表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
7月
67/308

足藁町の鬼姫伝説 陽



「やあ!ボク楽雪!悪い鬼じゃ無いよ!」

「うわぁあああなんか出たぁあああ!?」

「なんかとは何さ!失礼しちゃうよ!まったく!」


目の前の鬼(自称)はまるで女の子の様だった。

…額にある角が無ければな。


姫カットをそのままツインテールにした橙色の髪。蝶の髪飾りが結び目に付いている。

同じく橙色の目は言葉の元気さとは裏腹に死んでいる。

顔は真照に負けず劣らずの美少女だ。

背は中二くらいか?

話す時すらも常にニコニコとしている。

が、瞬き一つせず、口は話していると言うのに1ミリも動いていない。ニコニコした口元のままだ。

服は大正の女学生みたいな服だ。黒地の着物の袖に蝶柄が染めてある。

耳は尖っているな。少なくとも人間ではなさそうだ。


「きみが幸神 万かい?」

「あ、ああ…そうだが?」


楽雪は手元のメモを確認しながら尋ねる。

何だろう。凄く嫌な予感。


そして、大体そういう嫌な予感と言うのは当たるものである。


「死んで♡」

「断る!!」


何なんだコイツ!いきなり俺の命を欲しがるとか…。


「えぇー。ケチだなぁ。魂の一つや二つくらいおくれよ」

「一つしかねーよ!そんな気軽にほいほいあげるもんじゃ無いし…」

「……。」


こころが楽雪をじっと見つめる。

それに気づいた楽雪はこころを見つめ返した。


「おや、きみは…。うーん?なんだかなー?思い出せないや」

「……。」


興味を失ったのか楽雪はプイと目を逸らした。

そして俺の方を向く。

こっち見んなし。


「ボクとしてはどうでもいいんだけど…。雇い主の頼みだ。悪く思わないでね?」


ジャキッ


楽雪はそう言うと同時に何処からともなく取り出した機関銃を構える。


銃器か…。生太刀では防げないだろう。

頼みの綱は逃げ足の速さだけだ。


「万、逃げなさい!月宵、神力で万を隠してあげて!」

「真照ちゃんの頼みだけれどそれは嫌だ!」


鏡を盾の様に構えた真照がそう言うが、夜神はそれを拒否する。


「あはゝゝゝ(ははは)、仲間割れかい?面白いね」

「馬鹿言うんじゃ無いわよ!」


真照が鏡を楽雪に向けてビームを放つ。

しかし、それはフワリと避けられてしまった。

風が袖を揺らした。


「んん…その鏡はあんまり好きじゃ無いなぁ。見てるとムカムカしてくるよ」


楽雪が独り言を言う様に呟く。

神器はお化けに対して有効だからな。

本能的な恐怖でも感じるのだろうか。


「だから、壊しちゃっても良いよね」

「へ?」


楽雪が引き金を引く。

銃弾が放たれるが、それは実弾と言うよりも弾幕と言った方が近いだろうか。

橙色の光の弾が辺りを夕焼けの様に橙色に染めた。


「きっ…ぁああああああああああああぁッッッ!!!???」


真照が痛々しい叫び声を上げる。

顔には驚きと恐怖、苦痛が浮かんでいる。

体はバランスを崩し、地に倒れ伏した。

苦しそうに胸の辺りを掴んでいる。


真照の手に握られていた鏡は粉々に砕け散っていた。

鏡に付いていた赤い紐リボンだけが真照の手に残っている。


そして、真照の胸の辺りから白い光が放たれている。

その光は壊れた鏡とつながっていた。


「な…」

「ついでに、ほい」


真照が急に苦しみ出した事に呆けてしまった。

しかし、これは良く無い事だった。

生太刀は、楽雪の機関銃にとって動かない的でしかない状況な訳だから。


ズドドドドッ


機関銃の猛攻を受けて生太刀にヒビが入り、持ち手を残して砕け散った。

途端、鋭い痛みが胸の辺りを襲った。


「ぁ"あ"あ”あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ"ッ"!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!!


考えがまとまらない。痛さに何が起こっているのか理解が出来ない。


骨折を何度しても、腹わたが飛び散る様な事態になっても、火で炙られる事があっても、空気が吸えなくても、串刺しにされる事があっても、拷問を受けても、大事なアソコが蹴られる事があっても、この痛みに勝る事は無いだろう。


俺の胸の辺りから青い光が放たれていて、壊れた生太刀につながっていた。


いつの間にか俺は胸を抑えて地にへばりついていた。

そこにガシャリと銃が構えられる音がする。

俺の額に銃が向けられた。

距離は避けられない程に近い。


「お兄ちゃんっ!」

「真照ちゃんっ!」


二人の驚きの声が響く。


「ちぇっくめいとだね、幸神 万。じゃあこのまま地獄へご招待〜…ん?」

『オッペケペー、オッペケペー、オッペケペーのペッポッポ』

「何だい?こんな時に着信なんて…。はい、もしもしー。…うん。うん。…え、違う、そうじゃ無い?えー?…うん、監視?うん。へーい。悪かった悪かった、じゃーねー」


楽雪は電話を切る。

くるりと180度方向転換し、顔だけこちらに向ける。


「ボク急用できちゃったから帰るねー。またねー、ばいばーい」


そしてすたすた何処かに行ってしまった。


…助かった、のか?

気が抜けると同時に意識は暗転した。

(╹◡╹)←ずっとこんな顔をしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ