16話 煩悩だらけの宿題合宿
ツクツクボーシ!ツクツクボーシ!........
どうもみなさんこんばんは。森野灯です。今年は9月1日を日曜日で迎えるため、始業式は9月2日になります。
さて、本日は8月31日。時は22:00を迎えています。
・・・宿題が、終わりません。
・・・宿題が、減りません。
・・・宿題って、何だっけ?
「はい、現実逃避しないの!」
桜がハリセンで頭部を叩いてくる。
「だって〜! 終わらないよぉ〜こんな量」
「何が終わってないわけ?」
「ワーク類全ページ」
「お姉ちゃんこの夏休み何してたの? 甲子園にでも行ってた?」
うう、球児じゃないもん! 毎年「この人たち宿題どうしてるんだろ」って一定数に思われる人たちじゃないもん!
「桜ぁ! 監督するだけじゃなくて勉強教えてよぉ〜!」
「妹に勉強教わるつもりなの超怖いんだけど...てか私は受験生だから! 気を使ってよね!」
「うう...だって桜は私と違って頭いいから余裕でしょ? あれ?桜って志望校どこなの?」
「どこって...[星乃川第一]だけど」
え、ええ!? 私たちと同じところじゃん
「なんで[星乃川第一]なの?もっとお姉ちゃんより上行きなよ」
「あのね、たまたま本番だけ調子良くて入れたお姉ちゃんがイレギュラーで、もともと輝夜さんみたいな優秀な人が行くとこなんだよ!」
知らなかった...! だから私順位低いのかー! いやぁ〜納得納得。
「じゃあそんな優秀な人たちが集まる学校の宿題が解けなくても問題ないよね! はい、宿題終わり!」
「お姉ちゃん...宿題からテスト作られるんでしょ? このままだと本当に留年しちゃうよ」
「うぐっ、痛いところを突いてくる...」
確かに留年は嫌だ。お母さんにはボコボコにされるだろうし、桜と同学年になるし、何より輝夜ちゃんと違う学年になるなんて...
「でも無理ぃ。学力的に終わらないから精神的にも終わらせられない〜!」
「姉がどんどん腐ってく...」
「なんか言った?」
「別に」
宿題のやる気が完全にしぼんで、こたつは暖かくて、コロンと寝っ転がる。
あー、もういいかもなぁ。担任の先生も美人だから怒られてもむしろアリだという考えもあるよね。
prrrr!
あれ、電話だ。
「はいもしもーし。灯でーす」
「灯さん、輝夜です」
「輝夜ちゃーん! どうしたの?」
「あっ、えっと...失礼なことなんですけど、灯さんがまだ宿題を終わらせていない夢を見まして、そんなことないとは思ったのですが、万一の時のために電話を...灯さん?」
「うっぐえっ...」
自然と涙がこぼれ落ちてきた。
「ど、どうして泣いているんですか? まさか...」
「はい! 終わってません!!」
そのまま泣きながら事情を説明(言い訳)し、明日の朝から勉強は輝夜ちゃんが見てくれることになった。
「いやー! よかった〜、これで安心安心!」
「あのさ、たった1日輝夜さんに見てもらえるようになっただけでなんでもう寝ようと思えるの?」
「え!? ダメかな」
「ダメでしょ。人として」
妹に「人として」ダメと言われた。常に女の子を侍らせてウハウハしているであろう(偏見)妹に言われた...
「じゃあちょっとやってくよ。まだ見ててくれる?」
「うん♡」
結局日付が変わるまで、桜は付き合ってくれました。ここ最近では一番仲良くできた...かな?
そして次の日...
ピンポーン!
『おはようございます。少しお待ちください』
あぁ、インターホン越しの声も美しい...!
「おはようございます。灯さん」
「おっはよー! 夏休み最終日なのにごめんね〜」
「いえいえ。どうぞ上がってください」
「お邪魔しまーす」
「あら、いらっしゃい」
・・・ふぉーー!! 美人ママだぁ!
「あっ、お母さん。お仕事はいいの?」
「ええ。あなたの友達、見ておきたくてね。可愛い子じゃな〜い」
あなたの娘のが何百倍も可愛いよ! って言いたい!
「じゃあお勉強してくるね」
「はーい。頑張りなさい」
輝夜ちゃんに続いて2階へ上がる。何回か友達の家に行ったことがあるけど飛び抜けていい匂いがするよこの家!【スニフマリー】が来たら酸欠で倒れそう。
「私の部屋ですがどうぞ」
むしろありがとう。最高です。
輝夜ちゃんの部屋...当然入るのは初めて。緊張しちゃう〜。
「おお...!!」
青いシーツのベッド、綺麗に整頓された机。なんかイメージ通りすぎて逆に新鮮かも。
「えっと、どれくらい終わっていないんですか?」
「あっ、そのーー...国語以外のワーク全部です」
「えっ!? あっ、その...えっと...」
どうしよう!? 輝夜ちゃんが言葉に詰まっちゃった。
一応昨日は桜に見てもらって国語は終わらせた。結構えらいと思う。
「で、では苦手科目からやってしまいましょう。どれが苦手ですか?」
えっ? 全部.....とは言えないから
「数学かなぁ」
「じゃあ数学からやりましょう。テキストを開いてください」
おお...! いい!輝夜ちゃんが数学を教えてくれると美人教師みたいな色気が出ていい!
いつものお爺ちゃん先生の授業とはまるでやる気が違ってくるね。
とはいえ数学そのものは好きじゃないので、5秒に一回は教えてくれてる輝夜ちゃんのシャツから覗くお胸に目がいきます。ちなみに輝夜ちゃんもそこまで大きいわけじゃないよ。品のいいお胸だよ。
そんなこんなで最初にして最大の難関である数学のワークを片付けて、お昼の時間になりました。
「いやー、時間かかっちゃったぁ」
おそらく4時間半は数学のワークに費やした。あとは社会と理科と英語...
「お疲れ様ーー! さっぱり冷やしうどん持ってきたわよー」
輝夜ちゃんのお母さんがお昼ご飯を持ってきてくれた!
「うわー! 美味しそう〜」
「ありがとう、ママ」
!?
「はーい。午後も頑張ってね!」
今、絶対ママって言った。朝来た時は絶対お母さんって呼んでたのに。ふとした時に素がでちゃったんだ!可愛い!
「さぁ、食べましょうか。灯さん。お口に合うといいんですが」
「大丈夫だよ! うどん大好き!」
まぁ、このことは輝夜ちゃんには言わずに私一人の宝物にしよ。
キュッとうどんに乗ったレモンの酸味が口いっぱいに広がったのです。
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