2人はオセロ〜借り物競争〜
ぐぅうううう…。
「いやー!腹減ったな!」
「そうだな」
時刻は正午。太陽がてっぺんに来る時間。
「でも、この競技が終わったら昼飯だ」
午前の部最終競技、借り物競争が行われようとしていた。
「ええと…この競技に出ているのは…月宵ね」
真照がプリントを確認しながら呟く。俺達の視線の先には黒髪の人物ーー夜神がいた。
さっきぶっ倒れてたが、今は回復している。
あ、こちらに気づいた。手を振っている。まあ、真照に向かって手を振ってるんだろうが。
『さて、お次は午前の部最終競技っ!借り物競争のお時間ですっ!』
アナウンスが響くと同時に校庭中からわぁあああっと歓声が上がった。
『今回の注目株は1年B組の智将っ!夜神 月宵だっ!』
「「きゃあああっ!月宵様ー!」」
紹介された途端に黄色い声が上がる。確かに夜神はイケメンだからファンクラブがあってもおかしくは無い。性格はアレだけれども。
女子からの声援を受けても平然としている夜神。真照以外全く眼中に無いな。
しかし、それは多くの女に飢えた男共から嫉妬を買う行為だ。
「ちくしょー!俺の好きな子も夜神の野郎に一目惚れしちまった!」
「この世はやっぱり顔なのか!?」
「あぁんまりだぁ!」
悲痛な叫びが響く。そして当の女子達には。
「「きゃあああ!クールでステキー!」」
好意的に受け止められていた。
あれクールに思われているのか!興味を示して無いだけだろ!
相変わらず真照に手を振っている。あ、1人の女子が自分だと勘違いしてしゃしゃり出て来た。
「や、夜神くん、わ、ワタシ?ワタシだよね?」
嬉しそうに夜神に近づく女子A。しかし。
「え、君誰?邪魔だよ、どいて?」
夜神はきょとんとしている。
自分じゃないと知ったショックと勘違いしてしゃしゃり出て来たという恥ずかしさにより、顔を真っ赤にして女子Aは戻って行った。
『えっ、ええとっ、何やらハプニングがあった様ですがっ、借り物競争を始めたいと思いますっ!諸君!!用意は良いかっ!!??』
「「「おおおおおっ!!!」」」
「それでは位置について」
夜神達の前にはテーブルがある。その上には紙がたくさんある。
「よオい」
紙に書いてあるお題を校庭の中にいる誰かから借りるのだ。
パンっ!
空のピストルが空気を出す。夜神達は走り出した。
だが、そこで走っても意味はない。要は紙に書かれたお題次第で足が遅くても1等になれる可能性があるのだ。運である。
夜神はテーブルの上にあった紙を適当に取る。そして中を見た。
それを見た夜神は辺りをキョロキョロ見渡し、こちらに近づいて来た。
近づいた先には真照が。一体どんなお題なんだ?
「真照ちゃん」
「え、な、何かしら?」
「一緒に来てくれないかな?」
夜神のイケメンスマイルが炸裂した。周りの女子はイケメンスマイルを見れた嬉しさ半分と、何故自分じゃないのかという嫉妬半分という感じだ。
「え、ええと…。このお題って、『好きな人』とかか?」
「違うよ」
「え、違うのか?なら何で真照なんだ?」
むしろそれ以外思い浮かばないんだが…。
「このお題はね」
そう言って夜神は紙を広げる。そこには『オセロ』と書かれていた。
「オセロか?ならなんで真照をつれて行こうとしているんだ?」
オセロを探しに行けよ。
「ふっふっふ…。分かってないなあ、幸神くん。黒色の僕と白色の真照ちゃん。2人が合わさればそれはもうオセロなんだ!」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
確かに白と黒でオセロみたいだが!そうじゃ無いだろう!
俺はダメだろうと思いながら夜神につれさられた真照を見送る。
もちろん、結果はダメだった。むしろ何で通れると思ったんだよ。
あいつ絶対頭オカシイ。




