色の光が差し込む、長い廊下へと足を踏み出した。


 挿絵(By みてみん)


 重い衣を翻し、一歩踏み出す度に、私の影が板張りの廊下に長く伸びる。

 夕映えの光はあまりに赤く、足元の白砂利をまるで血の海のように染め上げていた。


 『巫代家の在り方が変わかもしれなせぬ』


  加絵の言葉が、心臓の鼓動に合わせて頭の中で反芻される。


 曲がり角を過ぎた時、ふと、甘く痺れるような香の匂いが鼻を突いた。

 それは、誰かが亡くなった時や、年に一度の重大な神事の際にしか焚かれない『忘形香ぼうぎょうこう』の香りだった。


 廊下の突き当たり、母上様の居室の前には、見たこともない紋章のついた長持ながもちが置かれていた。


「ヨシヨシ、良い子だがら泣かないんだぞッ!お兄ちゃんが守ってやる!」


 私はその声に思わず足を止めた。


  部屋の中から妹の樹里の火がつくような泣き声が、その声でピタリと止んだ。それをあしらう若い男の優しい声色が聞こえてきたからだ。


 お兄ちゃん……?


 母上様の厳しい叱責でも、乳母の熱心なあやし文句でも泣き止まなかった樹里が、その一言で呼吸を整えている。


 私は正装の重みを忘れ、吸い寄せられるように襖の前へ歩み寄った。

 忘形香の煙が、襖の隙間から細く、生き物のように廊下へ這い出してくる。


「……朱里ですか。入りなさい」


 部屋の中から、母上様の静かだがーー冷徹な声が響いた。

  私は唾を飲み込み、震える指先を襖にかけた。


 スーと障子を開けた先。

  西日に照らされた部屋の真ん中で、樹里を膝に抱き、

 逆光の中で微笑む一人の青年と目が合った。


 その青年が纏っているのは、巫代家の者だけが許されるはずの、純白の狩衣かりぎぬだった。


 「君が朱里ちゃんかい? 今日からーーオレがお兄ちゃんになる者だ。はっはははは!」


 そう言って優しそうな青い瞳を細めるーー

 お兄ちゃん、後の義理の兄『ナガラ』との、

 それが運命の出会いの瞬間だった。







─────────




【アカリ・ミシロ(朱里・巫代)】  

  

 二つ名〝桃髪の白の疾風〟

 『リリゴパノア』のサブリーダー。

 『舞刀術師』兼『治癒魔導術士』。


 挿絵(By みてみん)




 パーティー『リリゴパノア』の影のリーダー。


 ゴクトー(いわ)くデス姉。


 『ヤマト』出身で巫代家の長女。  現二十六歳。


  

 武者修行の旅から帰って来ない義理の兄ナガラを探す為に、

 妹のジュリと一緒に『ヤマト』の国を出て冒険者になった。


 ビヨンド村に新らしくできたダンジョンの話を聞き、

 ギルド支部で師匠を探すゴクトーと運命の出会いを果たす。


 ゴクトーとともに冒険者パーティー『リリゴパノア』の仲間とダンジョンをクリアして『S級』冒険者になる。


  『七星の武器』、【桜刀・黄金桜千貫】を持つ。


 【巫代(ミシロ)流舞刀術】や【神代(カミシロ)魔法】も使う。


 【薬の生成】、【治癒魔法】を最も得意とし、いずれ『医薬師』になろうと思っている。


 聡明でリーダー気質だがあっけらかんな性格。

 『ボイン』でチャーミングな美女。 


 一人称は私。

 白色を好むが下着は、派手な色を好み白はあまり持ってはいない。



 挿絵(By みてみん)


 

 いつもやり過ぎるぐらいにゴクトーを口説く。



「パッカーーンですわ」


 必殺のーー【ダイ】の呪文(笑)と女の武器を使って常にアピールしいてる。








 お読みいただき、ありがとうございます。


 気に入っていただけたらブックマークをお願いします。

 リアクション、感想やレビューもお待ちしております。

【☆☆☆☆☆】に★をつけていただけると、モチベも上がります。


 引き続きよろしくお願いします。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アカリちゃんとナガラさんの出会いが劇的です。 本編と合わせて読むと…さらに深みがましますね^ ^
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ