チーズバカVSストーカー
次の七不思議の『振り返ってはいけない廊下』を調べに行こうとしたその時、そいつは現れた。
「おやおや〜。これは予想外でしゅ〜。結構速いペースでクリアされていくでしゅ〜」
「「誰だ!?」」
その少女…いや、幼女?は顔に狐のお面をつけていた。髪は金髪でお団子にしている様だ。可愛いらしいワンピースを着ているが、何故か左腕にギプスをつけている。怪我をしているのだろうか?空中を浮いていて少なくとも唯の人では無い事が分かる。そしてこの声…何処かで聞いた事があるな。何処だったか。
「わたしでしゅか〜?わたしはこの学校の七不思議の内の一つ、『トイレの花子さん』でしゅ〜」
「トイレの…花子さん?」
俺の知っている情報と食い違うんだが。しかもトイレじゃなくて廊下にいるし。
「『職員室の怨霊』の奴は黒髪って言っていたんだが…。本当にトイレの花子さんか?」
「ぎぎっくぅ!そそそそそ、それはでしゅね!昔は学校には和式トイレが多かったから和風の形…黒髪をとっていたんでしゅけれど、今は洋風のトイレが多くなったから外見も洋風の金髪になったんでしゅよ!」
滅茶苦茶慌てているのが分かるんだが、深く突っ込まない方が良いんだろうか?
「へー!そうなんだー!」
おいそこ!何純粋に信じてるんだ!嘘だろ!あれ絶対嘘だろ!
「所で…。君がこの学校の七不思議のボスなんだよね?」
「そうでしゅよ。それが何か?」
「真照ちゃんを攫ったのは君だよね…。返して貰おうか」
そう言って夜神は短剣を花子さんに向ける。だが、花子さんは動じない。
「それは困るでしゅ〜。今ちゃんと客人としてもてなしているから心配は要らないでしゅよ。君達は残りの七不思議を回ってくると良いのでしゅ」
そう言って拒否する。そして、何か思いついたとばかりに手をポンと叩く。
「ああそうそう…。そこの黒髪の…月宵だったでしゅか?君は真照が好きなんでしゅよね?」
「そうだよ?」
それは周知の事実だ。わざわざそんな事を確認して花子さんは一体何がしたいのか。
「でも、その想いは一方通行でしゅ」
「う…」
多少その自覚はあるのか痛い所を突かれた様な顔をした。
「真照の回りには君以外にもう1人いるでしゅ。ええと…なんだかな…そこの青髪…あっ、楊枝!」
「万だよ!誰が楊枝だ!」
大して惜しくも無いんだよ!確かに他2人に比べると印象が薄い自覚はあるが、流石に名前を忘れられるのはちょっと悲しい。割と覚えやすい名前だと思うんだがな。
「君のストーカー行為は真照も嫌がっているでしゅ…」
「ストーカーじゃない!警護だよ!」
「世の人はそれをストーカーと呼ぶのでしゅ…」
何で夜神が花子さんに諭されてるんだよ。花子さんの方が夜神よりよっぽど常識があるじゃないか。
「さて、ここで問題でしゅ。ストーカー行為を繰り返す要注意人物と、全く持って特徴と言う特徴も無い極普通のちょっとビビリなヘタレ、どっちを選ぶと思うでしゅか?」
「僕だね」
「その自信の大きさは賞賛に値するでしゅ」
即答かよ。しかも俺の評価がボロッボロなんだが。俺花子さんにどういう風に見られているんだよ。
「…普通はヘタレの方を選ぶでしゅよ」
「え…?」
全くその可能性を考えて無かったかの様な驚きの顔を浮かべる。あと俺はヘタレじゃない!
「真照ちゃんが、幸神くんを…?僕じゃなくて…?」
あ、これは…地雷を踏みましたね。しかも被害を受けるのは俺。ありがとうございました。俺終了のお知らせ。
「そんな、こと、許せない…。あっちゃいけない…そんな事は無い…」
「どう、どう、落ち着け夜神」
「君に一体真照ちゃんの何が分かるの!?認めない!許せない!あり得ない!うわぁあああっ!!」
「ふのあっ!?」
振りかぶってきた短剣を間一髪で避ける!
「あっぶねえ!!いきなり何するんだ!」
「違う違う違うおかしいおかしいおかしいあり得ないあり得ないあり得ないっ!!!」
錯乱した夜神は無茶苦茶に短剣を振りかぶって来る。剣筋は見やすいが威力が一撃一撃にこもっている。それをなんとか生太刀で弾いて行く。刃は…あるな。
もしかして、生太刀は『害意』に反応して刃が出て来るのか?それなら今までの状況に説明がつく。
「あああああああああっ!!!」
「っ!!」
ヤバイ!生太刀を弾かれた!遠くで太刀が落ちるカランカランと言う音が聞こえた。丸腰になってしまう俺。
「っくそっ!」
しょうがない!最終手段だが、奥義!腹パン!
速さには自信がある。一気に夜神の懐に潜り込んで腹を思いっきりグーパンで殴る!
だが。
スカッ
からぶった。
「なっ!?」
かなり近距離でパンチしたはずだ!当たらない何て事は無いはずなのに!
…あ。夜神の神力か!物体透過で俺のグーパンを避けたのか!
「らあああああああっ!!!」
「だっ!!」
まずい!このままじゃ短剣で刺される!かなり近くに行った為、回避も出来ない。もうダメだ、お終いだ!と思ったその時。
「ぺけけ」
「「!?」」
救いのもふもふが俺達の間に現れた。
☆☆☆
その頃。花子さんはと言うと。
「ふへへでしゅ…ブツブツ…」
2人を見て、鼻血を出す程興奮していた。




