25まだまだ先は長いですが、まずはお疲れさまでした
「あれからもう、一カ月が過ぎたけど、月日が経つのは早いなあ。それにしても、私が城で目覚めてから、いろいろあったけど、城での生活もだいぶ慣れてきた気がするよ。彼女たちの制服姿も見慣れてきたしね」
「カナデさんの言う通り、月日が経つのはあっという間ですね。城での生活に慣れてきたのは良いことですが、あなたの恰好に違和感を持たないのは嘆かわしいことです。とはいえ、彼女たちの制服姿は私も、見慣れてきました。そもそも、最初からこうするべきでした」
「私の恰好が嘆かわしいのは自覚してるけど、でも、もといた世界では、これがオタクの通常装備だと思うんだよね」
「もといた世界の常識を忘れるなとは言いませんけど、もっとこの世界になじむ努力をしたらどうですか?まあ、カナデさんはこのまま、わが道を行ってくれた方が、私たち女性にとってはいいのかもしれませんが」
ソフィアとカナデは、騎士団の練習場を見学していた。そこには、汗を流し、懸命に稽古するイザベラとレオナの姿があった。
「彼女たちが前よりもかっこよく見えますね。そして、前より自分の仕事に誇りをもって励んでいるように感じます。制服を変えることができて本当に良かったです」
カナデは、目の前の光景を見ながらしみじみとつぶやく。そして、隣で同じようなことを思っているだろう彼女に改めてお礼を述べた。
「ソフィアさん、私に協力してくれたこと、改めて感謝します。ありがとうございました」
「それを言うのなら、お互い様です。カナデが言わなければ、いつまでも彼女たちは我慢を強いられていましたから。彼女たちが仕事に誇りをもって取り組んでいる様子は見ていて、とても気分がいいです。だから、頭を挙げてください。それに」
お礼を述べたカナデは、同時にソフィアに頭を下げていた。自らが宣言した女性の生きやすい社会に変えていくための第一歩が成功したのは、ソフィアたちのおかげだからだ。感謝してもし足りないくらいだとカナデは思っていた。
ソフィアの言葉にやっと顔を上げたカナデは、ソフィアの言葉の続きを聞いて、言葉に詰まった。
「それに、あなたの目標というか、やりたいことはまだまだ始まったばかりでしょう?こんなことでいちいち頭を下げていたら、いくつ頭があっても足りないくらいです。もっと大事な時に頭を下げるようにしなさい。わかったのなら、返事をするように」
「ワカリマシタ。精進イタシマス」
ソフィアが得意の威圧的な笑みがカナデの返事を片言にさせていた。
「ソフィア様!カナデも、来てくださったのですね」
「ソフィア様!ありがとうございます」
稽古途中の休憩時間に入ったのか、カナデたちに気付いたレオナたちが近づいてきた。彼女たちが走って駆け寄ってくるが、上半身は、男性が凝視するような揺れは発生していない。さらには、凝視するような下半身でもなかった。
「ソフィア様!この制服、とっても動きやすいうえに、何の心配もなく動けます。それに、下着も透けにくいので、安心して汗もかけるし、最高です!」
「冷え性がなくなりました。昔は、どんなに動いても足が冷えて、とても大変だったのに、今では、それがなくなって、快適に毎日の業務に励むことができるようになりました」
二人は、新しく制定された制服の感想を嬉しそうに話し出す。ソフィアはそれに対して、聖女の微笑みで対応する。彼女の対応に、二人はさらに熱心に感想を述べていく。
「それは良かったです。騎士団という、城を守る女性に感謝されるのは、とても光栄なことです。他に制服が変わって良かったところはありますか。ぜひ、聞かせてください」
「私は、男性からの視線におびえることがなくなりました。あの、男性からのねっとりとした視線がとても嫌で、騎士団の仕事はしたいのに、なかなか制服に袖を通せない日々が嘘みたいです」
「けがも少なくなりました。前の制服だと、大事な部分が見えるかもしれないということも考えての行動をとっていたので、けがをすることも多かったんですが、これだとそんな心配がいらないので」
「そんなにいろいろ言っていただけると、とてもうれしいです。制服を変えるために頑張った日々が誇らしく思えるようになりますね」
仲睦まじく会話を始める三人の美女に取り残されている、オタクな見た目が男女のカナデは、強引に会話に割り込むことにした。
「いや、私が発案者で、私が量産して、あなたたちに供給しているのだけど、まあ、ソフィアさんが男たち相手に奮闘したのは知ってるけど」
「拗ねないでください。いい年下大人がそんなことをしても、可愛げも何もないですよ」
「可愛くないのは知っていますから!」
カナデは、これ以上彼女たちの会話につき合っていられず、ふてくされたようにその場から離れた。
最終的に、カナデが発案した制服がエリザベスによって受理された。そして、男性は元の制服に戻されることになった。
それからというもの、男女ともに厭らしい目で騎士団を見る者をは減った。そのおかげか、男女間のいざこざも減少したようだ。
この改革は、城以外の騎士団に順次適用されることになった。全国の女性騎士たちの役に立てればと、カナデは毎日真剣に制服を量産している。とはいっても、女神たちの力を借りて、イメージした服を顕現させるだけで、大したことはしていない。
ただし、出来上がった制服をさらに増やすためには、その服装をどうやって作るか教える必要がある。しかし、基本性能は男性のものと大差ないので、寸法を多少変えるだけで済んだので量産も難しくないようだった。
こうして、女性騎士団の制服が変わり、彼女たちも胸を張って働くことができるようになったのだった。
いったんここで、第二章の更新は終わりです。ストックがたまり次第、また投稿を始めていきたいと思います。




