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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
8月
93/308

神様(?)の日常 トアル少年ト少女

作「暫く楽雪さんが主人公です」

万「え?」



FPSの大会の決勝3日前。

ボクは東亰(とうけい)にやって来ていた。


途中で道を間違えて静岡の方に行きかけたけどまあ着いたし大丈夫大丈夫!


持って来ていた荷物はホテルに置いた。

さあ東亰観光だ!という所で、ボクは肩を叩かれた。


「Excuse me.」


振り返ると、そこには金髪碧眼の明らかに外国人、という風貌な少年が1人。


「Are there any sushi shops nearby here?」

「えに?」


え、えに…?絵に?

え、何言ってんのか全然分かんない。

どっどどどどどうしよう!?


ボクの英語力は0と言っても過言じゃ無いんだよー!

何でボクに話しかけるのさ!

ボクニホンゴシカワカラナイ。


どうしようもなくてあたふたしているとその少年は「Oh!」と、何かを思い出したかのように口を開けた。


「Just a moment・・・.I got it!」

「じゃす…?」


少年は急に鞄をガサゴソ探り出したかと思うと、何かを掴んで取り出した。


取り出した()()は、楕円形で近未来的な形状(ふぉるむ)をしていた。

手に収まるくらいの大きさの()()に少年が話しかけると、画面と思われる部分に引かれていた線が声に反応して曲がりくねった。


『どうだぜ?これで分かるかだぜ?』

「おー」


なるほど、翻訳機かあ!

でもボクその形状の翻訳機は見たこと無いよ。

海外製かな?


『俺様は日本の寿司が食べたいんだぜ!何処にあるのか教えて欲しいんだぜ!』

「寿司?」


寿司、寿司ねえ…。


「日本の寿司屋には二つの形式があるよ。」

『二つ!?二つあるんだぜ!?』

「うん。一つは美味しいけど値段が高い方、もう一つは少し味は落ちるけど安くて寿司がくるくる回る方」

『くるくる回る!?面白そうなんだぜ!俺様はそっちに行きたいんだぜ!!』


回転寿司の方だとすると…。

目を凝らして遠くを見てみる。

…あった。回転寿司の看板だ。


「あっちだね。案内するよ」

『本当なんだぜ!?ありがとうなんだぜ!!』


東亰の雑踏の中に、少年と少女の影が二つ。


☆☆☆


「着いたよ」

『おお!ここが寿司屋なんだぜ!?』


歩く事約10分。

ボク達は某有名ちぇーん?店に着いた。


ボクだって目標物が見えていれば道を間違う事なんて無いさ!

本当だよ?


『ありがとうなんだぜ!良かったら一緒に食うかだぜ?お礼に奢るんだぜ!』

「本当!?是非一緒にさせて貰うよ!」


少年は知らない。少女が底なしの胃袋を持つことを。

少女は知らない。『遠慮』という二文字を。


☆☆☆


「ここに紙があるでしょ?ここに名前を書いて、座りたい方に丸をつけるんだよ」

『分かったんだぜ!ええと…これはなんて書いてあるんだぜ?』


少年が指差したのは名前の横の欄、即ち何処に座るかを聞くための欄だった。


「それは『かうんたー席』。皆んなで横一列に並ぶんだ。右のは『てーぶる席』。机を囲って寿司を食べるんだよ。一番右のは『どちらでも』。『かうんたー席』でも『てーぶる席』でもどちらでも良いよって場合に丸をつけるんだ」

『OK!俺様はテーブル席が良いんだぜ!…丸っと。これで良いかだぜ?』

「うん。それで暫く待ってれば店員が呼びに来るから」


ぺんを置いて椅子に座る。

すると、少年が話しかけて来た。


『そういえば君の名前はなんて言うんだぜ?俺様はアンドレアスなんだぜ!気軽にアンディーと呼んで欲しいんだぜ!』


ふむふむ?外国では苗字だけを言うのかな?

ならボクもそれに合わせるべきかな?


「ボクの名前は鬼神だよー」

『オニガミ…宜しくなんだぜ!』


そう言ってあんでぃーは手を差し出す。

ええと?


『日本には握手の文化は無いんだぜ?』

「あ、握手か」


お互いに差し出した手を握り、振る。

それと同時にボク達を呼ぶ声が聞こえた。


「521番でお待ちの…ア?アンドレアス・H・バグショット?様ー」

『はーいなんだぜー!』


ボク達は店員に連れられて席に着いた。


あんでぃーに注文の仕方や箸の持ち方を教えたりする事数分。

ボクの目の前には皿の林が出来ていた。

ちょっと机の空きが足りないかな。


『オニガミ…。よく食うなだぜ』

「そう言う君こそよく食べるねえ、感心したよ」

『オニガミには言われたく無いんだぜ!』


店員から客まで色々な人がボク達の机を見ている。

何か変な事でも有るのかな?


そこでふと思い出したかのようにあんでぃーが口を開く。


『あ、オニガミ。オニガミってフルネームなんだぜ?』

「ふるねーむ?」

『苗字と名前を足したものだぜ』

「ああ、ボクの名前は鬼神だけじゃないよー。鬼神は苗字さ」

『やっぱりなんだぜ。短すぎると思ったんだぜ』


あんでぃーは納得したかのようにしきりにうんうんと頷いている。


『さ、フルネームを教えて欲しいんだぜ。俺様のフルネームはアンドレアス・H・バグショットなんだぜ!』


あんどれあす・えいち・ばぐしょっと?

何処かで聞いた様な気が…。気のせいか。


「ボクのふるねーむは鬼神 楽雪だよ」

『はぁ!!!???』

「?」


あり得ないものを見るかの様な目でボクを見るあんでぃー。

何?一体何なのさ?


ワナワナと震える手でボクを指差したあんでぃーはボクに尋ねる。


『もしかして…『死神』のRasetu!?』

「ええと…あるゲームではそう呼ばれているね」

『なぁ!?』


あまりの驚きにあんでぃーの持っていた箸がカランカランと床に落ちた。


『もしかしたら…『運命』ってのは本当にあるのかもしれないんだぜ…』

「急に何を言い出すのさ」


よく分からない人だなぁ。あんでぃーは。


ボクがあんでぃーが驚いた理由を知るのは3日後…FPSの大会の決勝の時である。

アンドレアス君が持っていた翻訳機は掘り出し物です。日本で買いました。

持っているだけで自分の発言は日本語になり、耳に入って来る言葉は英語になるというスグレモノ。

尚、彼は翻訳機の後ろに『Tiegami Kokoro』と書かれているのを知らない。

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