↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/2

残炎

漫画脚本

【①小高い丘の上(壱話のラストーシーン続き。)】

ジィナ「この国は開国したんでしょ?」

丘の上で小春と対峙しているジィナ。2人の間を爽やかな風が吹き抜け、地面の草が揺れる。

ジィナ「異国の名くらいで、いちいち驚かないで欲しいわ。」

ジィナの青い瞳が輝く。(顔アップ)。


(タイトル出し:『Ember grrrl (エンバーガール)』


小春「確かに、開国はした。たった十数年前だがな。」

ぶっきらぼうに話す小春。

歩鹿「この国の大半は、まだ時代遅れなのよ。」

そう言って小春に微笑みかける歩鹿。

小春「この国で異人の女性は目立つ。私に頼らなくても、母親は見つかるはずだ。」

その場を離れようとする小春。

ジィナ「ちょっと!私の母がこの国の人じゃないっていついった?」

ジィナの言葉に思わず振り返る小春。

ジィナ「私の姓は鳥居よ。鳥居ジィナって言うの。」

歩鹿「まさか…」

ジィナ「鳥居ってこの国の姓でしょ?」

小春の顔をジッと見つめるジィナ。

小春「あぁ、そうだが…」

困惑気味に答える小春。

ジィナ「やっぱり…母さんはこの国の人だったんだ!」

嬉しそうに呟くジィナ。


歩鹿「小春。彼女の依頼引き受けてあげたら?」

小春「なっ…どうして?」

小春に近づき歩鹿は耳打ちをする。

歩鹿「あなたの側においていた方がいいわ。政治的にね。」

小春「何か掴んでいるのか?」

歩鹿「まぁね。」

そう言って笑うと、ジィナに近づきしゃがみ込む歩鹿。

ジィナに視線を合わせて話し始める。

歩鹿「鳥居は神社関係の姓よ。

とりあえず、近くの神社にでもいってみたら?」

言い終えると、横目で小春に視線を送る歩鹿。

小春「……」

小春は軽く頭を掻き、気だるそうに歩く。


【② 境内へ至る石段・神社】

急な石段を上がる三人。 風に揺れる木々。

ジィナ「へぇ……ここが神社?」

わくわくした様子で周囲を見渡すジィナ。

小春「あれが鳥居だ。」

そう言って大きな赤い鳥居を指さす小春。

ジィナ「へ~これが…」

鳥居を見つめるジィナ。


そんなジィナの様子を見つつ、

小春はおみくじが結んである場所へ視線を向ける。

無数におみくじが結ばれている納め所。

小春は、その中の一つ、端に血がついたおみくじを見つける。

周囲に誰もいないことを確認し、血のついたおみくじを、サッと取る小春。

歩きながら、血のついた紙(取ったおみくじ)を開き、見つめる小春。

紙には、くずし字で文章が書かれている。(「妖刀に囚われた友を救って欲しい」だけ読める形)。

真剣な表情の小春。


どこからともなく、いい匂いが漂ってくる。

目を瞑り、くんくんと匂いを嗅ぐジィナ。

ジィナ「この匂いは…」

道端に茶屋があるのを見つけたジィナ。

腹の音がなるジィナ。

小春「食べて行くか?」

ジィナ「いや、でも…」

もじもじとしているジィナ。

歩鹿「いいわ。私が奢ってあげる。」

そう言って、おしゃれな長財布を手に取り、にこやかに茶屋へと向かう歩鹿。


【③茶屋(ジィナについて話す小春と歩鹿)】

屋外の座に腰を掛けているジィナ。

茶屋の女中から団子を受け取り、可愛らしく、頬張る。


その様子を少し離れた位置から見ている歩鹿と小春。

小春は竹の水筒を取り出し、湧き水で洗っている。

小春「さっきの『政治的』ってのはどういう意味だ?

さっさと大使館に引き取ってもらった方がいいと思うが?」

歩鹿「あの子…おそらく朝国からの密航者よ。」

小春「だろうな」

そう言って、薄く汚れたジィナの服装に目をやる小春。

歩鹿「朝国内の諸国が独自に彼女を追っているわ。」

右手の指先をあごへ添え、左手でなめらかな右腕を抱くように佇む歩鹿。

歩鹿「彼女は隣国分離の可能性を秘めている…………かもしれない」

小春「朝国が戦乱の世に戻るのか…」

竹の水筒から水をぐいっと飲む小春。

歩鹿「そうなったら、この国への影響も大きいでしょうね。」

ジィナを見つめながらフフフと笑う歩鹿。

歩鹿「彼女には、行方不明でいてもらった方が、

何かと都合が良さそうなの。」

小春「…なるほどな」

袖で濡れた顔を拭う小春。


【④茶屋(ジィナの特殊能力発露)】

小春「食べ終わったか?」

ジィナの側に行き、声をかける小春。

ジィナ「あっうん。」

どこかよそよそしいジィナ。

ジィナ「なぁ、あの人…」

歩鹿「うん?」

茶屋の奥で働いている店主(60歳くらいの男)を見つめるジィナ。

小春「なんだ?」

ジィナ「多分、あんたのと似たようなものを持ってる」

小春の懐に視線を向けるジィナ。

ジィナ「あっちの方が禍々しそうだけど…」

小春「お前…まさか…」

驚く小春をよそに、歩鹿は茶屋の奥へと入っていく。

歩鹿「お会計いいかしら?」

店主の方へと向かう歩鹿。

店主「お会計?それなら、そこの女中に…」

歩鹿「いやー。あまりにも美味しかったので、ぜひ店主に…」

そう言うと同時に、店主を羽交い締めにする歩鹿。

店主「なっ、何するんだい!」

店主の懐から守り刀(妖刀)が落ちる。


小春「あんた、妖刀持ちが分かるのか?」

しゃがんでジィナの肩を押さえ、問いかける小春。


【⑤小春のアジト(ジィナを置いて出かける小春)】

傾斜のついた低い天井と丸太の梁が剥き出しになった屋根裏部屋。

小春と布団を背負ったジィナが登ってくる。

小春「悪いが、この部屋で寝泊まりしてくれ」

ジィナ「部屋っていうか、屋根裏じゃない」

どさっと布団を落とすジィナ。

小春「母親を探してやるから、しばらくの間は我慢してくれ。」

ジィナ「しばらくっていつまでよ!」

小春「とりあえず、南蛮商人づてに情報を集めてみるが…」

ジィナ「私も、ついていく!」

小春「焦るな、今日は、引き受けた依頼を片付けてくる。」

むすっとするジィナ。

小春はそそくさと、はしごを降りていく。


【⑥寂れた門前町(前金を取りに行く小春)】

寂れた門前町を歩く小春。

歩きながら、血のついた紙(おみくじ)を懐から出す。

中身を確認する小春。

小春「妖刀相手…報酬は…」

呟きながら前へ進む。


【⑦数時間後:古井戸のある廃民家(妖刀を持つ男と小春の会話)】

夜。三日月が輝いている。

質素な民家の前に立っている小春。

古井戸に向かい、釣瓶縄を引く。

上がってきた桶を覗き、小春は中に入っている小判を手に取る。


男「ほう、駆け込み屋さんは女(おなご)だったか」

突然後方から、声がし、振り返る小春。


紺色の着物を着た男。無精髭を生やし、グレーの袴を履いている。

髪を無造作に高い位置で束ね、額に数本の毛筋を垂らしている。

太い眉と鋭い眼光を持つが、その顔にはどこか疲労の色が浮かんでいる。


小春「あんた…依頼主か?それとも…」

男「どうかな?」

男は懐から守り刀(妖刀)を出し、小春に見せつける。


守り刀を抜こうとする男。

小春「よせ!お前の友は、あんたが妖刀から解放されることを望んでいる。」

男「ふっ…。俺の友は全員散ったさ。」

守り刀を抜く男。

男「…時代と共にな。」

小春「まさか…あんた自分で…」

守り刀の鞘の隙間から、黒い影が溢れ出し、男の周囲に漂う。

小春は素早く純白の守り刀を懐から出し、抜く。

すると、鞘の隙間から白い煙が溢れだす。

煙が収まると、刃はそのまま、柄の部分が伸び、薙刀のような武器へと変化した。


【⑧古井戸のある廃民家(男と小春の戦闘)】

月明かりの下、廃墟と化した民家の庭。

対峙する小春と男。

男の姿は変わっていないが、漆黒の煙を纏い、凶々しいオーラを放っている。

小春は薙刀の穂(刃)を地面に向けた「脇構え」で、男と距離をとっている。

男はゆっくりと、腰を落とし、居合切りのような姿勢をとる。

ゆっくりと揺れる柳。


男が、猛スピードで小春へ突っ込む。

咄嗟に薙刀の柄で男の刀を弾く小春。

弾かれた衝撃を利用して、飛び跳ねて距離を取る男。

地面に着くと、その勢いのまま、刃の先を小春に向けて突っ込んでくる。

穂を男に向け「中段の構え」をとる小春。


男と小春の距離が近づく。

刀を突き刺すように、踏み込む男。

小春は、薙刀を一回転させ、柄の部分で刀を弾く。

刀を弾かれた男は、少し驚きつつも、太い蔦のような黒煙を発生させる。

黒煙は素早く小春を貫こうと襲いかかる。

小春は薙刀を、横に振り、黒煙もろとも、男と妖刀を切り裂く。

ヒビが入り、砕け散る妖刀。

男はその場に倒れ込む。


【⑨古井戸のある廃民家(戦闘後)】

古井戸に背を預けている男。

男「あぁ、最後くらいは侍に斬られたかったな…」

男はそう言って、笑う。

小春「…」

男「期待してたんだぜ…あんたが侍だって噂…」

男は夜空へ視線を送る。

男「まぁ…妖刀に手を出した身にしちゃ、いい最後だったか…」

ゆっくりと、目が虚ろになっていく男。

男「ありがとうな…」

ふっと力が抜けると、男の体は煙となり、消えていった。


小春は男がいた場所をじっと見つめ、険しい顔をする。

小春「この国は…どう変わればいい…」

漆黒の煙が、空へ吸い込まれるように消えていく。

〈弐話完。〉







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。