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神様(仮)達の日常  作者: 葛葉 シナチク
4月
13/308

神様(笑)の日常 仮病

万以外の視点です。



〈真照の一日〉

時は少し遡る。


「良し。大分目標は達成したわね」


今日も今日とてメモ帳に書き込む。


このメモ帳はあたしの死ぬまでにやりたいことリストの様な物。あたしは後悔せずに生きたいのよ。


やりたいことの中には万に助けて貰ったお陰で達成出来たのもある。例えば、『男の子に下の名前で呼んでもらう』だとか『あたしの部活を作る』だとか。


本当に万には感謝しているわ。


…これで心置きなく…あら?


まだ達成していないのがあるわね?


ええと…何々?『看病して貰いたい』?


一体いつ書いたのかしら?こんな願い忘れてたわ。


確かに、あたしは体が丈夫で生まれてから1度も風邪とかにかかった事は無いわね。だから『看病される』という事に憧れがあったのかしら?


え?馬鹿は風邪を引かない?何よ、それ?


…良い機会ね。この前万が風邪ひいて看病したし、風邪の症状がどんなものかも分かってる。もしかしたら万が看病しに来てくれるかもしれないし。


思い立ったが吉日!今日はズル休…エフンエフン!風邪よ!


☆☆☆


「暇ねぇ…」


知らなかったわ。ズル休みがこんなにも暇だなんて。


これなら学校に行った方が良かったかしら?


『風邪をひいた』って言った時の皆の慌て方は面白かったから、これはこれで良いかもしれないけど。


父は慌てて医者を呼び、お母様は気絶。爺やには「お嬢様、風邪の意味分かっていらっしゃいますか?」と言われ、メイドには簡単な足し算引き算の計算をさせられた。


…あら?何故かしら?何だか思い出したらムカついてきたわ。特に後半。呼ばれた医者も、頭の医者だったし。ちなみに特に異常は無かったわ。


そんなにあたしが風邪を引くのは衝撃的なのかしら?まぁその風邪も嘘なんだけど。


と、考えていたらノックが聞こえた。


「おねえちゃん、いるのです?はいってもいいのです?」


妹の声だ。


勿論良いわよ、と言おうとした所でメイドに遮られた。


「妹様。真照様は病気の為部屋に入らない方がよろしいかと」

「です?そうなんです?なら、かんびょうしたいのです!おねえちゃんにげんきになってもらいたいのです!」


あたしの妹マジ天使!皆があたしの事をバカにする中看病してくれるなんて!


しかし現実は非常である。


「なりません」

「なんでなのです?おねえちゃんはかぜでくるしいはずなのです!かんびょうしたいのです!」

「風邪は人にうつる病気です。妹様が看病したらうつってしまいます。看病は私達メイドが行いますのでどうか…」

「うぅ…。わかったのです…。おねえちゃん、がんばってなのです…」


ああ、さらばあたしの天使。風邪ってうつるのね、と思った事はナイショよ。


…それにしても本当に良かったわ。選ばれたのが妹じゃ無くてあたしで。妹はあたしよりもーー


「真照ゥ!!」


バン!という音と共に勢い良く開くドア。響くさけび声。その声の主は…。


「うるさいわね!クソ親父!何度も『部屋に入る時はノックして』って言ってるじゃない!!」

「ク、クソ親父!?」


父だった。これでも日神財閥のリーダー兼社長である。肩書きだけは立派だ。たまにこうゆう風にあたしに突撃と言う名の注意をしに来る。


「い、いやそれどころじゃ無い!真照!最近無断で外出しておるだろう!母さん泣いてたぞ!」

「アンタには関係無いわよ!バカ親父!」

「バ、バカぁ!?ま、真照にだけは言われたくない!」

「どういう意味よそれ!?」


やっぱりあたしの事バカだと思っているのね!


イライラするわ。お茶を飲んで心を落ち着けーー


「それに最近彼氏が出来たそうじゃないか!」

「ブフゥッ!?」


盛大にお茶を吹いちゃったわ!どうしてくれんのよ!?


「ゲホ、ゲホゲホゲホ。だ、誰よそれ?」

「こいつだ!彼氏じゃ無いのか?」


そう言って父が見せた写真にはーー。


「万ね?」


青髪青目以外に大した特徴も無い、人混みに紛れたら見失いそうな顔。うん。万だわ。


「やっぱり彼氏じゃないか!下の名前で呼びおって!」

「違うわよ!友達よ!」


その時、チャイムが鳴った。


メイドが持って来た画面にうつっていたのは万だった。


「真照様のお見舞いに来られた様です。如何なさいますか?」

「通して頂戴」

「かしこまりました」


時計を見るといつの間にか学校が終わってから1時間も経っていた。万は看病しに来てくれたのかしら?と思いつつ父の方を見ると。


「ぐふふふふふふふ…」


悪い笑みを浮かべていた。怒りも混じっているのかしら?まるで般若の様だわ。


「真照を、ワシから可愛い真照を奪おうと言うのか、この小童め…!!絶対に阻止してやろうぞ!」


どうやら妄想が悪い方に進んでいる様だ。どうしようかしら…。


☆☆☆


「俺の風邪をうつしちゃったみたいだな。ごめんな」

「いえ!いいのよ!」


どうしよう。さっきの『彼氏』と言う言葉が頭の中をぐるぐる回っている。ろくに万の顔も見れない。


あと、万にはうつしてしまったと勘違いるされてしまったみたいね。本当は仮病だけど。


「大丈夫か?顔が赤いぞ?」

「こ、ここここここれは熱よ!気にしないで!」


ヤバイ!万に指摘された!な、何か話を変えないと…!


と考えていたら万の方から話を変えてくれた。


「あ、そうだ!俺お土産持って来たぞ!」

「あら?何を持って来たのかしら?」


万が机の上にタッパーに詰められたソレを置く。


…何これ?


「…あたしにはなんだか呪われた謎の物体Xにしか見えないのだけれど…。何かしら、これ?」

「…リンゴだ」

「…あの」

「リンゴだ」

「……」


…どうやら呪われた物体Xにしか見えないモノはうさぎさんカットにしたリンゴらしい。皮が赤いのは普通だけれど、身まで赤いってどうゆう事よ?これ、本当にリンゴかしら?


…でも、折角持って来てくれたんだもの。万の指に戦いの跡が見えるし、不器用ながらも一生懸命にうさぎさんカットにしてくれた万の優しさが嬉しい。そして何よりズル休みをした自分への罰よ!


「…ありがとう。有り難く頂くわ」


万が一生懸命止めようとしてくれるけれど関係無い!


手に取って鑑定が発動する。



リンゴ(?)


万の激闘の跡が残るリンゴと言う名の戦場。最早食べ物かどうかも怪しい。食べるのはバカ位じゃない?



鑑定にバカと言われ様とも!頭で警報がガンガン鳴っていようとも!あたしはこれをたべるわ!!!


「真照!逝っきまーす!」

「止めろ!無理すんなぁああああ!!」


味は、今までに食べた事の無い味だった。甘くも、苦くも、しょっぱくも、酸っぱくも無かった。ぐふ…。



〈真照の父VS小童〉



どうやら最近真照に悪い虫がついたらしい。そんなものは父であるこのワシが追っ払ってやろうではないか!!


その虫の名は幸神 万。真照は友達と言っておったが…。彼氏に違いない!


だが…。真照は一体これの何処に引かれたんだろうか?ぱっと見、地味男にしか見えん。性格か?


まぁ良い。虫が寄ってくるのならば叩き落とそうではないか!


とりあえず、真照の部屋から出るまでは無視だ。変な事があったと真照に報告されたら困るからな。


ふふふ…。哀れな小童め!今日が貴様の命日だ!生きて帰れると思うなよ!


まず第1に戦闘用メイドによるナイフ投げ!食器を運んでいると見せかけて、メイドが転んだ拍子にナイフを投げる!これで奴も御陀仏よ!


どうやら小童は部屋から出て来た様だ。かなり元気が無くなっておるな。真照に何か言われたのであろうか?ざまあ。


まぁ今の小童の感情など関係無い!第1作戦スタートだ!


メイドがすれ違う拍子に転ぶ。巷ではああいうのを『ドジっ子メイド』や『駄メイド』と言うらしいが…。今は関係無いな。


食器が割れ…無い、だと!?手で全てキャッチするとは何事だ!?しかも投げたナイフも華麗に避けている。一体あれは何なんだ!?


これにはメイドもびっくり。


「大丈夫ですか?食器、割れなくて良かったですね」


とだけ言い残して小童は通り過ぎて行った。


ま、まあ第2作戦も有る。まだ大丈夫だ。


第2作戦は圧殺。メイドが運ぶ箱が崩れる、と言うもの。箱の中身は鉄だ。ぶつかれば、潰されてしまうだろう。


ふふふ…。流石にこれは避けれまい!と思った次の瞬間!


「あっ(棒)」


わざとらしくメイドが声を上げる。崩れる荷物。さてさて。小童はーー!?


「なん…だと…!?」


何と小童は自分の足の速さだけで逃げおったではないか!当の本人は「うおっ!危なっ!」としか叫んでない。


くぅうう…。まだだ。まだおわらんよ!


こうなったら第3作戦!爆殺!!


近所迷惑になるからやりたくは無かったが…。しょうがない。これも真照の為!


小童の行く方向に爆弾を仕掛けてやったわ!重さに反応して起爆するタイプだ。見とれよ…。


小童が爆弾の所を踏み抜いた!だが。


ぷしゅう…。


と、情けない音しかしない。辺りにもうもうと立ち込める煙。


…もしかして、爆弾が湿気っていた…?


小童は少し驚いているだけだ。


違う。違うんだ!ワシは小童を真照から引き剝がしたいだけなんだ!なのに驚かせる事しか出来ておらんではないか!


何なのだこんな需要の無いドッキリは!?


こうなれば最後の手段!ワシが直々に止めて見せようぞ!


小童に駆け寄る。殴りかかろうとしたその時!


「あっ!?」


転んでしまった。つくづく年は取りたくない。


仕方ない。これだけは言わせて貰おう。


「ワシはお前を認めんからなぁあああああ!」


小童の顔には「何言ってんだこのおっさん」という考えがありありと浮かんでいた。

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