私たちが選んだ未来
朝の光が、王宮の窓から差し込んでいた。
リヴィアは鏡の前に座り、静かに自分の姿を見つめていた。
灰金色の髪は丁寧に整えられ、青灰色の瞳には、いつもより少しだけ緊張した色が浮かんでいる。
身にまとっているのは、今日のために仕立てられた純白のドレスだった。
華美すぎない刺繍が胸元から裾へと流れ、光を受けるたびに柔らかな輝きを放っている。
「……本当に、今日なのね」
呟いた声が、部屋の中に小さく響いた。
ルシアンと結婚したい。
そう決めた日のことを、リヴィアは今でもはっきりと覚えている。
不安を抱えながら、自分の気持ちを言葉にしたこと。
彼が驚き、やがて心から嬉しそうに笑ってくれたこと。
二人で、これからの未来について何度も話し合ったこと。
そして、今日。
二人が選んだ未来を、正式に始める日が来た。
扉がノックされ、母が部屋へ入ってきた。
「リヴィア、準備はどう?」
「はい。もう大丈夫です」
そう答えたものの、母はすぐに彼女の緊張を見抜いたようだった。
「ふふ。少し、緊張しているのね」
「……少しだけです」
「そう。私も、自分の結婚式の日には緊張したものよ」
母はリヴィアの隣に立ち、鏡越しに彼女を見つめた。
「あなたが小さかった頃、どんな大人になるのだろうと思っていたわ。今、こうして自分の意思で未来を選んでいる姿を見ると、本当に大きくなったのだと感じるの」
「お母様……」
「これからも、迷うことはあるでしょう。嬉しいことばかりではないかもしれない。それでも、自分の気持ちを大切にしてね」
母は、リヴィアの肩にそっと手を置いた。
「あなたが幸せになることを、私たちは心から願っているわ」
リヴィアは、目の奥が熱くなるのを感じた。
「ありがとうございます」
振り返り、母を抱きしめる。
「私、幸せになります。ルシアン様と一緒に、二人で幸せを作っていきます」
「ええ。それが一番よ」
母は優しく娘を抱きしめ返した。
しばらくして、扉の外から侍女の声が聞こえた。
式の時間が近づいている。
リヴィアは涙を拭い、もう一度鏡を見た。
そこに映る自分は、かつて運命に戸惑い、何が正しいのか分からずにいた少女とは少し違って見えた。
まだ知らないことはたくさんある。
それでも、自分の意思で選んだ未来へ歩き出す準備はできていた。
「……行ってきます、お母様」
「いってらっしゃい、リヴィア」
リヴィアは扉へ向かった。
その先には、これから人生を共に歩む人が待っている。
王宮の大広間には、両国の王族や貴族、二人と親交のある人々が集まっていた。
穏やかな音楽が流れ、色とりどりの花が飾られた会場は、祝福に満ちている。
その前方で、ルシアンはリヴィアを待っていた。
黒みを帯びた青い髪は整えられ、深い青色の瞳には、いつもより強い感情が浮かんでいた。
彼もまた、落ち着いているように見えて、内心では緊張していた。
兄のレオンハルトが隣へやって来る。
「ずいぶんと真剣な顔をしているね、ルシアン」
「今日くらいは、真剣でいさせてください」
「もちろん。大切な日だからね」
レオンハルトは弟の肩に手を置いた。
「お前が自分で選んだ相手だ。これからも、その気持ちを忘れないことだね」
「分かっています」
「それならいい」
レオンハルトは少し笑った。
「……それにしても、あのルシアンが結婚するとはね」
「兄上」
「いや、感慨深くてね。昔のお前に、好きな相手の前ではずいぶん分かりやすくなると言っても、信じなかっただろうな」
「今、その話をする必要はありません」
「そうかな?」
「ありません」
レオンハルトは楽しそうに笑い、少し離れた場所へ移動した。
その直後、会場の扉が開いた。
リヴィアが姿を現す。
ルシアンは、彼女から目を離せなくなった。
純白のドレスに身を包んだ彼女は、緊張しながらも、まっすぐに前を見つめていた。
ゆっくりと歩いてくるリヴィアと、彼女を見つめるルシアン。
その視線が重なった瞬間、リヴィアは小さく微笑んだ。
それだけで、ルシアンの胸にあった緊張が少しだけ和らいだ。
彼女が彼の隣へたどり着く。
「……お待たせしました、ルシアン様」
「ううん。待っていた時間も、悪くなかったよ」
「そうですか?」
「君に会えると思っていたからね」
リヴィアの頬が赤くなる。
「……今日は、そういうことをおっしゃるのですね」
「今日だからこそ、かな」
二人は顔を見合わせ、そっと笑った。
やがて式が始まった。
国王オスカーの言葉に続き、二人は互いに向き合った。
「ルシアン・ヴァルクレスト」
厳かな声が会場に響く。
「ここにいるリヴィア・アーデントを伴侶とし、喜びの日も、困難の日も、互いを尊重し、支え合いながら人生を共に歩むことを誓うか」
ルシアンは迷わず答えた。
「誓います」
続いて、リヴィアへ視線が向けられる。
「リヴィア・アーデント。ここにいるルシアン・ヴァルクレストを伴侶とし、互いの意思を尊重し、支え合いながら人生を共に歩むことを誓うか」
リヴィアは、隣にいる彼を見つめた。
初めて出会った頃は、こんな未来を想像していなかった。
彼に助けられ、言葉を交わし、時には反発しながらも、少しずつ互いを知っていった。
自分の人生をどう生きるのか。
誰を信じ、何を大切にするのか。
その答えを探す中で、彼はいつも自分の意思を尊重してくれた。
そして今、リヴィアは自分の意思で彼の隣に立っている。
「……誓います」
その声は、震えながらも、はっきりと響いた。
オスカーが満足そうに頷き、セレスティアが優しい笑みを浮かべる。
二人の誓いが交わされ、会場に祝福の拍手が広がった。
ルシアンはリヴィアの手を取り、彼女の顔を見つめた。
「リヴィア」
「はい」
「これからも、よろしくね」
リヴィアは笑った。
「こちらこそ、ルシアン様」
二人はゆっくりと顔を近づけた。
そして、皆の祝福の中で、そっと唇を重ねた。
長い迷いの先にたどり着いた、二人の答え。
それは、誰かに決められた運命ではない。
二人が自分の意思で選び取った、未来の始まりだった。
◇
祝宴が始まると、会場は温かな笑い声に包まれた。
エヴリンは、アルベルトと並んで新郎新婦を見つめていた。
「リヴィア、とても幸せそうですね」
「ああ。ルシアンも、今まで見たことがないほど嬉しそうだ」
「ふふ。私も、あんなふうに大切な人と未来を選べたら素敵だと思います」
アルベルトは彼女を見た。
「エヴリン」
「はい?」
「君は、僕といる未来をどう思っている?」
彼女は驚いて彼を見上げた。
アルベルトは、王子としての落ち着いた表情を保ちながらも、どこか緊張しているようだった。
「僕は、君と過ごす時間を大切に思っている。学習室で一緒に働く時間も、出かけて話をする時間も、これから先も続けていきたい」
彼は一度、息を吸った。
「そして、仕事仲間としてだけではなく、一人の女性として君を大切にしたいと思っている」
エヴリンの目が大きく開かれた。
「……アルベルト様」
「すぐに答えを出してほしいわけではない。ただ、僕の気持ちをきちんと伝えておきたかったんだ」
エヴリンは、しばらく言葉を探していた。
胸の中に、嬉しさと戸惑いが広がっている。
自分が彼を特別に思っていることには、もう気づいていた。
彼と話したい。
一緒に出かけたい。
彼が何を考えているのか、もっと知りたい。
そして、これからも彼の隣で笑っていたい。
エヴリンは、そっと彼の手に触れた。
「……私も、アルベルト様と一緒にいる時間が好きです」
彼が彼女を見つめる。
「あなたの考えを聞くのも、私の考えを聞いてもらうのも、嬉しいんです。これからも、もっと一緒に過ごしたいと思っています」
エヴリンは微笑んだ。
「だから……私も、あなたとの未来を考えていきたいです」
アルベルトの表情が、驚きから喜びへと変わった。
「ありがとう、エヴリン」
「こちらこそ、気持ちを伝えてくださってありがとうございます」
二人は手を取り合った。
まだ、すべてが決まったわけではない。
けれど、二人は互いの気持ちを知り、同じ方向へ歩き出すことを選んだ。
その先に何が待っているのかは、これから二人で確かめていけばいい。
エヴリンは、リヴィアとルシアンの姿を見つめながら微笑んだ。
誰かの幸せを見て、自分もまた未来を望める。
それも、きっと大切なことなのだ。
◇
それから、数年の月日が流れた。
王宮の庭園には、春の花が咲き誇っていた。
かつてリヴィアとルシアンが未来について語り合った庭園は、今も変わらず穏やかな空気に包まれている。
「お母さま!」
明るい声が響いた。
灰金色の髪を揺らしながら、小さな女の子が花壇のそばから駆けてくる。
青灰色の瞳を輝かせているのは、リヴィアとルシアンの娘、エリシアだった。
その後ろには、少し遅れて兄のレオンが続いていた。
レオンは、母親譲りの金色を帯びた灰色の髪と、父親譲りの深い青色の瞳を持つ少年だった。
「エリシア、そんなに走ったら危ないよ」
「だって、お父さまが来たの!」
エリシアは振り返り、嬉しそうに笑った。
庭園の入口には、ルシアンが立っていた。
以前よりも落ち着いた雰囲気をまといながらも、深い青色の瞳には、変わらない優しさが宿っている。
「二人とも、今日はずいぶん元気だね」
「お父さま、見て! お花が咲いているの!」
「本当だ。きれいに咲いたね」
ルシアンはしゃがみ込み、子供たちと同じ目線になった。
そこへ、リヴィアが歩いてきた。
「あなたたち、あまり遠くへ行っては駄目よ。お父さまを見つけたからといって、走りすぎです」
「はーい!」
二人は元気よく返事をしたが、すぐにまた庭園の花へと興味を移してしまった。
リヴィアは困ったように笑った。
「まったく、二人とも……」
「君に似たのかもしれないね」
ルシアンが言った。
「私に、ですか?」
「興味を持ったものを見つけると、周りが見えなくなるところ」
「それは、ルシアン様にもあると思いますけれど」
「そうかな?」
「そうです」
二人は顔を見合わせ、笑った。
そのとき、庭園の向こうから、もう一人の少女が駆けてきた。
「レオン! エリシア! 待って!」
肩までの柔らかな茶色の髪が揺れ、鮮やかな赤い瞳が春の日差しを受けて輝いている。
エヴリンとアルベルトの娘、アリシアだった。
四歳になったアリシアは、明るく人懐っこい性格で、初めて会う人にもすぐに笑顔を向ける。
けれど、特に懐いている相手が一人いた。
「レオン、今日は何をして遊ぶの?」
アリシアは迷いなくレオンのそばへ駆け寄り、小さな手で彼の手を握った。
「まだ決めていないよ。エリシアと花を見ていたところなんだ」
「じゃあ、私も一緒に見る!」
「うん。三人で見よう」
レオンが優しく答えると、アリシアは満面の笑みを浮かべた。
エリシアも兄の反対側から手を伸ばす。
「私も! みんなで一緒に行こう!」
「分かったから、二人とも引っ張らないで」
レオンは少し困った顔をしたものの、二人の手を振りほどくことはなかった。
三人は並んで花壇へ向かっていった。
その様子を眺めていたリヴィアは、隣に立つエヴリンへ視線を向けた。
「アリシアは、相変わらずレオンにべったりね」
エヴリンは苦笑した。
「本当に。朝から『今日はレオンに会える?』と何度も聞かれたのよ」
「まあ。そんなに会いたいのね」
「レオンが優しくしてくれるから、すっかり大好きになってしまったみたい」
二人は、子供たちを見つめた。
レオンはアリシアが花壇の縁でつまずきそうになると、すぐに手を添えて支えていた。
アリシアは安心したように笑い、今度はエリシアと一緒に花を探し始める。
その光景を見て、リヴィアの口元にいたずらっぽい笑みが浮かんだ。
「……ねえ、エヴリン」
「何?」
「このまま大きくなったら、レオンとアリシアが結婚することになるかもしれないわね」
「えっ?」
エヴリンは目を丸くした。
リヴィアは楽しそうに続けた。
「だって、あんなに仲がいいんだもの。将来、二人が恋人になったら素敵じゃない?」
「リヴィアったら!」
エヴリンは頬を赤くした。
けれど、もう一度子供たちを見ると、彼女もつい笑ってしまった。
「……でも、もし二人が大きくなっても仲良しだったら、そういう未来もあるのかしら」
「でしょう?」
「まあ、まだ四歳と六歳だけれどね」
「ええ。今は、二人が楽しく遊んでくれるだけで十分よ」
リヴィアとエヴリンは顔を見合わせ、くすくすと笑った。
ところが、その会話を近くで聞いていた人物がいた。
「……ちょっと待ってくれ」
アルベルトだった。
彼は信じられないものを見るような顔で、二人の母親を交互に見つめていた。
「今、何の話をしていたんだい?」
エヴリンは、はっとした。
「ア、アルベルト。いつからそこに?」
「レオンとアリシアが遊び始めた頃からだよ。それで、どうして二人が結婚する話になっているんだ?」
リヴィアは、とうとう笑いをこらえきれなくなった。
「ただの冗談よ、アルベルト」
「冗談でも、そんな話をする必要はないだろう!」
「どうして?」
「どうしてって……アリシアはまだ四歳だぞ!」
「ええ、知っているわ」
リヴィアは涼しい顔で頷いた。
「だから、ずっと先の話をしているのよ」
「ずっと先でも同じだ!」
アルベルトは、子供たちの方を振り返った。
ちょうどそのとき、アリシアがレオンの手を握ったまま、嬉しそうに笑っていた。
「レオン、明日も一緒に遊ぼうね!」
「うん。明日も時間があったら遊ぼう」
「約束だよ!」
「分かった。約束」
二人が小指を絡める。
アルベルトは、その様子を見て固まった。
「……もう約束までしている」
「子供同士の遊びの約束でしょう?」
エヴリンが呆れたように言った。
「あなた、まさか本気で心配しているの?」
「心配して何が悪いんだ。アリシアは私の大切な娘なんだぞ」
「もちろん、分かっているわ。でも、レオンは優しい子だし、二人が仲良くしているのはいいことじゃない」
「それは分かっている。分かっているが……!」
アルベルトは言葉を詰まらせた。
そこへ、ルシアンが近づいてきた。
話を聞いたらしい彼は、すでに肩を震わせていた。
「アルベルト、まさか君は、六歳の少年に嫉妬しているのかい?」
「嫉妬ではない!」
「そうかな。ずいぶん深刻な顔をしているけれど」
「ルシアン、君まで!」
ルシアンは、ついに声を上げて笑った。
「すまない。いや、だって……君は王国の問題なら冷静に対処できるのに、娘のことになると本当に分かりやすいね」
「娘のことだからこそ、真剣なんだ!」
「それは分かるよ。でも、今から心配していたら、アリシアが成人するまでに君の心臓がもたないんじゃないかな」
リヴィアもエヴリンも、とうとう笑い出した。
「もう、アルベルトったら……」
エヴリンは夫の腕にそっと触れた。
「アリシアは、ただレオンと遊ぶのが好きなだけよ。将来どうなるかなんて、本人たちにも分からないわ」
「……それは、そうだが」
「だから、今は温かく見守ってあげましょう?」
アルベルトは不満そうに口を閉じた。
しかし、娘がこちらへ駆けてくると、すぐに表情が和らいだ。
「パパ!」
アリシアはアルベルトに抱きついた。
「どうしたんだい、アリシア?」
「レオンがね、お花を見つけてくれたの! エリシアと三人で、いっぱい見つけたんだよ!」
「そうか。それはよかったね」
「明日も一緒に遊ぶの!」
アリシアは嬉しそうに報告した。
アルベルトは一瞬だけ遠い目をしたが、すぐに娘の頭を優しく撫でた。
「……そうか。楽しんでおいで」
「うん!」
アリシアは満足そうに笑い、再びレオンとエリシアのもとへ走っていった。
その後ろ姿を見送ったアルベルトの肩を、ルシアンが軽く叩いた。
「頑張って、アルベルト。これからが楽しみだね」
「他人事だと思って……!」
「他人事だからね」
ルシアンは悪びれずに答え、再び笑った。
◇
やがて夕暮れが近づき、子供たちは庭園の芝生に座って休んでいた。
エリシアは見つけた花を小さな籠に集め、アリシアは隣でそれを手伝っている。
レオンは二人が転ばないように気を配りながら、花の名前を教えていた。
「これは春に咲く花なんだ。こっちは、もう少ししたら咲くと思うよ」
「レオンは、どうしてそんなに詳しいの?」
アリシアが尋ねた。
「お母さまに教えてもらったんだ。僕も、まだ知らない花がたくさんあるよ」
「じゃあ、今度も一緒に探そうね!」
「うん。エリシアも一緒にね」
「もちろん!」
エリシアは元気よく答えた。
三人の笑い声が、夕暮れの庭園に響く。
少し離れた場所で、リヴィアはその光景を見つめていた。
隣にはルシアンがいる。
反対側では、エヴリンがアルベルトの腕を取り、まだ何かを言い聞かせていた。
「……賑やかね」
リヴィアが呟くと、ルシアンは微笑んだ。
「そうだね。君と出会う前には、こんな未来を想像していなかったよ」
「私もです」
リヴィアは、彼の手を握った。
「以前は、未来を選ぶことが怖かったんです。間違えたらどうしよう、後悔したらどうしようと、いつも考えていました」
「うん」
「でも今は、選んだ未来の中で、また新しいことを選んでいけばいいのだと思えるようになりました」
ルシアンは、優しく彼女を見つめた。
「君が自分で選んだ道だからこそ、これからも大切にしていこう」
「はい」
リヴィアは微笑んだ。
かつて、自分は運命に翻弄されていた。
前世の記憶に戸惑い、与えられた役割に苦しみ、何が正しいのか分からずにいた。
けれど、迷った時間も、悩んだ日々も、無駄ではなかった。
そのすべてがあったからこそ、今の自分がいる。
そして、自分で選んだ人と共に、今の幸せを築いている。
「ルシアン様」
「何?」
「これからも、よろしくお願いします」
彼は少し驚き、それから笑った。
「こちらこそ、リヴィア。これからも、ずっと」
二人は静かに手を握り合った。
庭園の向こうでは、アルベルトがアリシアに手を振られ、慌てて笑顔を作っていた。
それを見たルシアンが、また小さく笑う。
リヴィアもつられて笑った。
目の前には、愛する人がいる。
その先には、子供たちの笑顔がある。
そして、まだ知らない明日が待っている。
誰かに決められた運命ではなく、自分たちが望む未来。
その未来を、これからも選び続けていく。
リヴィアは顔を上げ、春の空を見つめた。
もう、未来を恐れる必要はなかった。
これから何が起きても、自分は自分の意思で選び、愛する人と共に歩いていける。
そう信じられるから。
そして、その信頼こそが、二人が長い道のりの果てに見つけた、本当の答えだった。
最後までこの物語を読んでくださり、本当にありがとうございました。
リヴィアとルシアンが悩み、迷いながらも自分たちの未来を選び、二人で歩んでいく姿が、皆様の心に少しでも残っていたら嬉しいです。
物語はここで幕を閉じますが、登場人物たちと過ごした時間が、皆様の心に温かな思い出として残りますように。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
佐藤




