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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
6月
48/308

真照VSこころ〜障害物競走〜



『次は障害物競走の招集です…。出場生徒の方は、招集場まで、お越しください…』

「次はあたしね!頑張ってくるわ!」

「おう」

「おー!頑張れよ!」

「頑張ってね!真照ちゃん!応援してるから!」


九頭龍のテンションが高いのはいつもの事だが、今は夜神のテンションまで高くなっていた。


はっぴを着て、頭には体育祭で身につける奴では無く、『I (love) 真照ちゃん』と書かれた訳のわからないハチマキをしている。手には団扇。その団扇はファンがアイドルに向けて振る様な装飾のついた団扇だ。『真照ちゃんこっち見て』と書いてある。


それを見た真照は頰を引きつらせた。


「月宵、アンタ…。いつの間にそんな物を作ってたのよ?」

「真照ちゃんの為なら僕は何だってするよ!はっぴ作るのは大変だったけれど、全然苦じゃ無いね!」


そう言う夜神の目の下にはクマが。こいつ、徹夜か。何かさっきからテンションが高い様な気がしてたんだよな。


心なしか夜神の目がぐるぐるしている様に見える。


「…月宵、倒れない様に気をつけなさいよ」

「大丈夫大丈夫!僕そんなにヤワじゃないから!そんな事より真照ちゃんに心配されたひゃっほう!」


…本当に大丈夫か?


☆☆☆


『さア始まりました障害物競走のお時間ですっ!』


校庭に放送部の放送が響く。女子の声だ。


『今回の障害物競走は女子の部だっ!』


そこかしこから「うおおおお!」とか、「ヒャッハァアアアアア!」とかの興奮した声が聞こえる。なお、殆ど男である。


『さア選手解説だっ!A組からの出場者はーー『中央高の眠り姫』っ!智神 こころダァアアアアッ!!』

「「「頑張ってー!こころちゃん!」」」


こころの紹介時に騒ぐ全員同じはっぴを着た一団。あー、確か、ファンクラブだとか何だとか。真照にもいる。


こころはぼんやりとした目で辺りを見回し、手を振る。


わぁああああっと歓声が上がった。


『B組からはこの人っ!人助けをする美少女!日神 真照ダァアアアアッ!!』

「「「頑張ってー!真照ちゃん!」」」

「真照ちゃーん!!頑張ってー!!!」


ファンクラブと夜神の声が重なる。『真照が好き』という事だけが通じ合っている個人と団体。


両者の視線が交差すると同時に視線の雷がビリリと流れる。


それから数秒後、お互いがお互いを認め合っているライバルみたいな目をして同時にふっと息を吐き、目を逸らした。


…何この少年漫画みたいなの。


その後は1年の各クラスからの出場者が紹介される形となった。


「位置について。よオい」


空に伸びた銃口がよく響くパァンッという音を鳴らした。


それと同時に走り出す真照達。


まずは…麻袋か。麻袋とは、麻袋に入ってぴょんぴょん跳ねながら次の目的地まで進む障害物の事だ。


早速真照が麻袋に足を突っ込む。そしてそのままぴょんこぴょんこ進んで行く。


「あれ?俺の気の所為か!?あんな風に跳ねるたらこのCMを見た事がある様な気が…!?」

「気の所為じゃ無い。俺にも心当たりがある」


キュー○ーのたらこソースの奴かな。大量のたらこの着ぐるみをきている天使人形がこちらに徐々に近づいてくるのは少しトラウマだ。


ぴょんこぴょんこ跳ねるのは良いが…。真照は胸が同時に揺れていた。


本人は麻袋に一生懸命で全く胸なんて気にしてなかった。


それをこころが横に並んで見ている。…あ。少し悲しそうな目をした。そして、自分の胸を見る。…つるぺただ。当たり前っちゃ当たり前ではある。高校生とはいえ実年齢は中学1年生だ。小学6年とあまり大差ない。


…ま、まあまだこころは小さいから…。これから成長するから…。


麻袋の次はピンポン玉だ。これはバランス力が試されるな。


スプーンの上にピンポン玉を乗っけて、落とさない様に進むのだ。そして、勝つ為にはスピードも必要。


これは特に目立つ様な所は無いな。と、思ったのも束の間。


『おおっとっ!?智神選手っ!何をするつもりだぁーっ!?』


途端に会場が騒めく。こころがスプーンを受け取った直後、なんと、スプーンを握って投擲の姿勢に入ったのだ。


そのままスプーンの上にあったピンポン玉は空の彼方に飛ばされる。


「一体、何をーー」


その時俺は、こころの足が例の赤い靴を履いているのに気づいた。


「バージョン2。」


どうやらこの前の靴の改良番らしい。そのまま靴は地面が抉れる程の威力を出してこころを前に押し進める。


土煙と風が校庭を満たす。前が見えない。こころは一体どうなったんだ?


「あっ!」


誰かが不意に叫ぶ。その視線の先にはーー


こころが、スプーンでピンポン玉をキャッチしていた。


『おおっとっ!これは智神選手っ!上手いですっ!ルールはスプーンからピンポン玉を落とさなければいい、と言うルールっ!地面に落ちず、スプーンの上にまた戻って来たならば、セーフですっ!!』

「「「うおおおおおおっ!!!」」」


歓声が辺りを満たす。そのままこころは走り出した。


その次は網潜り。ルールは網を切らずに通り抜ける事。


これはこころに有利か?小さいから通りやすいだろう。


こころが網に近づく。そして、何かを取り出す。その何かとはーー


「…ドリル?」


一体ドリルなんかで何をするのか。網は切ってはいけないのに。


俺が何するのか考えていたその時、こころはゴーグルを目にかけ、地面にドリルの先端を突き刺した。


ギュルルルと回転し出すドリル。そして穴を作り出した。


作り出した穴にこころは飛び込む。その小さな体は見えなくなってしまった。


『智神選手っ!消えてしまいましたっ!一体どうしたのかっ!?…おやっ!?』


どがん、という音がして網の反対側の地面に穴が開く。


そこからこころがぴょいと出て来た。土で汚れている。


『な、なんとっ!網をくぐらす下に穴を開けるとはっ!?いいんでしょうかこれっ!?』


こころが走り出したその時、真照が網の前にたどり着いた。


そのまま網を潜る真照。…が、引っかかってマグロが網にかかっているみたいな図になってしまった。


「う〜…。動きにくいわね。なら!」


真照は渾身の力で地面に穴を開けた。


『ええええええっ!?』


開けた穴はまるで隕石が落ちて来たかのようなクレーターとなった。


真照はそのままクレーターを登り、クリア。


先に走り出したこころがたどり着いたのは、ハードルだった。ハードルは、低ければ飛び越えて、高ければ屈んで通り抜けるという障害物だ。


こころはそれを見て、ごそごそと何かを取り出した。それは…


「○ックライト〜。」

「怒られてしまえ!」


秘密の道具のアレだった。こころはライトの光をハードルに当てた。


光が当たったハードルはずんずん大きくなっていき、終いには門の様になってしまった。


こころはその下を通って行った。


真照?真照はハードルにぶつかると同時にハードルを真ん中からぶち壊してやがる。つおい。


そして最後はパン食い競争。おやつの時間だ。


真照はその場でぴょんぴょん跳ねる。胸はお察し。だが、中々取れない様だ。


こころもぴょんぴょん跳ねているがそもそもの身長が低いから全く届かない。


こころはしびれを切らしたのか、さっきのドリルをパンに投げつけた。


パンは当たった衝撃で紐から外れたが、ドリルについていた土がついた。衛生的に大丈夫かあれ。


こころはそのまま走ってゴール。1等となった。ちなみに真照は2等。


「ぶい…。」


そう呟いた瞬間、こころはぶっ倒れた。


「こころぉ!?」


アレは起きすぎだな。クマが出来ている。寝れば治るだろう。


「ま、真照ちゃぁあああんっ!?」


真照が2位だった事にショックだったのか今度は夜神がぶっ倒れた。


こいつは放置だ。そのまま寝てろ。


波乱万丈な体育祭はまだまだ続く。

真照の胸のサイズが大きい訳では有りません。こころとの対比で大きく見えるだけです。

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