第7話 己が描く尼子へ
父・経久は阿用城の戦いの処理が終わると俺に話したように家臣の皆を月山富田城に集めると
「家督を政久に譲る事にいたした。今後の当家の事は政久が取り仕切る。皆は政久を助けてやって欲しい」
と宣言された
正式に尼子家の家督を継ぐことになった事にワクワクを感じながらもここは俺が知ってる某ゲームの世界ではないわけで負けたら死ぬ…つまり失敗は許されない事だと改めて実感した
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家督を継いだ後今後どのようにしていくかを考えて行かねばならない
まず今は1513年の暮れ…我が尼子は出雲で立場を確立できたところだ
幸いあの阿用の一戦により我々に味方するものが多くなり史実よりも早く出雲統一が出来そうとは言える
その為には大内氏と今は友好関係を保つことが望ましい
気をつけなけらばならないのは国久と興久だ
二人の武には助けてもらわねばならぬから上手いことコントロールしていく必要がある
とは言っても政久が生きていればその辺は大きく変わることには違いない
じゃあ一族以外の家臣はどうか
もちろん史実でも大活躍の本城常光は重用したいがまだ早すぎる
個人的に伯耆・因幡を攻めるならあの豊臣秀吉を3度破った吉岡定勝も味方にしたい
そんな事を考えて今後の戦略を練っていくことになった
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「兄上、呼ばれましたか?」
「来たか国久」
俺は家督相続後直ぐに国久を呼んでいた
「お話というのはなんでございましょう?」
「まず阿用城では見事な戦いぶりを見せてくれた。礼を言おう」
「ありがたき幸せ」
「そこで桜井氏より取った所領をお主に加増しようと思う」
「まことでございますか?」
国久は雲南市吉田の吉田氏に養子で入っている
桜井氏の阿用一帯は吉田にも近い。また先陣を切った国久であれば与えたとしても誰も文句はいわぬ
「ですが興久は良いのですか?」
国久のいうとおり興久も手柄を立てた。それなのに何もなしというのは可哀想だし興久も不服に思うはずだ
現に史実では所領の加増を巡って興久は謀反を起こしている
だが俺とて無策ではない。考えはある
「そこで出雲西部のまだ従わないもの達との戦の総大将を興久に任せようと思う」
「ほう…」
「そこでそんな興久を支えてやってくれぬか?」
「なるほど…興久には出雲西部を中心に抑えさせるということで今回は加増なしに留めておくと」
「それだけでは無い。出雲平定の後隣国の備後や備中にも攻め入る。そうなった際はそなたが総大将を務めその国を収めて欲しい。その為の加増と西部の足場固めじゃ」
納得した様子の国久は
「どこまで期待に応えられるか分かりませぬがやってみましょう」
そう言うと国久は帰って行った
「あれは満足そうな顔だった…上手いこと国久や興久を使い直ぐに統一しなくてはな」
やることが多いが楽しくなってきた俺なのであった