14話 勝負のパンツと勝利の右手
桜を部屋へ帰した後、輝夜ちゃんが入れ替わりで入ってきた。
「本当ーっにごめん! 妹がとんだ迷惑を」
「迷惑だなんて言わないでください。私たちの仲じゃないですか」
輝夜ちゃん...!! 好きっ!
「さぁ、桜さんは肝試しをやめる気はなさそうでしたし、早く寝ましょうか」
「う、うん!」
ちなみに実はこの就寝タイムでワンチャンあるかと思って勝負下着つけてます。さぁ、どう来る!
電気を消したら月明かりがいい感じに入ってきて雰囲気はある。これは本当にあるのでは!?
「スゥー、スゥー」
普通に寝たぁぁぁ!
そりゃそうだよね。気合い入れた私が恥ずかしくなっちゃった。「その時」までこの下着は封印しておこ。
布団に入ってみると海でのレジャーで意外と体力を使ったことと、何より【スニフマリー】との戦いで精神的にダメージを大きく負ったことがわかった。
だから輝夜ちゃんに続いて私の意識が飛ぶのにそんなに時間は必要なかったのです。
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うーーん、いい朝だなぁ。まだ外真っ暗だけど。時刻は4:10を示している。まだ寝足りないけど桜のためなら仕方ないか
ってあれ!? 身体動かないんだけど! これ、金縛りってやつ!? 肝試しとか言ってるから心霊現象引き起こしちゃった...輝夜ちゃん助けてぇー。
・・・ん? なんかこの金縛りプニプニしてるけど.....
って! これ輝夜ちゃんが抱きついてきてるんだ!
輝夜ちゃんの左手が私の胸あたりに回ってて...足と足も絡みそうで...
何より今私の右手に感じる柔らかさ。これはもしや...「おぱっ」なのでは!?
確かめたい! 確かめた上で揉みたい!
けどそんな時間はもうないか...仕方ない!
「か、輝夜ちゃーん、起きて」
頭をポンポンと叩いて起こす。意外と寝相悪いんだなぁ。
「んにゃ...」
ちょ!? 何その声!
「はっ!? ごめんなさい! 私、なんて寝相で」
「いいよいいよ、気にしないで! じゃあ林に向かおうか」
夏の朝といえど、日中にくらべれば結構涼しい。
背筋が凍る思いはしたくないけどね。
「あっ、どうもです〜」
あっ、えーっと、桜の友達何号という覚え方しかできない!
「桜ちゃんはもう仕掛け役に行ったので、もう通り抜けちゃってください。150mくらいで抜けれると思います」
「ありがとう。ごめんね、うちの妹が迷惑かけて」
「いえいえ。桜ちゃんに仕えることが私の喜びですから」
・・・何してんのうちの妹。洗脳でもしてんのかな。
「じゃあ灯さん、行きましょうか」
「う、うん」
ううう...怖い...めちゃめちゃ暗いし。
「うわーーー!!!!」
「ギャァーーー!!」
「・・・」
めちゃめちゃ古典的な草むらから「うわー!」に引っかかっちゃった。輝夜ちゃんは無反応だけど。
「灯さん、怖いのですか?」
「う、うん。輝夜ちゃんは平気なの?」
「そうですね。あまり肝試しで怖いと思ったことはないです。手、握りましょうか?」
「お願いします!!!」
手を繋げれたから怖いけど来た価値あったかも!?
あったかくて柔らかい手...なんかデートみたい。
「ヒッヒッヒッ」
なんか女の子の泣き声がする!
「大丈夫ですよ、灯さん」
握る手の力を少し強めて安心させてくれる。
・・・そりゃ惚れるわ〜。
その後も何個かびっくりスポットがあって私は全部絶叫してたけど輝夜ちゃんが手を繋いでくれていたお陰でなんとか林を抜けられた。桜が腕を組んで立っていた。
「なーんだ。輝夜さんめちゃめちゃ肝試し得意なんだ。つまんなーい」
「こらっ!! 参加してくれた輝夜ちゃんに失礼でしょ!」
「まぁお姉ちゃんの絶叫ラッシュは見応えあって良かったけどねぇ〜」
そういってスマホから私の「ぎゃー!?」音が連続再生される。
「ちょ!? 何録音してんの! 消しなさい!」
「やーだよ!」
「ふふっ。仲良いですね」
3人の笑い声とともに日の入りを迎えました。
その後は桜の友達たちと一緒に海で遊んでは何かを食べて、遊んでは食べてを繰り返し、もう夕方になった。
「えっ、桜はもう一泊してくの?」
「うん。むしろお姉ちゃん達は一泊だけなんだ。ざんねーん」
「桜さん、非常に楽しかったです。ありがとうございました」
「いえいえ。私もご迷惑をおかけしました。また会いましょう?」
「はい!」
「はーい、バス来たからここまでね。桜、また明日。遅くなりすぎないよーに」
「はーい」
バスが出発する。行きと同じように輝夜ちゃんは寝ちゃうのかな?
寝...寝ちゃ...私が、寝ちゃ...ダメ...




